子育て

子どもが財布からお金を盗んだ……親はどうする? 中高生の「生活ぶり」で注視すべき2つのこと

子どもが問題を起こしたら正論で厳しく叱る、子どもの将来を案じるあまり父親が学習を過剰に管理してしまう。そうした親の「熱心さ」が、子どもの心を砕き、自ら学ぶ力を奪っているかもしれません。※サムネイル画像:PIXTA

All About 編集部

思春期の子どもとの関わりで、親が陥りがちなNG行動とは? ※画像出典:PIXTA

思春期の子どもとの関わりで、親が陥りがちなNG行動とは? ※画像出典:PIXTA

子どもが問題を起こした時、つい正論で厳しく叱っていませんか? 子どもの将来を案じるあまり、父親が学習を過剰に管理してしまうケースも。

2024年の東大合格者数が100人(2025年は95人)を突破するなど、躍進を遂げる聖光学院。その校長である、工藤誠一先生の著書『VUCA時代を生き抜く力も学力も身に付く 男子が中高6年間でやっておきたいこと』では、学力だけでなく、VUCA(ブーカ ※不確実な)時代を生き抜く真の教育、思春期の男子との接し方など、家庭でも実践できるような参考になる話が収録されています。

今回は本書から一部抜粋し、子どもの問題行動に対する親のNG対応と、子どもの自走力を奪いかねない過度な親の管理の危険性について紹介します。
<目次>

子が悪いことをした時、あなたはどう対処してる?

友達との付き合いなどで小遣いが足りなくなり、親の財布からお金を盗んだことがわかってしまった。ゲーム課金で口座からの高額な引き落としが発覚した。

そんなとき、あなたならどう対処するでしょうか?

親として何が至らなかったのかと考えて、情けない気持ちにもなることでしょう。ショックのあまり、「お前のやっていることは犯罪だ。お前は家族の信頼関係を壊したんだよ」などと言ってしまうかもしれません。

確かに、ここぞというとき、親が真剣に対峙することは必要です。しかし、どんなふうに話すとしても、1つだけ大切にしてほしいポイントがあります。それは、子どもが心を入れ替えてやり直そうと思えるような、改善につながる言葉をかけることです。

その後、親がすべきこととは?

親に悪さが露見した瞬間、大抵の子どもは、すでに反省しているものです。そんなときに本人の人格や親子の関係性を全否定する言葉をかけてしまえば、前を向こうとしている子どもの心を砕いてしまいます。

あなたは必ずやり直せる、あなたを信頼したいと思っていることを前提としたうえで言葉をかけ、反省を促してほしいのです。そして、大切なのは同じ過ちを繰り返させないことです。

そのために、子どもの生活ぶりを、これまでよりも丁寧に見てください。具体的にはお金の使い方と帰宅時間を見ておくことをおすすめします。経験上、中高生はこの2つから崩れていくことが多いと感じています。おかしいなと思うことがあっても、感情的に責めず、事実を確認するに留めましょう。

親が自分に気持ちを向けていることを感じて、子どもの生活が自然と落ち着いてくることも多いものです。自らの過ちに自ら気づき、悔い改める時間を、子どもたちにもたせてあげてください。そこから学ぶこともあるはずですから。

親の理想を、子は敏感に感じとっている

あなた(またはあなたの夫)とお子さんは、どんな父子関係でしょうか?

・趣味や活動を共有する仲の良い関係
・お互いにリスペクトし合える関係
・良きライバル関係

思春期の頃は、上のような理想的な関係に当てはまるご家庭は少ないでしょう。

子どもは、意外なほど、親の抱く理想に敏感です。しかし、成長するにつれて「お父さんの理想通りにはなれない(なりたくない)」と自分でも気づき始め、父親のことを遠ざけるようになる傾向が見られます。

多くの場合、反発を経て、大人になった後に再び父親を理解し、関係が改善していくものですが、父親が厳格に子どもを管理するケースは将来に禍根を残すかもしれません。

中学受験の際に、父親が熱心になるケースが見受けられるようになりました。各校の入試問題傾向を徹底的に分析したり、学習スケジュールを詳細に管理したり、Excelで成績の推移を可視化したりと、まるで仕事のマネジメント手法のようです。

子どもの学習を1つのプロジェクトと捉え、効率や結果を重視しているのでしょう。

親の期待に沿って頑張る子どもの未来

ここまで過度な管理でなくとも、親の期待に沿って頑張る子どもは、実は自走力が不足し、親の管理が外れる中学以降に力を発揮できない傾向があるのです。

中学入学後、急に手を離すのは難しいとは思いますが、子どもの主体性や独立心を育む環境をどう整えていくかという、新たな「プロジェクト」にぜひ着手してください。

ポイントは、子どもの気持ちや考えをどれだけ認められるか、そして、子どもの紆余曲折にどれだけ付き合えるかです。

ある生徒は、父親の跡を継ぐべく医者を志したものの、父親の卒業した医大には合格せず、別の学部に進みました。けれど、彼はその後、改めて医学の道を志して医学部に再入学し、今、父親は息子と一緒に仕事をする日を楽しみにしているそうです。

今はお子さんのことをふがいないと感じるかもしれませんが、必ず自ら道を切り拓いていける日が来ることを信じてあげてください。 工藤誠一(くどう せいいち)プロフィール
1978年に母校の聖光学院中学校高等学校に奉職。事務長、教頭を経て2004年、校長就任、11年から理事長にも就任。さゆり幼稚園園長、静岡聖光学院理事長・校長を兼務。神奈川県私立中学高等学校協会、私学退職基金財団、神奈川県私立学校教育振興会、横浜YMCAの各理事長、日本私立中学高等学校連合会副会長などの要職を務める。2016年、藍綬褒章を受章。
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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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