亀山早苗の恋愛コラム

夫婦の寝室で目撃した衝撃の不倫現場……運命の出会いからスピード婚した夫の「恐ろしい二面性」

夫とは互いに一目惚れだったという44歳女性。出会ってすぐにキスをし、1カ月後には結婚。それから15年、不満もなく仲よくやってきた。だがある日、とんでもない事件が起こり、彼女は夫の恐るべき二面性を知ることになる。※サムネイル画像:PIXTA

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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玄関で見知らぬパンプスを見ても疑う気持ちは1ミリもなかった(画像出典:PIXTA)

玄関で見知らぬパンプスを見ても疑う気持ちは1ミリもなかった(画像出典:PIXTA)

お化けを怖がる知人が子どものころ、祖父にこう言われたそうだ。

「お化けなんて怖くない。一番怖いのは生きている人間だよ」

この人はこういう人だと思っていても、まったく違う面を見せることがあるのが人間。信頼関係を一瞬にして裏切ることがあるのも人間である。

出会いは偶然

「なかなか話し合いができずにいるんですが、私の気持ちは離婚の方向に傾いています。夫がどう思っているかは分からないけど」

憔悴した表情でそう言うカオルさん(44歳)。結婚15年をこの春、夫と二人で祝ったばかりだ。中学生の娘にからかわれながら、二人きりでレストランでしみじみと過去を振り返った。

「出会いは偶然でした。たぶん、互いに一目惚れだったんだと思う。私も彼もそれぞれの同僚と3人で居酒屋にいたんです。隣り合ったテーブルでふと見ると、彼がじっと私を見ていた。私も彼から目を離せなくなった。そんな経験は初めてだったから、戸惑いました」

カオルさんがお手洗いに立ち、出てくると彼が待っていた。言葉も交わさず、いきなり抱き合ってキスをした。

「彼が名刺を渡してきました。その日はなんだか熱に浮かされたような感じでした。翌日、改めて名刺を見たら、裏に携帯の番号が書いてあり、昼休みに電話してその日のうちに会いました」

勤務後にカフェで待ち合わせしたのだが、カフェにたどり着く前にばったり再会。彼に腕をとられてそのままホテルへ行った。

「抱き合って、ようやく落ち着きました。この人とはなるべくしてこうなったという感覚が大きかった」

夫婦関係はうまくいっていた……

その日は彼の家に泊まり、翌日は彼が泊まりに来た。同い年であること、出身地が近かったことなども関係ができてから知った。

「1カ月後には婚姻届を出していました。それからみんなに報告して。あまりのスピード婚から周りに反対されると思ったし、それを説得していくのが嫌だった。だから先に婚姻届を出しちゃったんですよね」

そんな思い切った決断を自分がするとは思わなかったが、彼への思いがそこまで強かったということなのだろう。

「そこから15年、ひとり娘に恵まれ、共働きで不満もなく仲よくやってきました」

夫は誰よりも誠実だった……はずだった。

出張で出掛けることに

「夫は常に誠実でした。仕事が忙しい時期は、どうして忙しいのか説明してくれる。不透明な時間がなかった。この世で一番信頼していました」

娘が小学校に上がってからは、カオルさんも精力的に仕事をするようになった。それまで遠ざけていた出張も厭わなかった。出張時、娘は近くに住むカオルさんの実家に下校するが、夫は定時で切り上げて娘を迎えに行った。

「私には姉がいますが、結婚して遠方にいる。両親は夫を息子のようにかわいがっていて、そういうときは夫も一緒に実家で夕飯をとっていた。互いのことをほとんど何も知らないままに結婚したのに、いつも幸せだった。夫に感謝していました」

だが、つい1カ月ほど前のことだ。カオルさんに出張が入った。木曜の朝に出発、土曜の午後に帰るというスケジュール。木曜の午後、夫と娘は二人で夕飯をとる、金曜日は娘がカオルさんの両親のところに泊まると話がまとまった。

「ただ、私の仕事が予想外に早く終わって、金曜の新幹線最終で帰れることになったんです。実家に連絡しようかと思ったけど、娘は祖父母のところに泊まるのを楽しみにしていた。最終で帰って迎えに行くのもしんどいし、夫とゆっくり過ごそうと決めました」

夫の恐ろしい二面性

どこにも連絡せず、日付をまたぐころに帰宅した。玄関にはカオルさんのものではないパンプスが置いてある。

「そのとき思ったのは、義妹でも来ているのかなということでした」

リビングには誰もいない。テーブルには宅配のピザの箱。嫌な予感がしたが、あれほど誠実な夫が裏切るとは1ミリも思っていなかった。

「寝室のドアを開けたら……。思い出したくもない光景でした。重なった体の上の人がこっちを見た。夫の顔だった。夫はゆっくり体勢を整え、『連絡くれればいいのに』って。はあ?と固まりました」

下からもぞもぞ出てきたのは、カオルさんの姉の子だった。大学生になって上京してきてから、何度も遊びに来ている20歳になったばかりのめいっこだ。

「『おばちゃん、今日は帰ってこないんじゃなかったの』と彼女がのんびりした口調で言った。なんなの、あんたと言ったら、『中年のヒステリーは怖いから、大きな声出さないで』と。それを聞いて夫が笑ったんですよ。悪夢でした」

めいっこはその場で服を着ると、「またね」とカオルさんの背中をポンポンと叩いて出ていった。思わず追おうとしたものの足が動かない。

「夫は何も言わず、背を向けて横になっている。私は寝室を出てリビングでソファに沈み込みました」

気持ちは離婚だが……

翌朝早く、自宅を出たものの行く当てもなく、近くのファミレスで時間をつぶしてから実家に行った。だが親にも娘にも何も言えず、昼過ぎに自宅に戻った。家の中はきれいになっており、夫はいなかった。夕方、何食わぬ顔で食材を抱えて帰ってきた夫は、特製のスープやパスタを作り、娘は大興奮しながら食べていた。

「私の口数が少ないから、娘は『お母さん、出張先で嫌なことでもあった?』と心配してくれた。夫まで『仕事で疲れてるんだよね。今日は早く休んだ方がいいよ』って。夫のそら恐ろしい二面性を初めて見た。それがショックでした」

そのままいつもの日常が過ぎていく。脳が夫との会話を拒否していた。だが2週間たったところで、「このままでいいはずがない」とカオルさんは覚醒した。夫にどういうつもりと迫ったが、夫は「はずみと勢い」としか言わない。

「こんな素晴らしい日常を失うのか、娘の気持ちはどうなると夫に言われると、確かにそうだと思いつつも、おまえが言うなと言いたくなる。離婚という文字はちらつきますが、そこに至るには長い道のりがありそうで。気持ちは離婚、でも頭と体がついてこない。今はそういう状況です」

何も考えずに今の生活を守る手もなくはない。だが、けじめはほしい。夫からは謝罪の言葉さえない。信頼を一瞬にして壊したことを、夫はどう思っているのか。姉にも真実を知らせるべきかもしれない。

その後、カオルさんから連絡があった。

「今は体力気力を整えたい。そこから改めて姉との関係、夫婦関係を考えたいと思います」

裏切られた傷は大きすぎる。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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