長年の占い師としての経験と自身のリアルな体験をもとに、多くの人が直面する人生のさまざまな悩みや疑問に答えていただきました。
<目次>
Q. 「運気が悪い」と感じるときはどうしていますか?
章月綾乃(以下、章月):占い師の私でも、「運気が悪いな」と感じるときはもちろんあります。昔は神社に行って厄払いをすることもありましたが、最近は「悪いときは悪いもの」と受け止めて、無理に何かしようとはせず、静かに過ごすようにしています。ただ、簡単な「お清め」はします。例えば塩風呂に入ること。日本酒も少し入れると、厄払いの効果があるといわれています。また、首の後ろは邪気が入りやすい場所なので、そこに塩を少し乗せたり、温かいシャワーを当てて流すのもおすすめです。
Q. 人間関係がうまくいかず、いつも息苦しくなってしまいます。
章月:人間関係でもめ事が増えたり、しんどさを感じたりするときは、「今の人間関係にとらわれすぎなくていいってことなんだ」と考えるようにしています。長く築いてきた関係がふとしたきっかけで崩れかけると、「どうにかつなぎ止められないか」と思ってしまいがちですが、「すでに役目を終えた関係性」も時にはあります。私自身も学生や20代のころは、「つながり」にすごく固執していました。特に、当時は大好きな親友がいて、どこへ行くにもその子と一緒で、自分の生活の中心に彼女がいたんです。でもその親友とは、ある時を境に突然縁が切れてしまいました。
その出来事で初めて、自分が「執着していた」ことに気付いて。そこから気持ちがすごくラクになりましたね。「親友がいなくても、私の人生は楽しいんだ」って思えるようになってからは、1人の時間を楽しめる人間になれた気がします。
Q. 家族との距離感が分かりません。自分の思い通りにしたいと思ってしまいます。
章月:友人関係や仕事の付き合いには「始まり」と「終わり」がありますが、家族はそう簡単にはいきませんよね。血のつながりがあるからこそ「甘え」も生まれやすく、関係がこじれることもあります。でも、本当にしんどい関係であれば、たとえ家族でも、血縁関係でも、手放せないわけではないと私は思っています。もちろん簡単にはいかないかもしれませんが、「絶対に断ち切れない関係」なんて、実はほとんどないんじゃないでしょうか。
親がどうしようもなくダメな人なら、逃げてもいい。逆に、自分が子どもに悪影響を与えてしまっていると気付いたなら、その関係を手放してみることも選択肢の1つだと思います。
「関係がうまくいかない」ということは、「どこかで誰かが無理をしている」ということ。つまり、その関係の「賞味期限」が切れてしまったんですよね。それをもう一度よみがえらせようとしても、どうにもならないこともあります。
「家族」は、人生の大きなテーマですが、正解は1つではありません。どう付き合っていくべきか、自分なりの形を見つけていけたらいいんじゃないかなと思います。
Q. 「占い」とはどのように付き合うべきでしょうか?
章月:「必要なときに、方向性を確かめるために使う」のがちょうどいいと思っています。占いに依存して、占い師に聞かないと何も決められなくなってしまうのは、一番よくない状態です。それでは結局、占い師の「商売の種」になってしまいますよね。逆に、「もう自分で考えられなくなってるよ」「しばらく来ないほうがいい」とあえて突き放してくれる占い師がいたら、その人は良心的だと思います。そういう見極めも大事ですね。
もちろん判断に迷うこともあると思うので、そんなときに占い師の意見を聞いて「確かにそうだな」と思えたら取り入れてみるのも手です。占い師に限らず、友達などに相談するときも、話すうちに自分の気持ちが整理されることもありますよね。占いもそういうプロセスに似ていると思います。
それから、多くの占いには「サイクル」があります。例えば12星座なら12年で一回り、九星気学なら9年で一巡します。そのサイクルの中で誰しも「浮上するタイミング」があるもの。幸運のタイミングを知って、うまく波に乗る。そんな使い方ができたら理想ですね。
Q. 人生において、「運の総量」って決まっていると思いますか?
章月:「運の総量は決まっていて、よいことと悪いことが交互にくる」という考え方はよく聞きますよね。でも、私はそうは思いません。きつい言い方に聞こえるかもしれませんが、「不幸な人はずっと不幸」です。なぜなら、自分で「私は不幸だ」と思い込んでいるから。なので、必ずしも「運の総量が同じ」ということはないと思っています。人にはそれぞれ与えられた「役割」があります。「時代を動かす」ようなタフな仕事を与えられる人もいます。そういう役割に当たってしまったら、やるしかありません。よい・悪いの問題じゃなくて、使命なんです。
与えられた役割が人それぞれ違うなかで、大切なのはその役割を「幸せ」と感じられるかどうか。例えば仕事がきつくても、おいしいものを食べて「幸せだな」と思えたら、それも運の1つでしょう。
あるいは、大切な存在を失ってから「あの時間は幸せだった」と気付くこともあります。愛猫を亡くして初めて「猫がいたあの頃は幸せだったな」と思ったり、親と距離ができてから「小さい頃のお母さんは優しかったな」と思えたり、リアルタイムでは分からないことも多々あります。
運は「あらかじめ決まっているもの」ではなく、「自分で気付くもの」。たとえ今がどんな状態でも、「ここから変わる」と信じれば、必ず幸せは付いてくると思います。
>>人気占い師・章月綾乃さんが語る「人生の乗りこなし方」
【お話を聞いた人:章月綾乃】
占術研究家・心理テストクリエーター。All About 占いガイド。雑誌やWebメディアを中心に、占いや心理テストなどの執筆、監修多数。All About『大人のための星占い』『幸せのカルテ』は大人気連載中。書籍も多数出版。
【取材/文:奥山 はるか】
編集者・ライター。出版社で女性誌編集者として勤務したのち、フリーランスとして独立。女性向けのジャンルを中心に多数の記事を手掛け、占いや開運をテーマにした雑誌制作にも長年携わる。分かりやすい切り口で、幸運のヒントになる記事を執筆。