夫婦関係

熟年離婚する夫婦との違いとは? “30年間仲よし夫婦”の「円満アクション」5選

「老後をパートナーと過ごしたくない」という夫婦が増加している昨今、熟年離婚する夫婦と、結婚から30年後も変わらず仲よしでいられる夫婦にはどんな違いがあるのでしょうか。今回は仲よし夫婦の「円満アクション」を5つご紹介します。※サムネイル画像:PIXTA

三松 真由美

執筆者:三松 真由美

夫婦関係ガイド

30年後も仲よし夫婦でいるために(画像出典:PIXTA)

30年後も仲よし夫婦でいるために(画像出典:PIXTA)

直近2年間で、日本の離婚率が上昇に転じているのをご存じですか。

「え!? 少子化問題に気を取られてて知らなかった」という方も多いのではないでしょうか。

厚生労働省の発表している「令和6年 人口動態統計月報年計(概数)の概況)」によれば、2024年の離婚件数は前年より2081組増加し、離婚率(人口千対)は1.55となりました。もともと、日本の離婚件数は2002年をピークに長く減少傾向でしたが、2023年、2024年と直近2年間は連続で増加しています。

同居期間別に離婚件数の増加率を見ると、最も増加率の高いのが同居35年以上で5.4%増。次いで同居30~35年で3.1%。日本の離婚率を押し上げているのは、実は熟年層なのです。

離婚が大きく増加に転じる「同居30年」の節目を、無事に乗り越えることができるかどうかが、その後の人生を大きく変えるかもしれません。

そこで今回は「結婚30年たっても仲よしな夫婦」の5つの円満アクションを探ってみます。
<目次>

【円満アクションその1】相手の喜びそうなことを想像し、行動できる

「相手のために行動できる気持ち」が大切(画像出典:PIXTA)

「相手のために行動できる気持ち」が大切(画像出典:PIXTA)

アメリカの科学雑誌『Science』に発表された論文によると「自分のためにお金を使った人よりも、他人のためにお金を使った人の方が、平均的に幸福度が高まった」ことが確認されたそうです。そしてこの傾向は、地域や年齢に関係なく世界中で確認されているそうです。

人が本来持っている「相手のために行動できる気持ち」、「相手のために行動することで自分も幸福を感じるという気持ち」、これが夫婦の間で生まれるとき、その夫婦の間には幸せの循環が生まれます。

パートナーの好きなこと、喜びそうなことを知っている夫婦や、それを行動に移せる夫婦は、パートナーはもちろん、自分も幸福感で満たされるのです。

例えば、記念日でもない平日にケーキを買って帰るとか、夫の(妻の)家事分担をたまにサポートするとか、「今日、キラキラしててすてきだよ」など日々の声掛けでもいいでしょう。

【円満アクションその2】自分を大事にしている

自分を大切にできていますか?(画像出典:PIXTA)

自分を大切にできていますか?(画像出典:PIXTA)

前項で「相手のために行動する」という秘訣(ひけつ)をご紹介しましたが、それが、自分を大切にしない「犠牲的な行為」ではないのが「幸せ夫婦」です。

自分が我慢しながら相手のために動くとしたら、それは自分にとって重荷に変わります。そして、自分よりも相手のニーズを優先する傾向がどんどん強くなると、自己肯定感が下がります。

よく「私なんて教養がないから、夫の言うことに従ってる」「私は料理が下手だから家族がかわいそう」といったセリフを聞きます。自分のダメにフォーカスしてはいけません。ダメを含めて受け入れられているのですから、イケてるのです。

ミセス・グリーンアップルの歌を口ずさみながら「ワタシはサイキョー!」と思える、自立した関係性があるのが、長続きする夫婦です。

【円満アクションその3】毎日ほほえみ合う

相手の目を見つめてほほえみ合いましょう(画像出典:PIXTA)

相手の目を見つめてほほえみ合いましょう(画像出典:PIXTA)

「結婚前はエッチしてたのに結婚したとたんにセックスレスになった」という相談を受けたとき、私はよく「鏡を家の中にたくさん置いて、日常生活でいろいろな瞬間のあなたの表情を見てみてください」とアドバイスします。

子育てや仕事に疲れているとき、地下鉄の窓に映った自分の不機嫌そうな顔にハッとすることはありませんか? 家の中でご自身がどんな顔をしているか、ちゃんと意識していない人がほとんどです。

おそらく、パートナーと付き合い始めたころは、ウキウキ気分で、表情を意識して、誰しも最高の笑顔を相手に向けていたはずです。ところが月日がたち、二人でいることが当たり前になり、仕事や家事、子育てが忙しくなってくるとどうでしょうか……。

意識をしないとどんどん笑顔が減ってきます。笑顔になれる暇がない。目の前のto doに縛られると、かつて恋した異性がそばにいることを忘れてしまう。そんなことはありませんか。

「家の中にたくさん鏡を置く」ことを実践した方は、

「自分が普段、不機嫌そうに家事をしていることが分かって驚きました」

「夫と話すとき、無意識に眉間にしわを寄せていることに気が付きました」

と、いかに自分に笑顔がないかに気付きます。そして「いつも能面のような、つまらなそうな妻を前にしても、さあ、いたしましょうという気にならない」という夫の心理を理解するのです。

「そうは言っても、仕事も家事も子育てもストレスで、夫も面白い話なんてしてくれない。笑顔になれる要素なんてない」という言葉も聞きます。でも、笑顔は「相手から機会をもらう」だけでなく「自分でつくりだす」のもありなのです。

自分自身が楽しいこと、リラックスできることをたくさん持っておいて、自分が笑顔でいられる環境を作り出してみてください。お花、インテリア、手作り洋服、アイドル推し活、noteに小説投稿、セルフエステ、YouTubeでピラティス、お笑いライバー視聴。自分が楽しいことを見つけることすら忘れていませんか。

あなたの笑顔がパートナーの笑顔を生み、「笑顔の好循環」が回っていくはずです。

引きつってもいい。口角をあげて相手の目を見つめるというアクションは実はミラー効果で自分に跳ね返ってきます!

【円満アクションその4】言いたいことを言い過ぎない

「夫婦だから何を言っても許される」なんてことはありません(画像出典:PIXTA)

「夫婦だから何を言っても許される」なんてことはありません(画像出典:PIXTA)

芸能界でも指折りの愛妻家として知られる所ジョージさんは、あるとき「夫婦円満の秘訣(ひけつ)」を問われると、

「そもそもカミさんと僕は他人なんで。何にもつながってないんで、大事にしないとなっていう気持ちはありますよ」

と語っていらっしゃいました。

「夫婦だから遠慮はいらない」「夫婦だから何を言っても許される」と考える方もいますが、私は「夫婦だからこそ相手に倍返しの気を遣う」「夫婦だからこそ言いたいことを言い過ぎない」ことが大切だと思っています。

所さんがおっしゃるように、夫婦はしょせん他人。距離感が近いからこそ、本当は隠しておきたかった部分が見えてしまうこともあります。それに対して、距離感の近さに甘えて相手の心に土足で踏み込んでしまうと、取り返しのつかない傷を負わせてしまう可能性があるのです。

「親しき仲にも礼儀あり」この言葉は、仲良し夫婦にも当てはまる格言です。

【円満アクションその5】身体的な触れ合いがある

スキンシップが「幸せ夫婦」を生むのです(画像出典:PIXTA)

スキンシップが「幸せ夫婦」を生むのです(画像出典:PIXTA)

病気の治療などを指す「手当」という言葉がありますが、本当に「手を患部に当てる」ことで、痛みが緩和されたり気持ちが落ち着くという体験は、皆さんにもあるのではないでしょうか。小さな子どもがぐずると、スッと背中に手を当てて撫でると子どもは落ち着きます。

医学の分野でも、早産低出生体重児に対するマッサージによって乳児のストレスを緩和し、心拍数を減少させる(=リラックスさせる)効果が認められています。

皮膚は、人体における最大の感覚器官であり、日々さまざまな感覚を受け取っています。

触覚を通じて感じる温度や圧力、肌触りといった感覚は、脳に信号として伝わります。特に、ゆっくりとした軽い接触は「C触覚線維」という神経を刺激し、それによって脳内では幸せホルモンのオキシトシンが分泌され、心理的な安定や幸福感をもたらします。

信頼できる人との身体的な接触は、幸せ夫婦を作り出す有効な手段なのです。

セックスはその最たるものですが、それ以外でも、手をつないだり、背中を撫でたり、あるいは二人でマッサージするなどすれば、皮膚と皮膚は触れ合うことができます。

また、肌と肌とが直接触れ合わなくても、肩を抱く、ハグをする、髪に触れる、頭ポンポンなど、衣服を介した接触でも、皮膚は刺激を受け、幸せホルモンの分泌を促し、メンタルのバランスが整います。

どんな形であれ、「夫婦間タッチ」があることが幸せ夫婦を生み出す隠れた効果なのです。

ご紹介したこれらの円満アクションに、難しいこと、大変なこと、大金がかかることはありません。誰でも、今日から実践できることばかりです。

結婚して30年後。60代、70代になってから二人の表情がやさしくなっているか、ギスッとしているか。現在のアクションが30年後の二人の未来像を形成します。Just do it。

<参考>
・「令和6年 人口動態統計月報年計(概数)の概況)」(厚生労働省)
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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