
高利回りのインフラファンド、どう思う?(画像出典:PIXTA)
「インフラファンドの分配金利回りが9%を超えていたりと、高いですが、投資妙味はありますか?」
インフラファンドとは、投資家から集めた資金を発電施設や道路、空港などのインフラ関連施設に投資する金融商品のことです。
インフラファンドが登場したのは、確か2016~2017年あたりだったと思います。分配金利回りが7~8%の銘柄を見かけたこともあって、「そんなに利回りが高いのか!」と驚きました。
一方、インフラファンドは足元で値下がりしているものも目立ちます。「利回りが高いから興味はあるけれど、何か事情があって値下がりしているのだろう。地雷なのか、チャンスなのか、どっちなんだろう?」と気になる方も多いと思います。
そこで本記事では、個人投資家である筆者が、インフラファンドについてどう感じているのか、所見をまとめていきます。
高利回りインフラファンドは買いか?
結論から書くと、筆者はこれまで一度もインフラファンドに投資したことがないし、現時点では投資する予定もありません。インフラファンドが敬遠されている背景には、「固定価格買取制度(Feed in Tariff = FIT制度)などでゲタをはいているから」という問題があります。
FITというのは、再生可能エネルギーを国が高値で買い取る仕組みです。インフラファンドは「国の補助で収益性が高く見える(ゲタをはいている)」状態です。これに加えて、インフラファンドは税金面でも優遇されています。
上場インフラファンドは、発電設備の売電収入の大部分がこうした補助に依存しています。裏を返せば「補助するの、やーめた」と国が手のひらを返したら魅力が薄れてしまうので、ぼくはここが気になって投資していません。
また、電力はいわば「コモディティ(市況品)」なので、インフラファンドが競争優位を築くのも難しいと感じています。
市況品を売るため付加価値を高めて儲けるのは無理筋なので、やるとしたら安い土地を使ったり、「規模の経済※」を働かせるなどしてコストを抑える、という方法でしょう。
※事業規模を拡大することで、1単位あたりのコスト(平均費用)が低下し有利になる現象
ただ、これも規模の経済に限界がある上、まねもできそうなので、いまいちピンときません。欧米では太陽光発電が盛んになり過ぎて、「昼間は電力価格がマイナスになる」(電気を使った人がお金をもらえる)という異常事態すら起きています。
残り物に投資したところでよいことは何もなかった
「残り物には福がある」といいますが、筆者の15年の投資経験上、「残り物に投資したところでよいことは何もない」というのが原則ですから、高い利回りに飛びつくと、後で痛い思いをするんじゃないかと心配しています。こういった事情をもろもろ踏まえて、「ゲタが外れ、競争が激化しても十分に魅力的な投資先だ!」と判断するならば買いですが、筆者の食指は動きませんでした。
株式市場でもそうですが、「利回りが高すぎる銘柄は怪しいものが多い」です。特によくあるのが「今の利回りは高いけれど、一過性である可能性が高いもの」なので、インフラファンドも似たようなものだろう、と認識しています。