
J-REITの株主優待で注目の銘柄は?(画像出典:PIXTA)
「J-REITの株主優待があるようですが、注目の銘柄があったらお教えください」
株主優待といえば「株を持っている人(株主)が受け取れるプレゼント」ですが、J-REIT(不動産投資信託)にも優待があります。
筆者は株主優待銘柄にはいくつか投資しています。そこで本記事では、株主優待投資をする上で投資先を選ぶときのポイントをまとめていきます。
株主優待投資をする上での注意点
筆者は株式投資が主戦場で、いくつか株主優待を狙って株も持っています。株主優待は個人投資家の間でとても人気で、雑誌や投資情報サイトでも「優待特集」がトピックになることが多いです。
しかし、株主優待はあくまで「おまけ」であり、優待内容だけを見て投資判断を下すのは極めて危険です。
2024年10月、REVOLUTION<8894>という会社が、「基準日の時点で2000株以上を保有し、かつ2回以上連続で株主名簿に記載または記録された株主に『QUOカードPay』6万円分(年間12万円分)を贈呈」という株主優待を新設しました。
当時、REVOLUTIONの株価は600円くらいで、2000株を買うには120万円が必要でした。120万円持っていれば12万円の株主優待を受け取れる。利回りが10%ととても高かったので、人気になりました。
しかし、同社は2025年3月に新設したばかりの株主優待を、一度も支払うことなく廃止します。QUOカードが欲しくて株を買った人は、一度も受け取ることなく、しかも株価が暴落して、2025年6月には60円まで下がってしまいました。
600円で2000株を買っていた人は、株価が60円まで下がると90%の損になります。120万円が12万円になってしまい、しかもQUOカードも受け取れず、踏んだり蹴ったりとなりました。
この件は異例ではありますが、「株主優待だけを見て投資先を決める」と、このようなリスクがあることは知っておくべきでしょう。
株主優待はあくまで「投資先から受け取れるおまけ」なので、まずは優待がなくても、魅力的な投資先かどうかを見極める必要があります。筆者は、以下の3点を吟味しています。
- 経営陣が誠実で、うそをつかないか?
- 事業環境や組織力が良好で、増配が期待できるか?
- 利回りに満足できるくらい、割安水準か?
これらを吟味した上で、「プラスアルファ」で株主優待を受け取れる会社を選ぶようにしています。
ホテル需要や高齢化のトレンドに注目
さて、このことを土台に「どんなJ-REITが魅力的か?」を考えてみましょう。最近、外国人観光客が増えてきました。この傾向がこのまま続くと考えるのであればホテルに投資するREITが面白そうです。いちごホテルリート投資法人<3463>などはJリーグ観戦チケットの抽選権や、ホテル宿泊代金の割引などを受けられます。
ただし、インバウンド需要は景気や為替の影響を受けやすいです。不景気がきたり、急激に円高が進んだりしたときなどは遊休してしまうリスクもあるので、ここのところは注意が必要です。
あとは、有料老人ホームやサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)のREITもあります。高齢化のトレンドはほぼ間違いなく止まらないでしょうから、この不動産需要は根強い気がします。ヘルスケア&メディカル投資法人<3455>あたりも面白いかもしれません。同REITでは、1泊2日食事付きの体験入居などの優待がありますので、興味がある人は体験してみるとよいかもしれません。
有料老人ホームやサ高住に関しては「高齢化社会のインフラ」でもあるため、筆者は国による干渉を懸念します。最近は薬価改定などで医薬品業者が厳しい業況ですが、似たようなことが起きるリスクについては、押さえておきましょう。
もっと視点を広げると、「株主優待が欲しいだけなら、別にJ-REITにこだわる必要もない」とも思います。
「ここの物件に投資したい!」という物件があるなら、まずはそこに投資しているJ-REITに注目します。その上で「優待も受け取れたらラッキー」くらいでいるのが、ちょうどよい感覚な気がしています。