「共働きで、夫も妻も忙しい」「スマホをいじっている時間が長すぎる」「AVコンテンツが豊富すぎる」など、夫婦がレスとなる背景にはさまざまな要因が複雑に絡み合っています。
その中で、「夫側が拒否」のレスの原因として一定数を占めるのが、「妻の不注意な一言」というもの。私の主宰する恋人・夫婦仲相談所にも、妻の一言により「一気にヤル気をなくした」「もともと少なかった性欲が、さらに復活できないレベルまで下がった」という夫たちの声が届いています。実は、妻が発しているNGワードに、多くの夫たちは傷ついているのです。
今回は妻が無意識に発している「レスを呼ぶ悪魔の一言」を、「ヤル気がある夫」「ヤル気がない夫」の場合で考えてみましょう。
<目次>
ヤル気があった夫を萎えさせた「妻の悪魔の一言」その1
「あなたみたいにヒマじゃないのよ」 「ね、今晩……」夜の営みのお誘いを口にした夫に向けて、スマホ動画に夢中の妻が、画面から目も上げずに放つこの言葉。言われた方はグサッときます。これが、保育園から戻って来た子どもの夕飯を大急ぎで作っている最中ならまだしも、子どもも寝付いた週末の夜、ソファーでスマホを見てる妻に言われるのにはイラっとする夫も多いでしょう。
しかしそこで「いや、お前だってスマホ見ててヒマそうだし……」と夫が反論すれば、妻は「帰宅してから夕飯の支度をして子どもに食べさせて、お風呂に入れて寝かせて、やっと今、初めて自分の時間ができてスマホを手に取ったのよ!」と畳み掛け、反撃することに。
「俺だって日中忙しかったんだ!」という言葉をぐっと飲みこんだ夫は、「もう二度と誘うもんか」と心に誓うのであります。
夫が誘うのは「ヒマだから」ではありません。忙しくても妻と一緒の時間を過ごしたいと思うからです(性の欲求もあるかもしれないが)。
ヤル気があった夫を萎えさせた「妻の悪魔の一言」その2
「疲れているから無理」 ベッドに入って、隣に眠る妻に夫がそっと手をかけると、その手を振り払うようにクルっと寝返りを打ち、背中を向ける妻。そして背中から放たれるこの言葉。日常的に皆さんの寝室でも使用されている言葉ではないですか。この言葉に夫たちは凹みます。もちろん、妻だって、クタクタな日はある。セックスをするより睡眠時間がほしい日もある。夜の営みを断る日があったって全然OK。そこは夫だって分かっています。
ですが、気を取り直した夫に「じゃあ、いつ大丈夫?」と聞かれ、「そんなの、分からないわよ」と逆切れするのはNG。夫もそれ以上は誘えず、「ま、俺も疲れてるから寝るか……」と、寂しく話を回収し、「もう誘っても無駄だな」と諦めてしまうわけです。
忙しい妻の皆さん、「疲れているから無理」な日があるとしたら、せめて「代案」を出しましょう。
「来週末は予定がないから、朝ゆっくりできるじゃない? だから来週末にしない?」
「今日は疲れているからハグだけでもいい? ついでに肩もちょっともんでもらえると嬉しいな」
などと代案を出しつつ、ちょっと甘えて自分の睡眠誘導のためのスキンシップに持ち込んでみるとか。
夫婦のコミュニケーションは思いやりを忘れてはいけません。
逆の立場で自身が誘ったのに「疲れているから無理」と言われたら、凹みますよね。「拒否」だけでなく「拒否+代案」が夫を諦めさせないポイントです。
ヤル気のない夫をさらに萎えさせた「妻の悪魔の一言」その1
「男のくせにムラムラしないの?」 「男性=常にセックスがしたい」とは限りません。性欲の多寡は個人によりますし、同じ個人でも年齢や体調によって異なります。さらに、性欲の中身も人それぞれ。妻にはムラっとしないけど、セクシー女優には性欲が湧くとか、SMにはめちゃくちゃ興味があるとか、2次元の萌えアニメキャラが好き、とか、さまざまなパターンがあります。
あるいは、性欲はあってもED傾向があり、それを妻に知られたくないと思っている夫もいるかもしれません。ただ単に体調が悪い夜もあるでしょう。
自分が夜の営みに誘ってもらえないからといって、相手に性欲がないと勝手に決めつけたり、さらには「男のくせに」という、傷つける言葉を添えて責めたりするのは、最も避けるべき対応です。
もし、夫が自分に対して性欲が湧かないようだと感じているなら、逆に二人で性について話をするいいチャンスです。夫婦で性についての話をしたことがないのだとしたら、互いの性の嗜好やしてほしいこと、どんなときにセクシーな気持ちになるのかなど、前向きに情報交換をしてください。
その際は、相手を責めるような上から目線は避けましょう。お酒を飲んでいるときなどリラックスできる雰囲気のときや、夫婦でちょっとセクシーな映画を見て、意識をそちらに置くなど、性に関する話のしやすい場面を前もって演出するのです。いやはや、事前準備もタイミングもめんどくさいのですが、そこまでアクションしないと一生レスです。
「そこまで踏み込むことができないんだ」「そんな話ができるならレスにならんわ」と語気を強める方がいますが、レス放置か、改善かの“DEAD OR ALIVE”!!
その覚悟が足りていないなら、レス改善の相談をするなと私はバッサリ斬ります。性の世界を手放したくないと1ミリでも思うなら、その会話を避けて老後を迎えることはできないのです。
ヤル気のない夫をさらに萎えさせた「妻の悪魔の一言」その2
「私を愛してないからしないんでしょ」 「抱かれない=愛されていない」とか「誘わない=女性として価値がない」とレス気味な妻は固定観念で考えがちですが、男性にとって性交渉と愛は別物。愛がなくてもセックスはできますし、愛していても性欲が湧かないこともあります。そこを理解せずに、「もう私のこと好きじゃないの?」とヒステリックに迫られたり、「好きならできるでしょ」と強制されたり、「魅力がないの?」とメソメソされたりしても、男性はますますドン引きで“大萎え”必須です。
セックスは愛情をもって行われる究極の営みです。
それを正義のように振りかざして、相手の愛情の量を測ったり、相手の態度を批判したりするのは間違いです。
セックス以外にもパートナーの愛情を感じられることはたくさんありますよね。それを常に心に置きましょう。性交渉だけが全てではありません。性交渉を意識しすぎると「してしてオーラ」が出ます。空気感です。それが好みの男性もいれば、それを重く感じる男性もいます。
イソップ童話の「北風と太陽」を今一度、背筋を伸ばして読みましょう。
追い詰めれば追い詰めるほど相手の心は閉ざされる。あたたかな「太陽の日差し」こそが、「旅人のコート」同様「夫のパンツ」も脱がすのです。
<参考>
・「【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ2024」(ジェクス株式会社)