『親の過干渉こそ最強の大学受験対策である。』(菅澤孝平著)では、40~50代の9割が知らない「大学受験のシン常識」についてお伝えしています。今回は本書から一部抜粋し、一般入試と定期テストの残酷なまでの違いについて紹介します。
「定期テストの点数」と「一般入試の結果」は無関係
国公立・私立ともに、一般入試で必要なのはその場で受けた試験(国公立大学の場合は共通テストと2次試験がありますが)で高得点を取ることのみ。定期テストでいくらいい成績を取ったとしても、残念ながら一般入試で優位に働くことはありません。
定期テストで好成績を取るのは、親にとっては喜ばしいことでしょう。
もちろん普段の授業に集中して取り組んだり、定期テストのための勉強を頑張ったりした証拠ですから、定期テストでいい点数を取ったら大いに褒めてあげるべきです。
しかし、一般入試しか受けないと決めているにもかかわらず、定期テストの結果が振るわなかったからといって「それでは行きたい大学に受かるはずないでしょ」と叱るのはナンセンスです。
勉強への姿勢を指摘する分には構いませんが、受験勉強を頑張っているからこそ定期テストの点数が芳しくないといったことだってあり得ます。
定期テストでいい成績を収めることと受験に受かること、どちらが大事かを改めて考えてほしいです。将来を考えるのなら、明らかに大学受験に注力すべきでしょう。定期テストの成績を捨てたとしても、大学受験で勝てばいい。
そのような考えに対して常識外のように感じるかもしれませんが、現在の高校生の親にとって必要な心構えです。
定期テストで好成績を取っている人が、大学受験で高得点を取れるとは限りませんし、現に早稲田大学の文系の学部に行きたくて、数学の定期テストで赤点になっている生徒をたくさん見ています。
「高校にお世話になっているのに申し訳ない」と言いたくなるかもしれませんが、高校の先生も子どもの将来のためと思えば大学受験を優先するのもやむなしと思うのではないでしょうか。
定期テストと大学入試は全くの別物
もしかして「大学受験は定期テストの発展系」という発想を持ってはいないでしょうか。しかしこれも、ただの先入観に過ぎません。そもそも、定期テストと大学入試は問題の作り方が違うのです。
定期テストは基本的に教科書の範囲が決まっていて、授業で先生が話したこと・教科書に即した内容が問題になります。
しかし、大学入試では何が出るか分からないため、隅から隅まで満遍なく勉強しなければなりません。
特に違いが大きいのは現代文です。
定期テストでは、例えば『羅生門』について出題されるのであれば、『羅生門』について先生が話していたことを思い出し、深く掘り下げればいいだけでしょう。
しかし、大学入試ではどんな文章が出るか分かりません。読んだことのない文章を理解し、体系的に読むためのスキルを習得する必要がありますので、勉強の仕方だって変えなければなりません。
要は、定期テストは先生の話をどれだけ聞いていたかを測る手段であり、決してその学問の本質や根本的なことを問うわけではない一方、大学が一般入試で求めるのは根本的なスキルや能力。
さらには、記憶力が長く続くことも必須条件となるのです。
菅澤孝平(すがさわ こうへい)プロフィール
シンゲキ株式会社代表取締役社長。千葉県鎌ケ谷市出身。高校時代に偏差値32を経験。担任の先生と二人三脚で受験勉強をし、明治大学に逆転合格。その時の経験をもとに、誰かの挑戦に「伴走」したいという思いから、明治大学政治経済学部在学中にオンライン塾事業を始める。2021年、シンゲキ株式会社を創業。著書に『3カ月で志望大学に合格できる鬼管理』(幻冬舎)がある。