海外クルーズ

QEから14年ぶりのキュナードの新客船「クイーン・アン」。就航から1年、気になる船内をリポート!

クルーズ船に英国女王の名を冠することが許された唯一の船会社、キュナード。昨春就航した「クイーン・アン」は、伝統を継承しつつ、時代のニーズにあわせたデザインや施設が魅力。英・サウサンプトンを母港にショートクルーズも。 ※画像:キュナード提供

村田 和子

執筆者:村田 和子

旅の準備・お得・便利ガイド

クイーン・エリザベス以来、14年ぶりの新造船として誕生した「クイーン・アン」(乗客定員:2296人、総トン数:11万3000トン)。

今回は、英・サウサンプトンから独・ハンブルグまでの往復クルーズ(4泊5日)にクルーズコンサルタントの筆者が乗船。「クイーン・アン」の気になる船内や魅力を紹介します。身をゆだねると「ありのままの自分でいい」と心が解放される懐の深さを感じる客船です。
クイーン・アン

クイーン・エリザベス以来、14年ぶりとなった新造船「クイーン・アン」。乗客定員:2296人、総トン数:11万3000トン、全長:322メートル

進化したクイーンズ・ルーム。2層吹き抜けでLEDの技術を用い、イベントにあわせ雰囲気がガラッと変わる

進化したクイーンズ・ルーム。2層吹き抜けでLEDの技術を用い、イベントにあわせ雰囲気がガラッと変わる

<目次>

好奇心を刺激する、英国の伝統が息づくエレガントな船内

船内に入るとまず出迎えてくれる3層吹き抜けの開放感あるグランド・ロビーは、らせん階段が美しく配され、壁にはメタリックで描かれた船体アートが輝くエレガントな空間です。アールデコを基調としながらも、調度品の色調やマテリアルは現代的で、「キュナード=クラシカル」というイメージがある中、モダンな趣を感じさせます。
3層吹き抜けのグランド・ロビーは明るくエレガント

3層吹き抜けのグランド・ロビーは明るくエレガント

グランド・ロビーを囲むように、英国や王室の書籍が並ぶ「ドローイング・ルーム」、航海図がテーマの「チャート・ルーム」など、個性あふれるラウンジが配されています。屋外のデッキスペースにはスポーツ施設や海風を感じる開放的なバーもあり、多様なニーズに応えてくれるパブリックスペースが備わります。
※ボードゲームやジグゾーパズルなどで仲間と楽しめる「ゲーム・ルーム」もグランド・ロビー近くに配置

ボードゲームやジグゾーパズルなどで仲間と楽しめる「ゲーム・ルーム」もグランド・ロビー近くに配置

ライブラリー

デッキ12には海を眺めながらくつろげるライブラリーも

昼はアフタヌーン・ティー、夜は社交ダンスに紳士淑女が集うキュナードの象徴ともいうべき「クイーンズ・ルーム」は、クイーン・アンで大きく進化した施設の1つです。

従来の利用にとどまらず、講習会や多彩な分野の音楽やショー、例えばヘッドホンをして好きな音楽で踊る「サイレントDISCO」まで、幅広いイベントを開催。それにあわせてLEDの背景が変化し最高の舞台を作り出します。
クイーンズ・ルームの背景はLEDでイベントの内容に合わせて変化する

クイーンズ・ルームの背景はLEDでイベントの内容に合わせて変化する 

静かなのにみんなノリノリ?「サイレントDISCO」を偶然見かけて筆者も参加

静かなのにみんなノリノリ? 「サイレントDISCO」を偶然見かけて筆者も参加

往来が多い場所にあり、通りがかった人が「何をしているんだろう?」と思わず立ち止まり参加をする姿も多くありました。好奇心を刺激し、思いがけないコトとの出会いがあるのもクイーン・アンならではの魅力です。
クイーンズ・ルームにはこんな斬新なデザインの席も!

クイーンズ・ルームにはこんな斬新なデザインの席も!

施設は進化しても、キュナードの伝統は受け継がれています。「生演奏を聴きながらの優雅なアフタヌーンティー」もその1つ。
毎日15時からは船全体でアフタヌーンティーを開催。スコーンが絶品!

毎日15時からは船全体でアフタヌーンティーを開催。スコーンが絶品!

「スコーンだけ気軽にいただきたい」という場合は、フードホールやルームサービスでもオーダーができます。カリンシア・ラウンジでは、5種類のシュークリームをアフタヌーンティーに提供。好みに合わせて楽しめるのがクイーン・アンのスタイルです。
カリンシア・ラウンジのアフタヌーン・ティーの時間に頂ける5種のシュークリーム

カリンシア・ラウンジのアフタヌーンティーの時間にいただける5種のシュークリーム

気になる客室は? バスルームが使いやすく進化、テレビは多言語化で日本語も

キュナードは伝統的なクラス制を採用しており、クラスにより専用のメインダイニングがあります。

筆者はブリタニア・バルコニーの客室に滞在しました。客室は青を基調に絨毯(じゅうたん)やソファなどに幾何学模様が採用されたモダンな雰囲気。バスタブはありませんが、シャワー室はガラスで仕切られていて、可動式ハンドシャワーも備わっており、使いやすい仕様です。
※クイーン・アンの客室(ブリタニア・バルコニー)

クイーン・アンの客室(ブリタニア・バルコニー) 

シャワーはガラス製の扉で使いやすい

シャワーはガラス製の扉で使いやすい 

今まで体験したことのないふかふかのバスローブとスリッパも

今まで体験したことのないふかふかのバスローブとスリッパも

客室にはオンデマンドテレビが導入され、船内の基本情報は日本語含めて多言語で表示されます(一部除く)。

筆者が乗船した2025年1月には日本人スタッフが乗船していましたが、2025年6月現在、日本語が話せるスタッフの乗船はフレキシブルな対応になっています。英語に自信がない場合は添乗員付きのツアーなども催行があるので、そちらを利用すると、船内で必要な情報が日本語で提供されるので安心です。 
筆者乗船の際には日本語版の船内新聞(抜粋版)もあったが現在は提供がなく

筆者が乗船した2025年1月には日本語版の船内新聞もあったが、現在は紙での提供はなくオンデマンドテレビなどで対応 船内情報

客室のオンデマンドテレビには船内情報が多言語で表示される(一部メニューを除く) 

期待を裏切らない美食体験:多彩なダイニングと利便性の高いフードホール

キュナードは客室クラスによりメインダイニングが変わります。筆者は2層吹き抜けで白とブルー、ゴールドの組み合わせが上品な「ブリタニア・レストラン」を利用しました。行き届いたホスピタリティと、日本人の味覚にあう料理を優雅に堪能できます。
ブリタニアレストラン

ブリタニアクラスのメインダイニング「ブリタニア・レストラン」 

フォーマルの日には、英国の伝統料理「ビーフウェリントン」も登場!

フォーマルの日には、英国の伝統料理「ビーフウェリントン」も登場!

クイーン・アンにはビュッフェがありません。その代わりに新たに登場したアルティザンズ・フードホールは、8つのオープンキッチンでゲストの好みに応じ調理をするライブ感漂うレストランです。
※アルティザンズ・フードホールは時間によりメニューが変わる

アルティザンズ・フードホールは時間によりメニューが変わる

パスタなら、パスタの種類や食材を指さし、片言の英語で好みのソース、量などを伝えれば好みにアレンジして出来立てをサーブしてくれます。食事の時間はあまりかけたくないけれど、ビュッフェでは味気ないと感じることも船旅では多いので、フードホールは非常に使い勝手がよく何度も足を運びました。
スタッフとのやりとりも楽しく、「自分のために作ってくれた」という特別感も

スタッフとのやりとりも楽しく、「自分のために作ってくれた」という特別感も

キュナードの船は、バーやカフェにもそれぞれオリジナルのフードメニューがあり、一部のメニュー、スペシャリティレストランを除き、基本は無料です(ルームサービスは朝食のみ全クラス無料)。

例えば、英国パブ「ゴールデン・ライオン」では、ランチメニュー(英国のソウルフードフイッシュ&チップスやカレーが人気)があり、こちらもフードは無料で必要なのはドリンク代のみ。カフェもスイーツは無料で、コーヒーは有料といった具合です。
 ※ゴールデン・ライオンのフィッシュ&チップス。3種類あるキュナード・ビールとあわせたい

ゴールデン・ライオンのフィッシュ&チップス。3種類あるキュナード・ビールとあわせたい

さらに4つのスペシャリティレストラン(有料)があり、世界の美食を堪能できます。創作和食レストラン「Aji Wa」は目にも美しい新感覚の和食。ベースとなる「出汁」が日本人も納得のクオリティーで、コース料理もしくは居酒屋スタイル(アラカルト)でいただけます。
 創作和食レストラン「Aji Wa」

創作和食レストラン「Aji Wa」

 創作和食レストラン「Aji Wa」

創作和食レストラン「Aji Wa」の鮨カウンターでは刺身や巻き寿司も楽しめる

キュナード日本酒

日本酒のラインアップも豊富。キュナードオリジナルの日本酒もあり航海中に一度は試したい

インド料理の「アランヤ」は、イギリスのインド料理界では有名なシェフ、ジョリーが監修

インド料理の「アランヤ」は、イギリスのインド料理界では有名なシェフ、ジョリーが監修

クルーズで心と体を整えるのが今流! ウェルネスな施設が登場

世界的にウェルネス(健康)が注目される中、キュナード初の施設として登場したのが「ウェルネス・カフェ」。発酵食品やスーパーフードなどを取り入れた体にいい健康的なメニューが提供され、コールドプレスジュース(有料)も人気です。

オープンエアのウェルネス・スタジオでヨガなどのプログラムを受講後、あるいは甲板をランニング後に立ち寄る人も多く、豪華だけではない新たなクルーズでの過ごし方をサポートしてくれます。
屋外型のウェルネス・スタジオ。晴れた日には太陽や海風を感じ気持ちいい

屋外型のウェルネス・スタジオ。晴れた日には太陽や海風を感じ気持ちいい

ウェルネス・カフェの朝食メニュー一例

ウェルネス・カフェの朝食メニュー(一例)

ザ・パビリオン

開閉式の屋根があり、全天候型で楽しめる「ザ・パビリオン」。ウェルネス・カフェはこの一角にある

まとめ~ゲストに寄り添い、過ごすほどに愛着がわく「クイーン・アン」

クイーン・アンは多くの人が楽しめるような工夫や気遣いが随所にあり、ゲストのさまざまなニーズに応えてくれます。船内は4000枚のアートが彩り、室内装飾も、模様に絵が隠れていたり遊び心が感じられるデザイン。好奇心旺盛な人は、船内でさまざまな発見をする楽しさもあります。
グランド・ロビーのアート

グランド・ロビーを彩る船のアートは、見る角度によりキュナード創業の地リバプールの街並みや世界各地のアイコン(写真)へと変化するのもユニーク

「ブライト・ライツ・ソサエティ」

英語力とユーモアセンスが試されますが、ゲスト参加型の没入型ショー「ブライト・ライツ・ソサエティ」もクイーン・アンだけで体験できる新しいコンテンツ

クイーン・アンは、英・サウサンプトンを母港に「英国周遊」「オーロラ北欧クルーズ」などの魅力的なコースを運航。1つの体験として2泊からのショートクルーズに乗船するのもいいですし、長く乗船すれば、クイーン・アンの考え抜かれたサービスを存分に味わえますよ。
サウサンプトン

サウサンプトンには中世の街並みも残る。ヒースロー空港からコーチバスでアクセス

またタイタニックが出航した港であるサウサンプトンにはタイタニックゆかりのスポットや博物館(SeaCityMuseum)があります。中世の街並みも残るなど、クルーズ好きなら一度は訪れたいスポットです。クルーズの歴史や伝統を感じながら新しい船で行く海外クルーズを、ぜひ検討してみては?

キュナード
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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