ニュースにくぎ付けになった海難事故

セウォウ号の沈没

韓国の貨客船「セウォウ号」の沈没事故

映画『タイタニック』が大ヒットして以来、「客船の旅は、優雅だけど船は沈むのでは」というイメージをお持ちの方もいるかと思います。さらに2012年に地中海でイタリア系の大型客船コスタ・コンコルディアが座礁事故を起こし、日本人乗客も乗っていたため、大きなニュースになりました。そして、2014年4月に起きた、韓国のフェリーの事故では多くの若い命が奪われた上に捜索の時間もかかったため、隣国日本としても毎日何度も報道されました。

それぞれの事故原因は何だったの?

悲劇の客船タイタニック

華々しく処女航海に出航するタイタニック

■タイタニックの事故原因
タイタニック(4万6,328トン)の事故原因は、1912年、処女航海でイギリスからアメリカに向かう途中、大西洋横断の最短記録を目指していたため、警告を受けていたにもかかわらず減速せず、氷山にぶつかったことです。夜間であったために視界が悪く、監視に双眼鏡が使われていなかったなどのミスも重なっています。多くの死者を出した理由としては、救命ボートの数が不足していたこと、すぐに救難信号を発しなかったことにあります。定員1324人、乗組員899人の船でしたが、1513人の犠牲者が出ました。

■コスタ・コンコルディアの事故原因
コスタ・コンコルディアの場合は、2006年に造られ、乗客定員約3276人、乗組員1023人の紛れもない近代の客船です。典型的な地中海7泊クルーズの初日、浅瀬に乗り上げて座礁し、著しく損傷した船底から浸水、やがて転覆(横転)しました。コンピューターに設定されている航路を船長命令で、クルーの家族が住む近くの島になるべく近づくように命令を出し、浅瀬に乗り上げたのが理由です。避難指示を出すべき船長が先に逃げ出し、避難誘導や海洋警察への救助要請の遅れも問題となっています。残念ながら30名が死亡、2名が行方不明となり、現在も撤去作業が行われています。

■セウォル号の事故原因
韓国のセウォル号(6,825トン)は、客船ではなく、人、車、貨物を載せて運ぶ「貨客船」(フェリー)で、仁川港から済州島に向かっていた国内フェリーです。修学旅行中の生徒325人と引率教員14人、一般客108人、乗務員29人の計476名が乗船していました。こちらも、規定上の積み荷を乗せ込み、そのために船の重心を支えるバラスト水を捨て、船は不安定に。出航時刻が遅れたために、フルスピードを出し、舵を切った時に船全体のバランスが崩れ、転覆しました。通常は乗務員が避難誘導を行うはずでしたが、その教育もされておらず、船を放棄して救助された船長や航海士たちが逮捕される事態になっています。現在は269人の犠牲者が出ていますが、まだ救助活動が続けられています。
 

タイタニックやコスタの事故から学んだことは?

イタリア客船コンコルディア

地中海で起こったコスタ・コンコルディアの座礁事故

タイタニックの時代は飛行機がまだ一般的でなく、どんな天候でも大西洋を横断し、アメリカとヨーロッパをつなぐ役目がありました。事故後は、アメリカ沿岸警備隊(USCG)が氷山のデータや情報を細かく提供し、船側も、氷山の警告を深刻に捉えるようになりました。救命ボートなども予備を含め決められた数を積載するようになりました。

コスタ・コンコルディアの場合、ローマ近郊の港を出発して、すぐに起きた事故でしたので、乗客が必ず行う避難訓練がまだ行われておらず、混乱が起きました。それまでは、最初の港を出航した後か、翌日が終日航海日(どこにも寄らない日)であれば2日目に行うことも多かったのですが、現在国際的なクルーズ(日本船も含む)は船が出る前に「必ず」「絶対参加」の避難訓練を行うように変わりました。誘導役となるクルーのみの避難訓練も以前から2週間に1回、必ず行われています。これは国際法によるもので、両方が必ず行われなくてはいけません。

セウォル号の場合は国内のフェリーですから、どのような避難訓練があったのかはわかりません。実際に日本のフェリーでも客船のように徹底した避難訓練はありません。島国日本で生活のための移動にフェリーを使う方も多いので、フェリーの安全管理も厳しくなってくる可能性がありますね。

船の旅は危険な旅ではありません

世界には300隻以上の客船がクルーズを行い、いまや北極や南極もクルーズで一般の人が行ける時代です。乗船人数が多いので、事故があると目立ちますが、客船の事故率、死亡率はかなり低いものです。人為的ミスを防げるように、機器もハイテク化し、さらに万が一の場合の対応や救命方法も基準が高くなっているので、客船の旅は本来、安全なものなのです。コスタ・コンコルディアの乗客は、事故後(もちろん賠償なども終わった後)、無料のクルーズチケットをもらい、多くの人が再び地中海クルーズを楽しんだそうです。

もちろん、過去の事故やその理由は知っておくに限ります。客船であれば、避難訓練にしっかり出ること、国内フェリーなどで避難訓練がない場合も万が一のことを考え、救命胴着の場所、避難経路などをイメージしておくことが大切です。

通常のクルーズであれば、神経質になる必要はまったくありません。本当に「大船に乗った気持ち」でクルーズを積極的に楽しんでほしいと思います。
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