そこで今回は、筆者が講演のときなどに質問を受けることが多い「キッチンハイターでお風呂掃除をしてもいいの?」という疑問にお答えします。
キッチンハイターでお風呂掃除をしてもいい?

キッチンハイターでお風呂掃除をしてもいい?
キッチンハイターとお風呂用カビ取り剤の違いは?
塩素系漂白剤の主成分となるのが、次亜塩素酸ナトリウム。キッチンハイターに含まれる次亜塩素酸ナトリウムの濃度は約5~6%程度です(花王公式Webサイトより)。一方で、市販のお風呂用カビ取り剤(例:カビキラー、カビハイターなど)の次亜塩素酸ナトリウムの濃度は2.5~3%程度で、キッチンハイターの方が高濃度となります。このため、キッチンハイターはカビへの効果が強力ということになります。しかし、同時に皮膚や目、浴室の素材にも刺激が強く、取り扱いには注意が必要です。
また、キッチンハイターには界面活性剤が含まれてはいるものの少量で、基本的には「塩素で漂白・殺菌すること」に特化した成分構成です。一方で、お風呂用のカビ取り剤には塩素以外にも泡立ち成分や密着性を高める成分が配合されており、壁やパッキンにとどまりやすく、長時間作用させることができます。
キッチンハイターを使っていい場所/使わない方がいい場所
【使ってもいい場所】・ドアのゴムパッキン
黒カビがひどい場合は、キッチンハイターをかけてからラップをするといいでしょう。
・排水口まわり
・浴室の床のすみや壁の下部
頑固なカビがある場合はキッチンハイターを使います。カビがない場合はキッチンハイターを使う必要はありません。
【使わない方がいい場所】
・天井や高い壁面
液がたれて目や肌に触れる危険があるので避けましょう。
・金属製の部品
蛇口やシャワーヘッドなど金属製の部分に使うと、変色や腐食の原因になります。
・人工大理石や木製の素材
浴室に人工大理石や木製の素材がある場合、そこにキッチンハイターを使うのは避けましょう。変色や劣化の可能性があります。
お風呂掃除にキッチンハイターを使う場合の注意点
・必ず換気をする塩素ガスは刺激臭が強く、密閉空間では体調を崩すおそれがあります。必ず換気扇を回し、窓を開けるなどして換気を徹底してください。
・ゴム手袋とマスクを着用する

ゴム手袋とマスクは必須!
・ほかの洗剤と絶対に混ぜない
酸性の洗剤やクエン酸などと混ぜると、有毒な塩素ガスが発生します。「混ぜるな危険」の表示を守りましょう。
・使用後はしっかり洗い流す
残留成分があると素材の劣化や肌トラブルにつながるため、十分な水で洗い流してください。
・子どもの手の届かない場所で保管する
誤飲や誤使用の危険があるため、使用後はしっかりキャップを閉め、保管場所にも注意しましょう。
キッチンハイターはお風呂の黒カビにも効果を発揮しますが、本来の用途外であるため使用には十分な注意が必要です。濃度が高く取り扱いも難しいため、家事に慣れていない人はお風呂専用のカビ取り剤を使う方が安全で確実といえます。どうしても使う場合は、使っていい場所を限定し、安全対策をしっかり行った上で使用しましょう。
参考:
花王公式Webサイト