All About編集部は就職氷河期世代のユーザーを対象に、就職活動での経験や現在の年収や暮らしへの影響などに関するアンケートを実施。彼らは今、どのような思いを抱いて生活しているのか。今回は、長崎県在住51歳男性のエピソードを紹介します。
回答者のプロフィール
回答者本人:51歳男性家族構成:独身(子なし)
雇用形態:正社員
職業:学習塾講師
世帯年収:500万円
現在の年収や暮らしに満足しているか:満足していない
「文学部って毎日、本だけ読んでたらいいから楽だよね~」
男性は就職活動で苦労したりつらい思いをしたりしたことがあると回答。「就職氷河期真っ只中だったので、ただでさえ厳しい状況の中、地元(かなりの田舎)ではコネが無いとほぼ100%就職できない地域で余計に苦労した。面接に行っても出来レースが大半だった」
また、就職活動時に言われてショックだった言葉があると言います。
「文学部出身なのでかなり馬鹿にされた。ある就職面接で『文学部って毎日、本だけ読んでたらいいから楽だよね~』と面接官から思い切り馬鹿にされた。ただでさえつぶしの効かない学部なだけに、この言葉はかなりショックだった」
就職活動の結果には満足できなかったと回答。
「かなりの企業に応募したが、そもそも面接にすらたどり着くことができないことが多かった。やっと面接にたどり着けても、そもそも採用する気がない雰囲気が漂っていた。結局、どこも内定は取れず、アルバイトで学習塾講師をして15年近く食いつなぎ、途中でやっと中途採用の形で今の会社に拾ってもらった」
そもそも給与水準が低くベースアップも望めない
男性に就職氷河期が現在の年収や暮らしに影響を与えているかと聞いたところ、あると回答したうえで、「バブル崩壊後でそもそも給与水準が低く、しかも自分のように中途採用の形では正規の出世コースからも外れているので給与ベースのアップも望めない」と、給与を上げたくてもままならない状況に不満を抱いている様子がうかがえます。男性が一番羨ましいと思う世代は20代で、「学力レベルも低下し、さらに大学入試も学力テストを伴わない形式が主流になり、ある意味『ズルい』方法で比較的難関大学に潜り込むことが可能になり、しかも貸与型の奨学金まで導入されて、人生イージーモードを謳歌(おうか)している世代だと思うから」とコメント。
最後に、国や行政に伝えたいことを聞きました。
「国や政治家が20~30年後を見通すビジョンを持っていたら今のような状況にはなっていなかったはず。労働力の安定的な補充を軽視したため、日本の国際競争力が低下したのは当たり前だと思う」
就職氷河期世代に対する支援策が今後どのように展開されていくのか、注目したい。
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<参考>
厚生労働省「就職氷河期世代の方々への支援のご案内」
<調査概要>
就職氷河期世代に関するアンケート
調査方法:インターネットアンケート
調査期間:2025年5月23日
調査対象:全国30~50代の100人(男性:48人、女性:51人、回答しない:1人)
※回答者のコメントは原文ママ