亀山早苗の恋愛コラム

「私がお義兄さんと一緒になるべきだった」そう言い残し妹が突然死。姉妹の“心の闇”とは

2歳違いの妹とは20代半ばまでは本当に仲がよかった。だが「ある事件」が起こり、姉妹の関係は微妙なものになる。さらにその後、姉は夫からの告白を受け、妹への連絡を絶つように。そして妹は突然死……。姉妹に起こった出来事と二人の“心の闇”とは。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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仲のいい姉妹を絶縁させた事件とは……

仲のいい姉妹を絶縁させた事件とは……

姉妹というのは仲がいいか悪いかに分かれる傾向があるようだ。適度な距離をとりながらうまくやっているという話はあまり聞かない。特に一方が家庭をもち、もう片方がもっていない場合、女性同士のマウント合戦もあるのか不仲になりがちだ。

昔は仲がよかったのに

「4年前、妹は不慮の事故で亡くなったんです。自室から転落したんですが、事故なのか自殺なのか分からない。けっこう酔っていたみたいなので、窓際に座ってうっかり落ちたのではないかと私は思っています。自ら命を絶ったとは思いたくなくて……」

悲痛な声でそう言うのはミユキさん(46歳)だ。2歳違いの妹は、当時40歳になったばかりだった。会わなくなって3年以上がたっていた。

「子どものころから20代半ばくらいまでは本当に仲がよかったんです。妹は私と同じ高校、大学へと進学して。学生時代もいつも二人で一緒にいたから『そんなことじゃボーイフレンドもできないわよ』と母が心配していたくらい」

ミユキさんが就職し、その2年後に妹も就職した。ミユキさんは第一希望の仕事に就いたが、妹は希望した企業にことごとく落ち、意に染まない中堅企業に入社した。それでもミユキさんは「あなたならどこへ行っても大丈夫。入社した会社で頑張って」と励まし続けた。

ある出来事が起こり妹と疎遠に

「妹も頑張っていましたよ。入社して1年たったときはすでに会社から頼られていると言っていたくらい。希望の企業に入れなくて落ち込んでいた時期もあったので、ホッとしていたんです」

一方のミユキさんは海外出張もこなすなど、仕事は順調だった。そしてミユキさんが27歳、妹が25歳のときに「ある事件」が起こった。そこから姉妹の関係は微妙なものになっていったのだ。

「共通の友達の結婚パーティーに行ったとき、新郎の友人である男性と知り合ったんです。私も妹も彼のことが気に入って、後日、彼の友人と4人で食事をして。妹はそのとき『彼はお姉ちゃんが好きみたい』とつぶやいていました。彼女の予想通り、彼から私に連絡があってデートに誘われた。でも私、妹には言いづらくて……」

こっそり彼とデートを重ね、1カ月後には恋人関係になった。黙っているわけにはいかず、彼女は妹に打ち明けた。

家を出ていった妹

妹はミユキさんと顔を合わせたくなかったのか、ある日突然、実家を出て独立すると宣言、その1週間後には越していった。

「そして私は彼と1年ほどつきあって、28歳のときに結婚したんです。妹は結婚式には来たけど、その後の共通の友人知人が開いてくれたパーティーには参加しませんでした。妹の友人から『お姉ちゃんが私の恋人を奪ったと言ってる』と聞いて、私も非常に不愉快になり、そこから妹には連絡しなくなりました」

その後、ミユキさんは妊娠。ミユキさんの動向は母を通して妹にも伝わっているはずだが、妹からは連絡はなかった。

「安定期に入ったころ、夫が『言わない方がいいのかもしれないけど、夫婦で隠し事はしたくない』と、実は妹に迫られていたと教えてくれた。最初は相談があるということで会ったけど、帰り際に道端で告白され、大泣きされて大変だった。なんとかアパートの前までタクシーで送って、自分はそのまま帰ってきたけど、それ以来、何度かアプローチされているって。でも僕は絶対に裏切らないし、安定期に入ったから今後は報告するからと。カッとなりましたが、怒ると体によくないから、ミユキは知らないふりをしていた方がいいと言われました」

母親にはその話をしておいた。頭には来たが、妹の気持ちを考えると孤独に追いやってはいけないような気がしたからだ。母も分かってくれた。

「その後、女の子を出産したとき、母が妹に連絡してくれて、妹も来てくれたんですよ。だけどあまり笑顔もなくて『本当は私がここにいるはずだったのに』と言い残して行きました。確かに最初は妹も彼を気に入っていたけど、私と彼がつきあって結婚することになったのは二人の意志。夫は『僕は最初からミユキだけしか見てなかった』と言うのだから、仕方がないですよね……」

父が亡くなり妹に連絡したが……

ミユキさんは共働きをしながら、夫婦で協力して家事育児に精一杯頑張った。ところが孫をかわいがってくれていた父親が突然、病気で亡くなった。ミユキさんが40歳のときだ。妹に連絡したものの、通夜にも葬式にも来なかった。

「アパートに行ってみたけど出てこない。新聞受けに手紙を残してきましたが、妹からは連絡がありませんでした。ようやく落ち着いたころ、夫が『実はあの時期、妹に会ってお葬式くらいには出るように説得したけど無理だった』と話してくれた。また酔って迫られると困るから、アパートの近くの公園で昼間会ったけど、帰り際にしがみつかれて、たまたま通りかかった警察官に助けてもらったそうです。夫が言うには『仕事には行っているみたいだけど、他のつきあいはいっさい断っているらしい』って。心配だったけど私には会いたくないだろうし」

ある日、妹から留守番電話にメッセージが入っていた。「やっぱり私がお義兄さんと一緒になるべきだったと思う」と妹は吹き込んでいた。ミユキさんは母にも夫にも、その電話のことは話していない。

「その3日後だったんです。妹が亡くなったのは。私のことを恨んでいたんだろうと思うとけっこうつらい。カウンセリングにかかりながら、私は私の家庭のことだけを考えようと頑張ってきました。妹を救うことができなかったのが苦しいけど、彼女はずるい。今も妹のことは整理がつかないままです」

こじれたままの関係でいなくなってしまった妹のことは、これからも私の心の重荷になると思うと、ミユキさんは苦悩の表情を浮かべた。
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