お金が貯まらない原因は「思考回路」にあった?
これまで筆者は多くの「お金が貯まらない人」にお話を聞いてきました。その方々の共通点として挙げられるのが、一定の「思考」に陥りがちだという点です。同じくらいの収入や生活水準でも、「思考回路」1つで貯蓄ができる人と、できない人に分かれてしまうのです。
では、そんな「思考回路」とは? お金が貯まらないと悩んでいる人が陥りがちな「NG」な思考パターンを4つお伝えします。
NG思考回路1:「物価高のせいで、お金が貯まらない」
ここ数年、物価高を痛感する日々ですよね。同じスーパーに通って、同じ商品を見ると、たった数日でも「数十円上がっている!」なんて驚くこともあるものです。
そんな物価高ゆえ、お金が貯まらないと諦めている声もよく聞きます。
しかし、同じ物価高のあおりを受けながらも、上手に貯めている人もいるのです。そういう人は、物価高でも支出を見直し、不要だと感じる支出を思い切って削減しています。
つまり、「物価高」だからといって、すぐに「お金が貯まらない」とあきらめるのはもったいないこと。「物価高のせいで、お金が貯まらない」思考に陥っている人は、まずはその思考を改め、支出を見直していきましょう。
●「支出を思い切って見直す」ときのアドバイス
例えば、見直しやすいのが「サブスクリプション(サブスク)」で契約しているサービスです。サブスクで契約できるサービスには、動画・音楽配信サービスや電子書籍の読み放題サービスなど、さまざまなものがあります。クレジットカードで自動引き落としになっていると、つい忘れてしまいがちです。以前は使っていたけれど、最近は使っていないサービスがきっとあるはず。改めて確認してみて、不要ならカットしましょう。
また電気代も、電力会社やプランを見直せば、月数百円ほど下がるケースが多いです。加入している保険の保障が過剰であれば、見直すことで保険料の削減につながります。
食品ロスにも要注意。食材をお得に買っても、使い切れずに捨ててしまえばムダな支出です。食材をしっかり使い切ることでも節約につながります。
物価高とはいえ、このように支出を見直す余地は必ずあるはずですので、一度チェックしてみましょう。
NG思考回路2:「昔から貯めるのが苦手」
お金が貯まらないと悩む人の中には「昔から貯蓄が苦手だったから、仕方ない」という思考に陥っている人も多いです。「子どもの頃から、お小遣い帳が続かなかった」「お年玉をすぐに使ってしまうタイプだった」と自分の性格を理由にして、貯蓄を諦めてしまうのです。
しかし、大人になった今は、子どもの頃と違って工夫ができるはず。しかも、貯めるためのサービスや仕組みがどんどん進化しています。
それなのに「貯蓄が苦手」と思い込み、自分に言い聞かせてしまっていないでしょうか。
心当たりがあれば、まずは思い込みを捨ててみましょう。意識を少し変えてみれば、意外と行動は変わっていくもの。最近は、便利なサービスも出てきているので、うまく取り入れたいところです。
●「貯めるのが苦手」な人におすすめなサービスは?
貯めるのが苦手な人は、貯蓄を自動化させてしまうことがおすすめ。例えば、銀行の「自動積立定期預金」に月1万円で申し込めば、それ以降は何も手を煩わせることなく、自動的に月1万円ずつ貯まっていきます。
忙しい日々に流されているうちに、1年たてば12万円と大きなお金に。「意外と貯められた!」と驚くはずですよ。
NG思考回路3:「今が楽しければ、それでいい」
貯蓄が苦手な人は、「貯めなくては」と考えることに嫌気が差して、「未来のことは、未来にまた考えよう。今を楽しむことが大切だ!」と、貯蓄を最初から投げ出してしまうケースもあります。確かに、未来のことばかり考えて今を楽しめないことは健全ではありませんし、今の生活費を極限まで削って苦しい思いをするのは本末転倒……。ですが、未来の自分が、お金で苦労してしまうのはやっぱりかわいそうですよね。
そこで、「今が楽しければ、それでいい」と考えがちな人は、「今も楽しみつつ、未来の自分も楽しむ」という発想に転換させてみましょう。
例えば、毎月数千円でも貯まる仕組みをつくるようにすれば、将来のための「貯蓄」は確実に増えます。お金を使って今を楽しみながらも、将来も楽しめるように、まずは少ない金額から貯めていきましょう。
●「今も未来も楽しむ」ためのアドバイスは?
貯めよう、貯めようと思い続けることは面倒ですし、貯蓄を諦めてしまう原因にもなります。そのため、NG思考回路2で紹介したように、銀行で「自動積立定期預金」を設定して、何もしなくても自動で貯まる仕組みを取り入れましょう。
時間がたてばたつほど貯蓄が増えていき、未来の自分が、自動積立定期預金を申し込んだ今の自分に、きっと感謝するはずです。
NG思考回路4:「他の人と自分を比べてしまう」
お金が貯まらない人は、他の人と自分をつい比べてしまう傾向にあります。逆に、お金が貯まる人は「自分は自分」と考え、他の人にあまり目がいきません。それゆえ、自分の支出を見つめ、自分にとって不要な支出に気づいて削ることにつながり、自分に必要な貯蓄を淡々と確保していけるのです。
貯蓄が苦手だと感じている人は、「あの人は収入が多いからいいな」「あの人は、こんなお店に行っているな」などと、他の人と比べていないでしょうか。
他の人と比べることで、ついマネをしたくなったり、対抗心が芽生えたりして、余計な支出につながりかねません。
他の人の見えている部分は、実はその人の一部分。キラキラ部分だけが見えていて、マイナス面を他の人からは見えていない可能性もあります。
つい人と比べてしまう人は、まずは「あの人の見えている部分は、一部分だ」と認識して、その人の100%だと受け取らないようにしましょう。
●「他の人の様子を気にしない」ためのアドバイスは?
他の人の様子が気になったら、目線をすばやく自分自身に移してみましょう。
「今、他の人が気になったな」「いやいや、まずは自分自身はどうかな」「自分にとって必要な支出はなんだろう」「自分はどれくらい貯めたいのだろう」と、自分自身と対話をしてみるのです。
過去の自分や今の自分、未来の自分を比べてみれば、自分が進歩している姿や改善点が見えてくるはず。少しずつ支出改善や貯蓄につながって充実感をおぼえて、他の人の様子が気にならなくなるはずです。
自分の思考回路は「気付くこと」で変えられる
今回ご紹介した4つの「NG思考回路」を見て、当てはまるものがあった人もいるのでは?もしあれば、ぜひその思考から抜け出しましょう。「自分はこう考えがちだな」と気づければ、次に同じ思考に陥りそうになったときに、立ち止まって考え直せるはず。
「自分は貯蓄はできない」と思い込んでいても、意識が変わって少しずつ貯められるようになれば自信につながります。そうして、また次の貯蓄へとつながっていくでしょう。
そしていつか貯蓄に助けられ、「あのとき、思考回路を変えられてよかったな」と、自分自身に感謝する日がきっと来るはずです。