そんなとき、貯蓄上手な人が実践している「目的別に口座を分ける」という方法をまねしてみてはどうでしょう。というのも、なんとなく複数の口座を持っているよりも「このお金は何のため?」を明確にすることに意味があるからです。今回は、目的別口座のメリットや口座の分け方、実践ポイントを分かりやすくご紹介します。
目的別口座とは?
「目的別口座」とは、お金を使う目的ごとに口座を分けて管理する方法です。例えば、「生活費」「旅行」「生活防衛のための貯金」「老後資金」「家電積み立て」「飼い猫積み立て」など、それぞれの目的に応じて専用の口座を持つことです。これにより、お金の使い道が明確になり、計画的に貯めやすくなります。ただし、一般的には1つの銀行で1人につき1口座しか開設できません。不正利用を防ぐためです。しかし、一部の銀行では、目的が明確であれば複数の口座開設を認めている場合もあります。同じ銀行で複数の口座を持ちたいときは、事前に金融機関に相談してみるのがおすすめです。
目的別口座を持つメリットとは?
お金を効率的に管理するために、目的ごとに口座を分ける「目的別口座」には、さまざまなメリットがあります。●お金の使い道がハッキリして管理がしやすい
お金を「使う用」「貯める用」とごちゃまぜにしていると、つい使い過ぎてしまうことも。目的別に口座を分けることで、使っていいお金と、取っておくべきお金が明確になり、日々の支出も計画的になります。例えば、旅行資金や教育資金など、目標に応じて分けておけば、目的に沿った貯金がしやすくなります。
●自然とお金が貯まりやすくなる
口座が1つだけだと、「いくら貯まったか」「どこまで使っていいか」が分かりづらく、貯金のペースが乱れがち。目的ごとの口座に分けておけば、進捗(しんちょく)を「見える化」できるので、達成感も得られやすく、貯金のモチベーションが高まります。生活費と混ざらないよう、引き出す口座も限定すれば、使い過ぎを防げます。
●トラブル時のリスクを分散できる
万が一、金融機関のシステムトラブルなどでメイン口座が使えなくなっても、サブ口座を別に持っていれば、必要な支払いに対応できます。特に生活防衛のための資金は、別の銀行口座に分けておくと安心です。複数の金融機関に口座を持っておくことで、いざという時の備えになります。
また、1つの銀行に大きな金額を預けていると、その金融機関が万が一破綻した場合、1000万円とその利子分までしか保護されません。複数の金融機関に分散しておくことで、預金保険制度の範囲内でリスク軽減が可能です。特にまとまった貯金がある方は、分散管理しておきましょう。
目的別口座を運用する際の注意点
目的別口座を活用することで計画的な貯蓄や資金管理が可能になりますが、その際、注意点もあります。●セキュリティ対策も含めた管理を徹底する
複数の口座を持つと、それぞれの口座の暗証番号やログイン情報の管理を徹底することが大切です。セキュリティ対策として、口座ごとに異なるパスワードを設定し、定期的に変更することが推奨されます。また、パスワード管理アプリを利用するなどして、安全かつ効率的に管理するようにしましょう。
●口座間の資金移動に振込手数料が発生する
異なる銀行間で資金を移動させる場合、振込手数料が発生することがあります。手数料は金融機関や振込金額によって異なりますが、頻繁に資金移動を行うと年間でまとまった金額になってしまう可能性もあります。
目的別口座の運用を成功させるためのポイント
メリットや注意点を踏まえ、目的別口座の運用を成功させるためのポイントは次の3つです。●収入が入ったらまず自動で振り分ける
給与や収入が入金されたら、すぐに各目的別口座へ自動的に振り分ける設定を行いましょう。多くの銀行では、定額自動振替サービスを提供しており、毎月決まった日に指定金額を自動で移動させることができます。これにより、手間をかけずに確実に貯蓄を進めることが可能です。
●口座の残高を定期的にチェックする
各口座の残高や入出金状況を定期的に確認する習慣を持ちましょう。スマートフォンのアプリやインターネットバンキングを活用すれば、複数の口座の状況を一括で把握することができます。これにより、目標達成までの進捗を確認することができます。毎月の貯蓄が負担になったときには設定金額を見直すことで負担なく続けられるでしょう。
●手数料や利便性も考えて金融機関を選ぶ
目的別口座を開設する銀行は、目的に応じて選ぶことが大切です。定期預金で預けるなら利率や満期条件がいい金融機関を、日常使い用ならATMの利便性や手数料の安さを重視するとよいでしょう。ただし、異なる銀行間では、振込手数料が発生することもあります。手数料を抑えるには、同一銀行内で目的別口座を開設するという手があります。さらに各銀行では給与や年金の受取口座にすることで、他行あての振込手数料が一定回数まで無料になるなどの「特典サービス」もあります。条件を満たせるように工夫してみましょう。
その際、「住信SBIネット銀行」のような、複数の目的別口座が作れるネット銀行を利用するとよいかもしれません。自身の利用目的やライフスタイルに合った金融機関を選びましょう。