
節約しながら幸せな人生に
本記事では、「人生の彩り」と「将来設計」を上手にバランスするために、大切なお金の心理学をご紹介します。
倹約家は浪費家よりも不幸になりやすい?
2008年に公開された『Remedying Hyperopia: The Effects of Self-Control Regret on Consumer Behavior』という消費行動についての研究によると、倹約家は浪費家と比べて人生に後悔しやすい可能性があるそうです。浪費家というと刹那(せつな)的な生き方をしていて、「将来、痛い目に遭う」といったイメージがあります。イソップ物語のアリとキリギリスでいう、キリギリスのような人生観です。
一方、倹約家というと長期目線な生き方をしていて、「将来、安心できる」というイメージがあります。こちらはアリのような人生観です。
とはいえ、これはバランスの問題で、どちらにも行き過ぎるのはよくありません。
たまにはどかーんと遊びたいときもあるでしょうし、気晴らしも大切です。一方で、将来を軽視するあまり老後に全く備えず、みんなが生活保護を受ける、というのも大問題です。
ブロニー・ウェア著『死ぬ瞬間の5つの後悔』によると、死ぬ間際に「自分に正直な人生を生きればよかった」と後悔する人も多いそうです。
節約で諦めてはいけない支出
では、節約で諦めてはいけない支出には、どのようなものがあるでしょうか?多くの方に共通しそうな支出としては、
- 新しいことに挑戦する支出
- 大切な人と過ごすための支出
マサチューセッツ総合病院の医師ブラッドフォード・ディッカーソン氏らによると、頭脳を若く保ち続けられる人は「新しい挑戦を恐れない」傾向があったそうです。
また、ハーバード・メディカル・スクールの心理学者、ロバート・ウォールディンガー氏によると、よい人間関係を持つ人ほど長生きで、健康で、記憶力がよいそうです。
裏を返すと、人間関係をおろそかにすると、早死し、不健康になり、記憶力が悪化するとも言えます。
どんなにお金持ちになれたとしても、新しいことへの挑戦もなく、孤独な人生を過ごすのは寂しいものです。
「節約するあまり、挑戦のない、退屈な暮らしが続いている」
「節約するあまり、最近、人付き合いが減った」
これらに当てはまる方は黄色信号です。将来に備えることは大切ですが、そのせいで後悔するのでは本末転倒です。
ほどほどに今を豊かに暮らし、ほどほどに将来にも備える。このバランス感覚を養っていきましょう。