今回は、個人が購入できる2つの国債、「新窓販(しんまどはん)国債」と「個人向け国債」の違いについて、初心者にも分かりやすくご紹介します。
個人向け国債には「新窓販国債」と「個人向け国債」がある
国債とは、国(日本政府)が資金を借り入れるために発行する債券(有価証券)で、いわば「借用証書」のようなものです。私たちが国債を買うことで、国にお金を貸すことになり、その見返りとして利子(利息)を受け取り、満期がくれば元本が戻ってくる仕組みになっています。最近、金利が上がってきたことや、リスクが低いことなどもあり、安定した資産運用を好む方に注目されています。
そんな国債の中でも、個人が購入できるタイプには次の2種類があります。
・新窓販国債(しんまどはんこくさい)
・個人向け国債(こじんむけこくさい)
どちらも金融機関の窓口などで購入できますが、特徴や仕組みが異なるため、自分に合ったものを選ぶことが大切です。以下では、それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。
新窓販国債の特徴とは?
新窓販国債は、銀行や証券会社などの窓口で買える国債です。「新型窓口販売方式」と呼ばれる方法で販売されていて、次のような特徴があります。・購入できる人:個人、法人、マンション管理組合など
・種類:10年・5年・2年の固定金利型
・購入単位:最低5万円から、5万円単位で購入でき1申込上限は3億円
・最低金利保証:なし
・中途換金:満期前でも市場で売却が可能
新窓販国債を中途換金する際は、市場で売却することになります。その時点での「時価」で売却するため、時価が購入時の価格を上回れば売却益が発生しますが、下回れば売却損が発生してしまいます。
個人向け国債の特徴とは?
個人向け国債は、その名のとおり個人だけが購入できる国債です。こちらは特に初心者向けに作られていて、元本割れしない安心設計が魅力です。・購入できる人:個人のみ
・種類:10年(変動金利)、5年・3年(固定金利)
・購入単位:1万円から、1万円単位で購入でき1申込の上限なし
・最低金利保証:0.05%
・中途換金:発行から1年経過後、中途換金可能(元本保証)
個人向け国債を中途換金する際は額面金額で売却することになります。そのため、元本割れリスクはありません。しかし、発行後1年は原則、換金不可となっているため、もし中途換金するときは、直前2回分の利子(税引後)が差し引かれます。
個人向け国債と新窓販国債の最新の金利は?
国債を選ぶときに気になるのが「金利」です。2025年4月時点の最新の金利は、次のようになっています。【個人向け国債】
・「変動10年」(第181回債)の金利は「年0.93%」
・「固定5年」(第169回債)の金利は「年0.95%」
・「固定3年」(第179回債)の金利は「年0.78%」
【新窓販国債】
・「新窓販国債10年」(第378回債)の金利は「年1.4%」
・「新窓販国債5年」(第178回債)の金利は「年1.0%」
・「新窓販国債2年」(第471回債)の金利は「年0.9%」
参照:現在募集中の個人向け国債・新窓販国債 : 財務省
金利だけを見ると、新窓販国債の方が高めの傾向があります。ただし、どちらを選ぶかは、以下の点をしっかり抑えることが大切です。
・「新窓国債」は最低金利保証がなく、国も買い取らないため、市場よりも低い金利が設定されてしまうと(償還まで待つ以外)は、債券の売値が落ち元本割れすることになる。
・「個人向け国債」の変動金利型においては、市場金利が落ちたときも年率0.05%の最低金利は保証される。
どちらの国債も固定型は発行時の金利が満期まで変わらないから、満期まで保有するなら、金利の高いものを選んでもよいといえるでしょう。
「新窓販国債」と「個人向け国債」は、どちらも比較的安定した資産運用の選択肢です。ただし、金利や換金のしやすさなど、それぞれに違いがあります。自分に合ったタイプを選び、無理のない範囲で取り組むことが、安心して続けるためのポイントです。