
インバース型ETF、買うべき?
「私は日経平均が下がっていくという予測をしていますが、その場合、インバース型のETFを買ったほうがいいでしょうか?」
トランプ大統領が就任してから、株式市場は乱高下が続いています。特に目玉の関税政策は二転三転していて、株式市場も荒れ模様ですね。
「トランプ米大統領が景気後退を招くのでは?」といううわさも出ていますね。そうなれば日経平均株価にも影響がありそうです。そこで本記事では、個人投資家である筆者が「インバース型ETFを買うのはどうか?」について考えていきます。
インバース型ETFに関する前提知識
本題へ移る前に、インバース型ETFとは何か、どのような性質があるのか、といった点について前提知識をおさらいしておきましょう。インバース型ETFというのは、対象となる指数の「反対に動く」上場投資信託(ETF)です。
例えば、日経平均株価という株価指数がありますが、「日経インバースETF」は日経平均株価とは逆に動くETFです。日経平均が1%上がった時、インバースETFは1%下がることになります。
ですから、日経平均株価が下がっている時にインバースETFを持っていれば、インバースETFが値上がりして利益につながると言えます。
一方、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)など、株価指数の逆をいくインバース型ETFは「長期保有すると負ける可能性が高い」という弱点があります。
なぜかというと、日経平均株価やTOPIXは、長期で見ると右肩上がりになる可能性が高いからです。上場企業の多くはお金を稼ぎ、稼いだお金を再投資してさらにお金を稼ぐ努力をしています。そして、実際に上場企業が稼ぐお金(EPS)は右肩上がりに増えてきました。
だから、日経平均株価やTOPIXは長期で見れば「右肩上がりになるだろう」と推測できます。であれば、その反対に動くインバース型ETFは右肩下がりになる可能性が高いです。
インバース型ETF、買うべき?
ここで、いただいた質問に戻ります。「私は日経平均が下がっていくという予測をしていますが、その場合、インバース型のETFを買ったほうがいいでしょうか?」
という点ですが、本当に下がる可能性が高いなら、インバース型ETFを買うのも選択肢の1つです。ただし、お節介かもしれませんが、筆者の経験上「インバース型ETFで儲けるのはとても難しい」と付言しておきたいところです。
ここまでの話から分かるように、日経平均株価が「長期間、下がり続ける」という可能性は低いと思います。そもそも上場企業の企業活動が成長志向ですから、一時的に株価が下がることはあっても、長期的には上がる方向でしょう。
よって、インバース型ETFを買うとしたら「日経平均株価が下がる可能性が高い時期を狙い、短期集中で持つ」のがいいと思います。短期決戦はタイミングが命ですから、「いつインバース型ETFを買うか」と合わせて「いつインバース型ETFを売るか」という出口戦略についてもじっくり吟味するべきだと思います。
例えば、筆者がインバース型ETFを買うとしたら、日経平均株価が明らかなバブル水準まで買われている時を狙います。それこそ、この記事を執筆している2025年4月時点で日経平均株価が40万円!みたいな水準まで上がったら、予想PERは100倍を超えますし、定期預金よりも利回りが悪くなりそうです。そうなれば、さすがに筆者も「バブルだろう」と分かります。
あるいは、不景気がくる可能性が高いタイミングでも、業績悪化を恐れた人が株を売り、一時的に株価が下がるかもしれません。
いずれの場合にせよ、「株価が高すぎる時にインバース型ETFを買い、株価が下がったら売る」「景気後退確率が高い時にインバース型ETFを買い、そうでなくなったら売る」のように、出口戦略も含めて、取引するタイミングを明確にして仕掛けるのが大切だと思います。