『世界の一流は「休日」に何をしているのか』 (越川慎司著)では、世界水準のエリートであるエグゼクティブたちの働き方や「休日」に対する考え方、過ごし方についてお伝えしています。
今回は本書から一部抜粋し、世界の一流が「長期休暇」を取っても仕事に支障が出ない理由について4つのポイントを紹介します。
欧米では、1カ月の長期休暇を取るのは当たり前
欧米企業と日本企業の休み方で、大きく異なるのが「長期休暇」の存在です。日本企業には、ゴールデンウイークやお盆休み、年末年始などがあり、それぞれ約1週間、長ければ10日前後の休みがありますが、欧米企業の場合は、もう少し長い休みを取ることができます。
私が勤めていたマイクロソフト本社は北米のシアトルにありますが、北米の企業では、11月の第4木曜日のサンクスギビング(感謝祭)からクリスマスまでがホリデー期間になっており、一般的なのは12月の第2週までの2週間の休みですが、ホリデー期間の1カ月をすべて休む人もいます。
ヨーロッパの企業の場合は、アメリカよりも長い休暇を取る傾向があり、フランスやスペインでは、ほぼ全員が1カ月程度の休みを取っています。
ヨーロッパでは、長期休暇の取得は労働者の当然の権利という考えが根付いていますから、長く休むことに「後ろめたさ」を感じる人はほとんどいません。
日本人の目から見ると、「1カ月も会社を休んで、仕事に支障はないのか?」という素朴な疑問が浮かんでくると思います。
世界の一流が長期休暇を取得できる理由は……?
日本のビジネスパーソンが、1カ月連続で長期休暇を取ることは限りなく不可能ですが、世界の一流は優れたタイムマネジメント・スキルを発揮して、しっかりと休める状況を自ら作っています。そのポイントは、次の四つにあります。
- 仕事の優先順位を見極めて、重要なタスクは休暇前に確実に完了させている
- チームメンバーとの情報共有を徹底して、スムーズな引き継ぎを可能にしている
- この人がいないと仕事が回らないという「個人依存」の状況を作らないために、日頃から仕事の標準化に努めている
- 日常の仕事の中で「協力し合う仕組み」を作り上げている
日本企業では、自分の仕事をチームメンバーと共有することを嫌がり、独占状態を作ることを好む人が少なくありませんが、こうした「個人依存」の状況は個人が休めなくなるだけでなく、メンバーの仕事にも影響が出てしまいます。
欧米の企業では、日常的にお互いが情報を共有して、チーム全体で協力し合う仕組みができているから、無理なく長期休暇を取ることができるのです。
越川慎司 プロフィール
株式会社クロスリバー代表取締役。国内外の通信会社に勤務した後、2005年にマイクロソフト米国本社に入社。業務執行役員としてPowerPointやExcel、Microsoft Teamsなどの事業責任者を歴任する。2017年に株式会社クロスリバーを設立。世界各地に分散したメンバーが週休3日・リモートワーク・複業(専業禁止)をしながら800社以上の働き方改革を支援。京都大学など教育機関で講師を務める他、企業や団体のアドバイザーを務める。