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5年ぶりの新パスポート「2025年旅券」で何が変わる?申請費用や手間を省くコツと注意点

2025年3月24日の交付分から、海外渡航に不可欠な旅券(パスポート)が変わります。「2025年旅券」申請時に注意すべき4つのポイントとは?

シカマ アキ

執筆者:シカマ アキ

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5年用のパスポート(左)と10年用のパスポート(右)。2025年3月24日の交付分からどちらも「2025年旅券」に変わる。交付済のパスポートも期限内であれば引き続き利用可

5年用のパスポート(左)と10年用のパスポート(右)。2025年3月24日の交付分からどちらも「2025年旅券」に変わる。交付済のパスポートも期限内であれば引き続き利用可

海外渡航に不可欠な「旅券」(パスポート)が、2025年3月24日から変わります。これまでパスポートの新規・切り替えの申請には、都道府県ごとの窓口で行う必要がありましたが、今後はオンライン申請が可能となるなど、申請時の手間が減ります。さらに申請料の割引も。主な変更点を確認しましょう。
<目次>

パスポート申請で窓口訪問が2回→1回に

まず、2025年3月24日から開始される新パスポートから「オンライン申請」が可能となります。今までパスポートの申請には、申請者全員が都道府県ごとにある旅券事務所または市役所などの旅券窓口へ足を運び、申請書類を提出し、その後、新しいパスポートを受け取るために再度足を運ぶ必要がありました。

■オンライン申請できないケース
今回導入されるオンライン申請は、「新規申請」と「切替申請」のどちらにも対応します。ただ、切替申請の場合、「パスポートの残存有効期間が1年未満」「査証欄の余白が見開き3ページ以下の方」であることが条件。まだ1年以上残っていると、オンライン申請ができないので注意したいところです。各都道府県の旅券事務所によってはオンライン申請に対応していない場合もあるので、事前に公式Webサイト等で確認しましょう。

また「マイナンバーカード」を保有し、申請時に行政手続きのオンライン窓口「マイナポータル」と合わせて使用する必要があります。マイナンバーカードをまだ持っていない人は、オンライン申請は利用できません。

■交付時は窓口に行く必要がある
オンライン申請は自宅や職場で申請ができるため、窓口へ足を運ぶ必要はありません。特にコロナ禍の後、海外渡航の需要が急に増え始めた時期に、東京や大阪など都市部の旅券事務所では「申請や受け取りで何時間も待つ羽目になった」という声が多く聞かれました。新パスポートでは交付時だけ窓口へ行けばよく、二度手間が省けるのは大きい変化です。
>2025年パスポートの「見た目」はどう変わる?

新規申請で要提出だった「あの証明書」も不要に

オンライン申請の場合、これまで新規申請の際に提出が義務付けられていた「戸籍謄本」の原本も不要となります。事前に市役所などの窓口で手続きをしたり、郵送で取り寄せたりといった面倒な準備がなくなります。

しかも戸籍謄本の交付には、1通につき450円の手数料がかかるため、費用負担が減るのもうれしい点です。

戸籍謄本の原本を提出する必要がなくなるのは、自分のマイナンバーカードを使って申請すると戸籍符号(戸籍電子証明書提供用識別符号、英数字16ケタの符号)が旅券申請データと一緒に旅券発給管理システムに送信され、このシステム上で戸籍電子証明書(戸籍謄本)と連携されるため。自分のマイナンバーカードが必須となるのは、そのためです。

オンライン申請の場合は「手数料」を値下げ!

パスポートの取得には手数料が必要。10年用で1万6000円(~2025年3月23日)が、オンライン申請に限って1万5900円と以前より少し安くなる

パスポートの取得には手数料が必要。10年用で1万6000円(~2025年3月23日)が、オンライン申請に限って1万5900円と以前より少し安くなる

パスポートの取得には手数料がかかります。これも、新パスポートでは以下の通り改定されます。

■10年用パスポートの手数料
1万6000円(従来)
 ↓
1万5900円(オンライン申請)
1万6300円(窓口申請)

■5年用パスポートの手数料
1万1000円(現行)
 ↓
1万900円(オンライン申請)
1万1300円(窓口申請)

オンライン申請の場合は100円安くなる一方、窓口申請の場合は300円値上がりします。これを見ても、オンライン申請の方がお得で便利でしょう。

新パスポートで変わる「交付までの期間」に注意

海外渡航時は例外なくパスポートが必要。空港で期限間近と気づいても、交付までに数日~数週間を要する

海外渡航時は例外なくパスポートが必要。空港で期限間近と気付いても、交付までに数日~数週間を要する

オンライン申請では、気を付けたい点もあります。

■申請から交付まで時間がかかる
これまで旅券事務所で申請すれば約1週間、市役所などの窓口では約2週間とされていましたが、この期間がやや長くなり、日本国内では申請から交付までに「約2週間」必要となります。

海外の日本大使館や日本総領事館で申請する場合では2週間から1カ月程度かかるといいます。外務省も、「海外旅行を計画したら旅券の申請もお早めにお願いいたします(目安は旅行の1カ月前までに申請)」と呼び掛けています。

そもそも有効なパスポートがないと、海外へ渡航できません。海外旅行や海外出張などの予定が決まっても、パスポートがない、期限が切れた、有効期間が残り少ない時は、いち早く新規申請・切替申請を行うことを、なおさら心掛けたいものです。

■「残存有効期間」にも注意
パスポートの「残存有効期間」は、実は海外渡航時に非常に重要です。有効期間満了が近いと入国できない場合も、実際よくあります。例えば、韓国は「入国時3カ月以上」、ヨーロッパのシェンゲン協定加盟国などの場合「出国時3カ月以上」、タイやシンガポールなど「入国時6カ月以上」という国も。イギリスやアメリカなど「帰国時まで有効」という国もあるものの、現地でトラブルが起きて帰国が延びる可能性など想定すると、残存有効期間に余裕があるに越したことはありません。

まずは知っておきたい「新パスポート」4つのポイント

パスポートの紛失や盗難は実は多い。日本国内であっても、交付後の管理には気を付けたい

パスポートの紛失や盗難は実は多い。日本国内であっても、交付後の管理には気を付けたい

新パスポートは、偽造や変造といった対策も大幅強化されます。外務省によると、国際民間航空機関(ICAO)の勧告などを踏まえた対応とのこと。

また、顔写真のページがプラスチック基材となり、レーザーで印字・印画されます。そして、これまで都道府県ごとの旅券事務所などでパスポートを作成・交付されていたのが、今後は国立印刷局で集中的に作成された後に都道府県などに配送され、申請者に交付される流れとなります。

新パスポートを申請する際、まず知っておきたいポイントは4つ。
  • オンライン申請だと窓口訪問が「1回で済む」
  • 交付期間が約2週間と以前より「時間かかる」
  • 戸籍謄本の「提出不要」
  • 手数料が「若干安くなる」
なお、今のパスポートの残存有効期間が、新たに申請したパスポートに持ち越しとならない点は従来と同じです。まだ有効期間が残っていても、新たに申請した時点での年月日が、有効期間満了日となります。

1年を切ってすぐ切替申請すると1年弱が消えてなくなるのは、手数料が決して安くないだけに「もったいない」と思うかもしれません。とはいえ交付まで時間がかかるようになり、年末年始やお盆時期など繁忙期は混み合うことも予想されますから、新パスポートでは「今までより早めに申請する」のを必ず心掛けましょう。

<参考>
旅券(パスポート)の変更について」(外務省)
主要国における査証(ビザ)・渡航認証要否/旅券残存一覧」(JTB)
 
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