草津温泉地内に「ベルツ記念館」が建つほど、今の草津温泉の発展に欠かせない存在である博士の出身地であるドイツと、草津温泉とのつながりをテーマに2021年に生まれたのが、今回筆者が宿泊してきた、大人のためのリゾートホテル「ラビスタ草津ヒルズ」です。
ドイツ建築のハーフティンバー様式をモチーフに建てたこの館は、ドイツを代表する「グリム童話」の世界観の中、草津温泉の湯と美食を堪能できる大人の癒しホテルでした。
グリム童話からインスピレーションを受けた客室デザイン
このホテルの最大の特徴は、なんといっても甘すぎないテイストで彩られた『赤ずきん』や『ヘンゼルとグレーテル』などのグリム童話をテーマにした客室です。今回筆者が宿泊したのは『赤ずきん』のお部屋。壁にそっと掛けられた絵に描かれた赤ずきんちゃんに、寝室に施された影絵の世界観。童話という、ともすると子どもっぽさを感じてしまうテーマを、見事大人テイストに昇華させた客室デザインが心地よい非日常感を創り出していました。
かわいらしいポットでお茶を入れ、のんびりティータイム
チェックインを済ませたら、まず味わいたいのが部屋での3時のティータイム。備え付けのピンクのポットでお茶を入れ、部屋のソファでのんびり味わって。高台からの眺望が魅力の展望風呂へ
「眺望」を意味する「ラビスタ」の名の付いたこのホテルは、草津の温泉街から少し離れた高台に建ち、露天風呂や展望風呂から湯畑のある温泉街を見渡す景色を望むことができます。まずは明るいうちに、草津の温泉街の様子を見渡して。夜は暗闇の中、街の明かりが灯るまた違った景色を味わえます。大浴場のほかにも館内には4つの無料貸切風呂が。いずれも、開放的な景色を眺めながらプライベートな空間で湯あみを楽しむことができます。
時間ごとにメニューが変わる「眺望ラウンジ」の軽食サービス
温泉入浴の合間に訪れたいのがホテル上階にある「眺望ラウンジ」。7時~10時、15~18時、18~20時、20~23時と時間帯によって、宿泊者へ無料提供されるメニューが変化。生ビールとドイツ風ソーセージ、キャベツのピクルスなどの軽食のほか、ブルーベリーやマンゴーソースで味変を楽しめるアイスクリーム、チョコレートドリンクなど、訪れるたびに異なるメニューを味わえます。ステンドグラスの映えるレストランでいただくディナー
食事は、カラフルなステンドグラスのデザインが印象的なレストランで。落ち着いた中にも遊び心のある配色デザインのステンドグラスが気分を上げてくれます。ガラスを通して差し込む光が料理に降り注ぎ、1つひとつの料理に彩りを加えます。ディナーは群馬県産のキャベツを生かしたキャベツロールや和牛のローストなどのメニューをはじめ、地元野菜を織り交ぜたフランス料理ベースのコース。食前酒からはじまるお料理を楽しみました。
トマトソースとバジルが利いたイタリアンな夜鳴きそばも
早めの時間のフルコースディナーを堪能した後は、送迎バスで湯畑まで繰り出しました。ライトアップされた湯畑や、夜もにぎわいをみせる温泉街の散策を楽しみ、ホテルに戻って、また温泉につかって。そんなふうに過ごしているとあら不思議。またおなかが空いてくるではありませんか。読者の方々から「食べてばっかりだな!」というツッコミを受けてしまいそうですが。そう、このホテルには食べる楽しみがいっぱい詰まっているのです。
トマトを生かしたイタリアンテイストのラーメンに、お好みでバジルやチーズ、トマトのソースをトッピングして。さらにペッパーソースや粉チーズ、こしょうなどでカスタマイズもできるようになっています。 各地で夜鳴きそばを味わってきた筆者ですが、現在このトマトラーメンが個人ランキングトップかも。なんといってもおすすめはチーズソースのトッピング。とろりと絡んだチーズと、酸味の利いたトマトスープと麺がとても爽やかに口の中に広がります。コース料理でおなかがいっぱいでも、ぜひ味わっていただきたい1品です。
こんなサービスがあってもすてきかもと、勝手に妄想
温泉に入っておいしいものもたくさんいただいて。大人かわいい影絵で彩られたベッドに横になると、職業柄ついつい「草津温泉×ドイツ」のコンセプトを生かして、さらにどんなサービスがあったらすてきだろうかという妄想がムクムク。さまざまなホテルを泊まり歩いている筆者が泊まってみて思ったのは、ホテル滞在中、せっかくのコンセプトの背景でもあるベルツ博士と草津の関わりについてもっと知ることのできる機会があってもすてきかもしれないということ。
例えばラウンジなどで、部屋のデザインにもなっている影絵のようなアニメーションで、ベルツ博士と草津温泉のつながりについてのストーリーテリングがあったら、すてきだな。部屋の中に童話風に語られた絵本が置いてあるのも、いいかも。ディナーでも、ドイツのお酒や、草津温泉×ドイツの創作料理を味わってみたいな……などと勝手に楽しく頭の中であれこれ思い描きながら眠りについたのでした。
ステンドグラス越しの朝の光の中、朝食をいただき館をあとに
心とおなかが満たされて、迎える朝。かわいらしい部屋で目が覚めてからの最初の行動が、部屋の温泉露天風呂に湯を張ることだなんて、最高です。朝日の降り注ぐバルコニーで温泉に浸かり、身支度を済ませたらレストランへ。モーニングビュッフェには、ハンブルグステーキやひもかわうどんなどドイツと群馬の名物料理も並びます。ライブキッチンから提供されるプレーンオムレツは、夜鳴きそばでも活躍したトマトにチーズ、バジルのソースをお好みでかけて。ステンドグラス越しの朝の光は心地よく、すてきな朝を迎えることができました。 夢見心地な時間はあっという間。大人テイストのグリム童話の客室はとてもかわいらしく、ステンドグラスのレストランもすてきでした。帰りは草津の温泉街をもう少し観光して帰路へ。今回は、和風旅館とはまたひと味違った草津温泉での宿泊を楽しむことができました。
《hotel data》
ラビスタ草津ヒルズ(共立リゾート)
〒377-1711 群馬県吾妻郡草津町大字草津226番15
Tel.0279-88-5489(予約専用10:00~20:00)
Tel.0279-88-5492(代表24時間)
草津バスターミナルから送迎バスで約10分
※季節によってメニューが異なります。事前にHPをご覧ください。