アメリカの心理学者ロバート・B・チャルディーニは「一般的に食べものに対して人が持っているイメージは肯定的なもの、肯定的な感情である。したがって食事の時間に接触した人や対象には、おのずと好意を抱く傾向がある」と指摘しています。
家族や夫婦で一緒に食べる食事は、相手との絆を深める大切な機会。しかしながら、毎日の食事を夫と共にすることにイライラを抱えている妻も少なくありません。
夫の「食」に耐えられない妻たちのホンネ10選
そこで今回は、私の主宰する「恋人・夫婦仲相談所」に寄せられた、妻が夫に抱く「食」に関するホンネを集めてみました。<目次>
ホンネ1「ママのご飯の方がおいしいなら、実家に食べに行けば?」
うちのマザコン夫は、何かというと「おふくろの場合は砂糖がもう少し……」と、私の作った料理と母親の料理を比較します。味付けが違うとか、入っている食材が違うとか細かく指摘したあとで「おふくろに○○を一度作ってもらいなよ。うまいから」と勧めます。
「それって結局ママのご飯の方がおいしいってことよね? ママのご飯がいいなら、どうぞ勝手に向こうで食べてきてください。車で15分の距離だしね」って思いながら聞き流しています。(ハルナさん/仮名・34歳)
ホンネ2「偏食で、食べられる野菜がほとんどない」
うちの夫はとにかく野菜嫌い。NGな野菜はピーマン、ナス、オクラ、ニンジン、ブロッコリー、レタス、長ネギ、玉ねぎ、ホウレンソウ、カボチャなど多数。専業主婦だった実家のお義母さんは、何とか野菜を食べさせようと、野菜を形がなくなるまで茹でて、それをフードプロセッサーでドロドロにしてからカレーの中に入れていたそうで。
こっちは共働きだから、そんな手間暇かけていられないし、そもそも夫は2歳児ではありません。そんな風に甘やかして育てるから、こっちが苦労してるのよ。(ミサキさん/仮名・29歳)
ホンネ3「食通ぶったコメントがイラつく」
「趣味はレストラン巡り」という自称グルメの夫はネットでも食に関するレビューを見まくっています。そしてうちの料理にも何かとコメントをつけたがります。
素直に「おいしいね」といってくれるのはうれしいのですが、それに続けて「これでもいいんだけど、もしブロッコリーの茹で時間をあと30秒早く上げれば、本来のテクスチャーが残って、ゆで卵との食感の違いを楽しめたのにね」と、余計な一言がいつも続きます。これがウザくてイライラします。(アヤノさん/仮名・31歳)
ホンネ4「『マヨネーズをかければ何でもうまい』って、ケンカ売ってんの!?」
うちの夫は、いわゆるマヨラー。結婚前から「マヨネーズ好き」とは知っていましたが、最近はマヨネーズ依存症ではないかと思うぐらいです。ご飯や揚げ物にかけるのは通常。納豆、カレー、天ぷら、刺身、うどんなど、目を疑うようなシーンもよくあります。
先日は私が作った煮魚にマヨネーズをかけて食べており、「それっておいしい?」と聞いたところ、「煮魚はマズいけど、マヨネーズをかければ何でもうまいから食べられる」と衝撃的な一言。もう一生料理は作らないから、毎日マヨネーズご飯を食ってろ。(マコさん/仮名・30歳)
ホンネ5「映え狙いの料理はやめて」
料理をしない夫に悩むママ友が多いので、自分から積極的に台所に立つ、料理好きな夫を持つ私は幸せ者かもしれません。でも、私の悩みは夫の料理が映え重視であること。夫のインスタには、彼の自慢の一皿たちが載っています。
どれも盛り付けは工夫してあって色鮮やか。非常に映えるのですが、夕飯に「いちごとスモークサーモンとチーズのカルパッチョ」を作られても、子どもたちの箸は進みません。結局、子どもたちの分は私がおかずを作ることに。
台所を占領して写真や動画を撮っている夫が邪魔で、非常に作業がしにくいです。友人からは「料理上手なパパで羨ましいわ」と言われますが、普通に「ほりにし」みたいなスパイスをかけてお肉を焼いて出してくれる夫がいいです。(トモカさん/仮名・45歳)
ホンネ6「何でもご飯に載っけないでよ」
うちの夫は身体が大きく、とにかくよく食べます。どんぶりの山盛りご飯を豪快にお代わりするところは見ていて気持ちいいのですが、難点は、何でもご飯に載せて食べること。それも異なるおかずを一緒に載せます。
たとえば、焼き魚とポテトサラダと大根の煮物と納豆を全部同時にご飯に載せ、ごちゃごちゃにして食べます。口の中ではご飯とおかずが一緒になって、最後はお腹の中に全部一緒に収まるので、そんなに目くじらを立てることではないかもですが。
でも、せっかくきれいに作って上品に盛り付けたものが、ご飯とぐちゃぐちゃになってしまうのを見るとショックで、ガッカリします。お行儀もよくないですよね。上品じゃない食べ方ですよね。(カホさん/仮名・33歳)
ホンネ7「50歳過ぎても“お子ちゃま舌”にドン引き」
うちの夫はいい年をしたオッサンなのにお子ちゃま舌。カレー、ハンバーグ、オムライスといった、ソースやケチャップベースの子どもが好きなものしか喜びません。ワサビとショウガは断固拒否。お寿司屋さんではちょっと恥ずかしい。
三つ葉、セリ、春菊、大葉、ミョウガなど香りの強い野菜も、食べられずに残します。酸っぱいもの、辛いもの、苦いものも食べません。和食の楽しさは、繊細で多様な味わいなのに、それが分からないなんて寂しいなと思います。(キョウコさん/仮名・52歳)
ホンネ8「リピート飯でも黙って食べろ」
うちは共働き家庭なので家事は分担しています。料理は私の担当。忙しい平日は料理に時間が割けないので、週末に大量に作って、冷凍したりチルドに入れたり。平日はそれを食べ続けることが多いです。
しかし、同じものが2日続くと、夫は「今日もおでんか、飽きちゃったなあ」とか文句を言いだす。こっちだってフルタイムで働いているのだから平日、毎日料理ができるわけないでしょ、とイラっとします。文句を言うなら自分で作れってことです。(ユウカさん/仮名・43歳)
ホンネ9「食べ方が汚すぎて、こっちが食欲減退」
最近、某首相の箸の使い方やおにぎりの食べ方などの食事マナーが話題になりましたが、うちの夫も相当ひどい。立て箸、握り箸、寄せ箸といった箸の使い方から、くちゃくちゃ音を立てて噛む、音を立てて汁物を吸う、口に物が入ったまま話す、大きな音でゲップをするなど、マナー違反の連続技。
結婚後、何度注意しても直ることはなく20年近く経ちました。聞く耳を持たないおじさんだからしょうがないのかな、とは思うけれど、こっちまで食欲が失せるので視線を向けずに食べています。(ナナカさん/仮名・48歳)
ホンネ10「黙っていると、全部食べ尽くす」
最近SNSでもよく見かけますが、うちの夫も「食い尽くし系」。大皿に盛った料理を一人でどんどん食べて、私や子どもたちの分はほとんど残りません。先週も、私が朝、仕事に行く前に夕飯用にシチューを作って冷蔵庫に入れておいたのに、在宅勤務の彼がお昼に全部食べ尽くしてしまい、帰宅後に呆然となったことがありました。
最近では冷蔵庫の中でも夫の分だけ容器を分けて保存したり、食卓でも個別にお皿に盛ったりするようにしています。そうすると、「唐揚げが全部で30個あるから一人7個ずつで2個余るよね。それは誰の分なの? 俺が食べていいの? 子どもたちと相談すればいいの?」など、いちいち数を数えて、自分用の数を確認してきて、それもまた超ストレスです。
せこいというのか、食い意地が汚いというのか、幻滅レベルです。(エレナさん/仮名・36歳)
夫婦の距離を縮めるはずの食事が、逆に距離を取りたくなるきっかけになっている例も結構ありました。
ストレスを抱え込まないで
そして、ママの味が忘れられない夫たちにまつわる姑問題は山ほど寄せられます。「お義母さんのところで作ってもらえば」と言ったら、なんと義母から毎月、手料理の瓶詰めが届き始めたという、ホラーのような事例もあります。食事は毎日のこと。相手への不満は抱え込まずに、まずは上手に伝えて。寄せ箸など箸マナーは、本人も気づいていない場合もあります。
また食事は栄養を取るだけではなく、貴重なコミュニケーションの場です。自分がストレスに気づいたときに伝えてみる。怒り口調でなく、子どもに教えるがごとく穏やかに。食卓で夫婦喧嘩を始めるより、食卓を夫婦円満化推進の場に転換するのが正解です。