なぜ女性は肉体関係を望まないのか
実際にセカンドパートナーがいる/いた既婚者377人への調査によれば、最初プラトニックな関係だったが、最終的に肉体関係を持ってしまう割合は、なんと7割。やはり男女が出会って好きになると、歯止めをかけるのは難しいのかもしれない。だが、実際プラトニックのまま終わった人、関係継続中の人に意見を聞くと、「本当は肉体関係を持ちたかった/持ちたい」男性は43.8%。一方、女性の47.6%が「するつもりはなかった/ない」と回答している。つまり、女性がもともとプラトニックな関係でいたいと希望しているから男性は我慢しているのだろう。
プラトニックな関係の婚外恋愛というのが、「真の」セカンドパートナーという定義にのっとれば、セカンドパートナーという関係が成立するかどうかは女性が鍵を握っているといえそうだ。
また、肉体関係を持ちたくない理由として、女性は「不倫になるから」「夫を裏切ることになるから」に続き、多かったのが「セックスすると関係が変わってしまうから」を挙げている。セックスの有無で男女の関係が変わることを経験してきているからこその言葉だろう。「男はしたら飽きるもの」だと女性が考えていることが浮き彫りになっている。
44歳、経験者は言う「嘘をつくのが面倒だから」
「セックスをともなう恋愛は、最初は楽しいと思う。でも家庭を持っている場合、夫や子どもに嘘をつき続けなければならない。それが面倒なんです。面倒というと言葉が悪いけど、心の中にいつでもそうした重いものを抱えて生活したくない。だから私はプラトニックを貫いています」タカエさん(44歳)はそう言う。同窓会で再会した元カレと会うようになって2年がたつ。元カレは「1度でいい、しようよ」とたまに言うが、彼女はその気はない。だが、元カレに対して熱い恋愛感情は持っている。
「こんなこと言っていいかどうか分からないけど、うち、夫と仲がいいんですよ。だから夫としている時に元カレとしている妄想をしてる。夫は私がそんな想像をしているなんて考えもしないでしょうけど」
想像の世界には誰も立ち入れない。善悪のジャッジさえできない。元カレには、夫には話せないことも話す。例えば自分のそうした妄想も話している。
真剣な恋だからこそ
「そこまで言ってオレとはしないの? と元カレは切なげに言うんですが、大人だからそれもまた楽しいじゃないですか。どちらかが大病したり余命宣告されたら、してみてもいいかもねと言っています。遊びの恋じゃない、真剣だからこそこのままの関係でいたいんです」男性は我慢しているとはいえ、もう暴走する年齢でもない。元カレも彼女とのつながりを大事に思っているからこそ、「したい」と言いつついつも話をするだけで帰っていく。
「心と心の関係だもんねと、元カレも言うようになっています。それでもたまに『したいよー』と言うこともあって。ただ、それもふたりの間ではある種のジョークみたいになりつつありますね」
いつかどうにかなるのかならないのか、それは分からないけれどとタカエさんは含みを持たせた言い方をした。
余計な荷物を背負いたくない
1年付き合っているセカンドパートナーとの間で肉体関係を望まない理由を、リナさん(41歳)が話してくれた。「夫はもちろん、まだ小学生の子ども達がいて、親やきょうだいもいる。自分の背景を考えると、これ以上、荷物は背負いたくないというのが本音です。体の関係になったら、多分、私は彼に執着してしまう。というのも、私自身がすでに7年間もレス夫婦だから。彼にも家庭があるから、私が執着しても離婚というわけにはいかない。私自身も離婚するつもりはまったくない。だったら苦しい思いをして重いものを背負うより身軽でいたいんです」
10歳と7歳の子がいるが、下の子が産まれてからはほぼセックスレス状態が続いている。夫とは仲が悪いわけではないが、性的な関係だけが抜け落ちているのだという。
彼のことは好きだけど
「一時は焦りを感じたこともありますが、じゃあ、夫としたいかと言われるとそうでもなくて(笑)。なんだかもうすっかり家族になっているから、今さら照れくさくて男女関係にはなれない。夫もそう思ってるみたいだし、二人とも仕事と子育てで疲れ切っているので、少しでも睡眠をとりたいんですよね」だからといって夫以外の男性と関係を持ちたいと思うほど、性欲が強いほうではないと彼女は言った。
「ただ、付き合っている彼のことは好きです。頻繁に会えるわけではないので、会うたびにドキドキする。彼のために体型を整えて、かっこいいワンピースを着こなせるようにしておきたいとか、新たなリップに挑戦したいとか、妙に自分が女であることを意識するようにもなりました。実際には手をつなぐくらいのことはありますが、それ以上はするつもりはありません」
あえてプラトニックな恋を楽しもうとしているリナさん。彼の存在によって、多忙な日常も元気に乗り越えていけるようになった。こういう恋愛もあって、今の自分はこの関係に満足しているとリナさんは言った。
<参考>
・「真のセカンドパートナー 実態調査2024」(レゾンデートル)