三國湊の地域活性化は、古い町家の再生が切り札

寺本「三国湊エリアは、江戸~明治時代に北前船の寄港地として栄えた場所で、建築的にも特徴のある古い町家がたくさん残っています。しかしながら、そんな町家も多くが空き家となっていました。その空き家を有効活用するとともに、歴史ある町並みを保存し、地域が活性化することを目指し、9棟16室の客室とレストランのある“町家ホテル”を開業しようというプランが立てられました」
この地域活性化プロジェクトは2022年にスタート。リフォームやリノベーションを専業とする住友林業ホームテックは、これまでの古民家再生の実績を認められて参画しています。
寺本「9棟の建物はそれぞれ建築された時代が違い、当時の建物用途も、料亭や店舗・住宅・蔵などさまざまです。それぞれの特徴や状態を把握して最適なリノベーションをするのは、非常に難易度が高いものでした。
実際に現地に入ると、地元の方の郷土愛がとても強く、まずは町並みの特徴や歴史をしっかり学んでほしいと伝えられたのを覚えています。ただ改修するのではない、歴史を残す町おこしの夢が詰まったプロジェクトに参加しているのだなと、身の引き締まる思いでした」
「町並みの保存」と「地震への備え」が重要なコンセプトに
『オーベルジュほまち 三國湊』のプロジェクトに向け、住友林業ホームテックとしていくつかのコンセプトを掲げました。何より重視したのは、『町並みの保存』と『地震への備え』です。【町並みの保存】

これまでのオーナーが既に補修されている部分などもあり、丁寧なヒアリングと調査が必要不可欠になります。

寺本「古い町家は、今の建物と比べると当然耐震性が低くなります。できる限り既存のものを残すという前提で、耐震性を高めるのは難しい技術ではありますが、木造住宅の専門家として建築物の老朽度や地盤等を十分に調査した上で、伝統的構法に留意しつつ、必要な補強方法を選択し、安心してお泊りいただけるよう設計しました。

地元産の部材を使い、こだわった空間デザイン
古い建築の味わいを活かした外観だけでなく、内装も町家の雰囲気を感じられる工夫をしています。「和」の魅力あふれるオーベルジュを目指し、地元の材料を取り入れたスタイリッシュなデザインにもこだわりました。【室内空間に部材を再利用】
寺本「建築当時ならではのどっしりとした梁や柱などを、極力再利用したいと考えました。床材は住友林業オリジナルの上質なものを使用し、既存の部材で使えるものは補修して配置しています。」

寺本「福井県には約1600万年前の火山活動で降りつもった灰が固まってできた緑色凝灰岩で、濡れると青色になる『笏谷石(しゃくだにいし)』という石があります。永平寺などにも使われているということで見学に行き、水に濡れたときの美しいブルーに魅せられました。この笏谷石を内装デザインのキーマテリアルとして採用し、全邸の玄関や洗面などの水まわりに配して、デザインアクセントとしています」

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