日本の国債はこれから買うべき?
「日本の国債はこれから購入すべきですか?」(40代・男性)
日本銀行が利上げを発表し、日本の国債金利が少しずつ上がってきました。銀行預金と比べれば金利も高い日本国債ですが、買うべきなのでしょうか?
本記事では、2025年1月現在、日本の国債が「買い時」なのか?について、筆者の見解をまとめます。
銀行預金と比べればマシだが……
国債(こくさい)は、国が資金を調達するために発行する借用証書(債券)のことです。国が借りる側で、銀行や投資家、そして私たちのような個人がお金を貸す側です。国債には金利がつきます。財務省のホームページによると、募集期間が2025年1月9日(木)~1月31日(金)の個人向け国債は、変動10年の金利が0.75%、固定5年の金利が0.77%、固定3年の金利が0.62%です(いずれも税引前)。
普通預金と比べると、わずかながら「マシな利息」だと思います。
とはいえ、「今が買い時か?」と尋ねられると、筆者はそうは思いません。なぜかというと、国債の利回りがインフレ率を下回っているからです。
物価の上昇率
総務省統計局によると、2024年12月の消費者物価指数のうち、総合指数は前年同月比で3%上昇しました。つまり「1年で3%も物価が上がっている」ということですが、これと比べると国債の金利は低過ぎます。名目金利と物価上昇率の差を「実質金利」といいますが、日本国債の実質金利はマイナスです。つまり、「国にお金を貸して金利を受け取っても、それよりも早いペースで物価が上がっている」ということで、これでは国債を買ううまみが薄いです。
アメリカ国債の場合は金利4%に対して物価上昇率が2.5%程度なので実質金利がプラスです。だから、国債を買う「うまみ」があると思いますが、日本国債は金利が低過ぎるので融資の対象としてはビミョーだと思います。
ご質問者様は「国債に興味がある=リスクを抑えた資産運用に興味がある」のだと思います。
実質金利がマイナスという今の状況に鑑みると、実質金利がマイナスの国債を買うよりも、現物資産を買って資産評価額をインフレと連動させる方が国債を買うよりも利回りが高いのではないか、と筆者は考えています。
現物資産を買う以外にも、ディフェンシブ株などの「景気に業績が振り回されにくい、手堅い会社の株式」を買って、配当利回り2~3%くらいを得られたら、そっちの方がインフレ対策になる気がしています。パッと思いつく銘柄としてはKDDI<9433>などがあります。
まとめ
まとめると- 国債を買うと「国にお金を貸して、利息を受け取る」ことができる
- 2025年1月時点の国債金利は1%を下回る
- 2024年12月時点で、消費者物価指数(総合)は前年同月比で3%上がった
- つまり、国債金利は物価の上昇率を下回っている(実質金利がマイナス)
- リスクを抑えながらインフレに備えるのであれば、配当利回りの高いディフェンシブ株などに注目するのも1つではないか
現時点では、筆者は日本の国債は「買い時ではない」と思うので、興味がないし、買う予定もないです。金利が上がって、実質金利がプラスになったら、そのときにまた買うべきか考えるつもりです。