歯・口の病気

Q. 「歯に悪い果物がある」って本当ですか?

【歯科医が解説】「果物の酸は歯を溶かす」「果物を食べると虫歯になりやすい」と思っていませんか? 酸性食品の歯への影響と、虫歯予防のポイントを、わかりやすく解説します。

丸山 和弘

執筆者:丸山 和弘

歯科医 / 歯の健康ガイド

Q. 「歯に悪い果物がある」って本当ですか?

たくさんの種類の果物

健康によさそうな果物。「歯に悪い」というウワサは本当でしょうか?


Q. 「毎朝、健康のために果物を食べています。この前、遊びに来た友人に『果物は歯を溶かすから、虫歯になりやすくなるよ』と言われました。確かに、私は人よりも虫歯ができやすい方です。果物の習慣が原因なのでしょうか? 歯の健康のためには、果物を食べるのをやめた方がいいのでしょうか?」
 

A. 酸性度が高い果物は歯を溶かします。しかし、果物を避ける必要はありません

「果物が歯に悪い」という意見は、「リンゴは炭酸飲料の4倍歯に悪い」という説に由来するものかと思います。以前、海外で「リンゴは高い酸のため、ゆっくり食べると歯にダメージを与える可能性がある」という研究報告が発表され、注目を集めました。

ここから考えると、ご質問に対しては「リンゴなどの酸性の果物です」という回答になるでしょう。しかし、果物を避ける必要は全くありません。果物に限らず、酸性の食品を食べると、歯の表面は酸にさらされ、薄く溶けます。専門的には「脱灰」と呼ばれる状態です。脱灰がそのまま進み続けると歯に穴があいて、虫歯になってしまいますが、通常は唾液の成分が溶けた部分を補修してくれます。過度の心配は不要です。

「酸性・アルカリ性」という性質だけで、短絡的に食品を選ぶのは危険です。全体的な栄養成分やバランスを見ることを忘れてはいけません。

大切なのは、唾液の成分によって歯が自己修復できるように、修復時間を作ること。「だらだら食べ」はよくありません。また、リンゴなどの酸性の果物を食べた直後は、歯の表面が薄く溶けてしまった状態なので、すぐに歯磨きをしないことも大切です。ブラッシングによる刺激が歯にダメージを与えてしまいます。できれば食べた直後は水で口をすすぐだけにして、30分ほど時間を空けてから歯磨きをするのが理想です。

歯の健康を考えることは大切ですが、一概に果物を避けるのではなく、ちょっとした工夫を取り入れて虫歯を遠ざけることをおすすめします。

さらに詳しく知りたいかたは、「リンゴは歯に悪い?『炭酸飲料より4倍悪影響』の真偽」をあわせてご覧ください。
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