日本人は白を好む
「白」が象徴するもの
日本の建築史を代表する建築様式「素木造り」
神道は自然崇拝を本質とする精霊信仰で、山、海、川、太陽、月、北極星、風、雷、季節、時間など、自然界のあらゆるものを神体として信仰。太陽崇拝も自然崇拝の一種で、縄文時代から太陽に対する信仰が存在しました。その天の光を表す色こそが「白」で、それが白を神聖視する土壌になったと思われます。
今では信仰的な意味合いは少なくなりましたが、日本人が白を好む背景にはそうした歴史が影響していると考えられています。
「白」が表す意味合い
白を使った言葉には次のようなものがあり、白には主に以下の3つの意味合いがあります。・白衣、純白、精白、漂白、白紙、白票、余白、空白、潔白
白は、色や汚れなどがついていない無垢(むく)な状態を表します。色みのない白は無色と捉えられることもあり、まっさらな状態からの始まりや出発、新しい可能性などをイメージづけることもあります。
・白昼、白日、明白
白は、物事が明るくはっきりしている様子を表す場合もあります。
・白状、敬白、告白、自白
白には、ありのままに話すといった意味合いもあります。
「白」を使った伝統的な配色
白を使った伝統的な配色は、さまざまな場面で見ることができます。神社の注連縄(しめなわ)
神社で働く巫女(みこ)は、「白衣(はくえ)」に「緋袴(ひばかま)」という日本古来の伝統的な装束を着用しています。白衣は袴の上に着ている白い着物のこと。緋袴はその名の通り、緋色の袴のことを指します。緋色とは、茜(あかね)で染めた濃い赤色のこと。巫女が神事を奉仕したり、巫女舞・神楽を舞ったりするときに羽織る「千早(ちはや)」は、薄手の白生地に鶴、亀、松、菊などの紋様が青摺(あおずり)で描かれています。
年神様への供え物である鏡餅
鏡餅は、三方(さんぽう)と呼ばれる器に四方紅(しほうべに)を敷き、紙垂、裏白(うらじろ)、譲り葉(ゆずりは)を重ねてその上に載せ、昆布や橙(だいだい)などを飾ります。鏡開きの日が来たら、鏡餅を下ろして木槌などで叩いて割り、割った鏡餅をお雑煮やおしるこ、ぜんざいなどにしていただきます。鏡餅には神様が宿ると考えられており、鏡餅を開くことで年神様をお送りして正月に一区切りをつけるのです。
ここまで、白が象徴するものや白が表す意味、白を用いた配色をご紹介しました。神社や鏡餅の例が示すように、新年は白を使った伝統的な配色を目にする機会が増えます。不要なものや嫌なことを洗い流して心身を浄化してくれるとされている「白」。新しい年の始まりにふさわしい色として、とりわけ日本人には特別な意味を持つ色として、親しまれているのではないでしょうか。
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