すぐに人の懐に入り込める同僚を観察してみると……
人見知りで、つい観察してしまう癖
「私はどこか人見知りなところがあって、営業職なのに自分から相手の懐に飛び込めない。なんとなく人を観察してしまって、相手にも警戒心を与えちゃうんですよね」カオリさん(38歳)はそう言う。ところがそんなカオリさんの同僚となった中途入社のマリエさんは、仕事を始めるなり、取引先に「おもしろくていい人が入ったね」と言われるような存在になった。
「彼女、確かに部内でも話しやすい、ざっくばらんと評判だったんです。感じのいい人でなおかつ話していておもしろい、しかも彼女と話すとなんだか気持ちがいい。それでしばらく彼女を観察することにしました」
いい笑顔で、苦情にも動じない
まずは笑顔がいい、とカオリさんはマリエさんを見ていて感じた。どんなときでも笑顔で挨拶を欠かさない。ニコッと笑ったとき、顔がくしゃっとなるのも見ていて心が和んだ。「笑うときってかっこつけなくていいんだと思いました。しかも彼女、必ず相手の名前を呼ぶんですよ。○○さん、お元気でしたか、○○さん、ごぶさたしてます、というように。名前を呼ばれると人ってうれしいものなんですよね」
苦情に近い言葉を聞いても動じないのがマリエさんのすごいところでもあった。まずじっくり聞いて、「その先」を話すのだ。
「例えば商品が欠品になったとき。『いつ入るの、早く欲しいんだよね』という相手に、彼女はきちんと謝罪してから、入荷見込みを伝える。その後、『ひょっとしたら他の倉庫や他店にあるかもしれないので探してみますね』とか『似たような商品があるので、こちらお試しになってみませんか』とか、何かしらの代案を相手に出していく。
似たような商品を相手が見てみたいと言ったら、サンプルを差し上げてしまう。そうなると相手もそれ以上の苦情は言いませんから、結果、他の商品まで契約してくれることもある」
彼女はいつも「損して得とれって言うじゃない?」と言うそうだ。
>プライベートでも評判のいい女性だった