人間関係

「1人で何が悪い」と開き直るも……高齢者単独世帯が増加する時代、“独り”は不安で気楽でもある

年齢を重ね、1人暮らしを選ばざるを得ない高齢者が増えてきている。自分らしい生き方を模索し前向きに生きている女性たちも多い。孤独やこの先への不安を抱えつつも、その反面、自分の面倒だけをみればいいので、気楽ではある。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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なんだかんだあるが、その実気楽なのかもしれない……

なんだかんだあるが、その実気楽なのかもしれない……

年を重ね、さまざまな事情で一人暮らしになる人は多い。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の世帯数の将来推計」によれば、世帯主が65歳以上の世帯における一人暮らしの割合は35.2%にのぼる。今後、さらに高齢者単独世帯は増えていく見込みで、2050年には45.1%にまで上昇するという。

61歳独身「働けるうちは働くしかない」

「私は短大卒業以来ずっと中堅企業に勤めていて、定年は65歳。30代で1度結婚したんですが、3年たっても子どもが産まれなかった。検査したら夫に原因がありました。私は子どもがいなくても2人で生活していこうと言ったんですが、夫は『不完全な自分に耐えられない』と。結婚している意味がないとまで言うので離婚しました」

マホさん(61歳)は苦い思い出を振り返った。その後は結婚する気持ちをなくし、両親と暮らしていたが、50歳になるころ相次いで見送ったという。

「それからはずっと1人で生活しています。親戚付き合いもないし財産もない。会社を辞めたら人間関係すら失いそうで怖いですね。もちろん、収入もそんなにあるわけじゃないし年金も少ないので、とにかく働けるうちは働かないと生きていけないと覚悟しています」

女性に家事を期待する男性と出会っても……

一方で、多少は気が楽な面もあると彼女は言う。

「友人の息子は、30歳を越えて今も実家にいる。働いていないのだそう。小遣いをあげているものの、時には息子が暴れたりもするんですって。それを聞くと、1人の方が気が楽だわと思います」

とはいえ、今は大きな持病はないが、この先は健康面が不安だとも感じている。自分の気持ちを優先させて生きることはできるが、それは誰からも心配されないということでもある。そう考えると、具合が悪いときに病院に連れていってくれる人がいるのは羨ましいとも思う。つまりは、いろいろと心揺れているのだ。

「50代後半のころ、そんな不安が積もり積もって、結婚パーティーによく顔を出しました。同世代の人と恋をして結婚できたらいいなと思って。でも結局は見つからなかった。収入自慢をした挙げ句、『女性はやっぱり料理がうまくないとね』なんていう男性と、晩年をともにしたくはないなと思いました」

この年齢の男性たちは、まだまだ従来の男女観を抱えている。社会で1人頑張ってきたマホさんとは価値観が合わない。

>ずっと独身だが、何か?
 
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