自分もびっくりの電撃再婚
週に1度は子どもに会って、あとは仕事に没頭しよう。アキラさんはそう決めていた。ところが彼は2カ月前に婚姻届を出した。「電撃婚だと友人知人たちは大騒ぎでした。自分でもびっくりしたんですよ。結婚なんてもういいと思っていたから。でもたまたま友人たちの集まりで来ていた彼女に一目惚れしてしまって。一目惚れなんて初めてだったんです。ここで動かなかったら、もう一生動けないと思い込んでアプローチしました」
しかも相手は一回り年下だ。今回も半年ほどの付き合いで、彼女の妊娠がわかり結婚に至った。「デジャヴか」と周りには言われたようだが、今回は前とは違うと彼は声を大にする。
「彼女とならうまくやっていけると思ったんです。みんなもっとじっくり考えろと言ったけど、気持ちを止めることができなかった」
あたかも前の結婚では「情熱が足りなかった」と言わんばかりだが、実際には前のときも彼の強力なアプローチからの妊娠、結婚だったようだから、以前と何も変わっていないという周囲の指摘は当たっている。
「相手が変われば関係性も変わるでしょう? 今の妻はつわりがつらくても仕事を続けています。だから僕も精一杯ケアしている。そんな僕に妻は感謝してくれて、さらに僕は妻に感謝して……。そういえば、前の結婚ではお互いに感謝の気持ちを伝えたりしませんでした。今の妻によって僕はかなり変わったと自負しています」
「妊娠させれば逃げない」という思惑?
なんともあやふやな感じではあるが、前の結婚とは違う生活が送れると確信したからこそのスピード再婚だったのだろうか。それにしても、妊娠からの結婚を繰り返すというのは、どこか「妊娠させれば逃げないだろう」という思惑があるようでモヤモヤ不快感が残る。だが彼は、まったくそんなことを考えてはいなかったと反論した。「もし妊娠したらどうすると彼女に聞かれて、もちろん結婚すると言いました。それを望んだのは彼女のほう。人を種馬みたいに言わないでくださいよ」
彼もまた不快だったようだが、そのあたりの事情は第三者にはわかりづらい。もし彼女が妊娠していなくても同じタイミングで結婚に至ったのだろうか。
「もう少し先になったとは思うけど、結婚はしていたと思います。前の妻と別居中、僕にはひとりの生活が向いてないと思ったから。寂しいし、何のために生きているんだろうとずっと考えていた。誰かがいてこその“生活”なんじゃないでしょうか」
それもまた真なり、なのかもしれない。