インフレ下の節約って?
「金価格は上昇。現金はインフレや円安、物価高騰などで目減り。タンス貯金では今流行の闇バイトに狙われる。お金は死ぬまでに使い切れと本にも書いてある。しかし、それでも節約がやめられない私は一体どうすればいいのでしょうか?」(60代)
スーパーへ行くと、野菜やお菓子など、値上げが気になることが増えました。筆者は現金払いが好きなのですが、今までよりも銀行にお金を下ろしに行く回数が増えました。ため息が出ちゃいますね。
さて、ご質問者さまは「インフレ下で節約は意味がなくなってしまうのか?」と心配かもしれません。物価が上がっているインフレ時代で、お金の使い方や、貯め方など、上手にお金と付き合うポイントを考えていきます。
インフレで起きること
インフレ時代、上手にお金と付き合うには、そもそも「インフレでどんなことが起きるのか?」をしてっておく必要があります。インフレ時代は野菜や果物、肉やお菓子、なんでも値段が上がっていきます。物価が上がるからものの価値が上がるか?というとそうではなく、モノの価値は一定なのですが、「貨幣の価値が薄れている」といった方が適切です。
例えば、今150円で買えるリンゴが、300円になったとします(同じリンゴです)。
手元に3万円あるとして、リンゴが150円だったときは200個買えますが、300円になると100個しか買えません。
3万円で買えるものが半分になったので、「リンゴの価値が2倍になった」というより「3万円の価値が半分になった」と考える方が自然でしょう。
このように、インフレ時代では現金の価値が時間とともに目減りしていきます。貨幣は国の都合でいくらでも印刷できますから、印刷量が増えれば増えるほど、貨幣の価値も薄れていってしまうのです。
インフレ時代に変わるもの
デフレ時代では、現金は「価値が腐らない」ものでしたが、インフレ時代は違います。野菜や肉と同じように、現金の価値も「時間とともに腐っていく」のです。だから、貯金をするときには、姿勢を改める必要が出てきます。ご質問者さまは節約が得意なようですが、節約は素晴らしく、これからも続けるのがよいと思います。「ゼロで死ね」という本もありますが、この本は「お金を使い切れ」というより「必要以上に貯めようとして、大事な今の暮らしを犠牲にし過ぎないで」というメッセージが込められているのだと思います。血のにじむような思いをして、必要でもない節約までしなくても良い、という話であって、質素な暮らしを守るのは美しいことだと思います。
とはいえ、大事なのは「節約したお金を、どのような形で蓄えていくか?」です。現金の価値が目減りしてしまうならば、別の形で蓄えた方がよいかもしれません。現金のように自由に印刷できないゴールド(純金)に変えるというのも1つでしょうし、株式投資や不動産投資に回して配当収入や家賃収入を受け取れるようにすべきかもしれません。何にせよ「放っておくと腐ってしまうもの」を貯めておいても未来は明るくありません。筆者であれば、「放っておいても価値が腐りにくいもの(純金や不動産)」や「放っておくうちに価値が伸びていくもの(優良企業の株式)」に投資します。
また、「節約していれば家計が楽になる」という姿勢も改めなければいけません。時間とともに物価が上がるので、節約できてもたかが知れています。せめて物価が上がるのと同じペースで収入を増やさないとジリ貧ですから、働き方も考えなくてはいけません。幸い、今の日本は高齢化の影響で人手が足りません。雇う側より、雇われる側のパワーが強くなってきていますから、給料が悪い会社はサッサと辞めて、もっと条件の良い会社へ移りやすくなっていると思います。
資産を守るなら「財産三分法」
ご質問者さまは60代とのことで、ガツガツ利殖したい、というより、老後のことも考えて蓄えた資産を守りたいのだと推察します。安田財閥の創始者である安田善次郎氏は、「自分の財産は不動産、現預金、そして有価証券の3つに分けておく」ことを提唱しました。これを「財産三分法」といいます。財産を3つに分けることで、インフレや不景気、そして好景気にバランス良く備えようというものですね。
最近は闇バイトも怖いですが、家にお金を置くくらいなら、いくつか証券口座を開いて、そこに分けて財産を置いておく方が安心かもしれません。
最近は投資信託も充実していて、少ない資金からでも不動産(REIT)や株、上場投資信託(ETF)にも投資できるようになりました。
NISA制度などを組み合わせることで、節税しながら財産を守れるかと思いますので、この機会に勉強してみてはいかがでしょうか。