札幌から釧路に向かう道東自動車道の本別インターで降りて、車でわずか2分。国道242号線沿いにかつてローカル鉄道として活躍した旧ふるさと銀河線「岡女堂駅」の跡地が見えたら、そこが今回の目的地です。
旧ふるさと銀河線・岡女堂駅の跡地
甘納豆ルーツの味を求めた老舗の試み
ふるさと銀河線に岡女堂駅が誕生したのは1995年。同社4代目社長が社費を投じて開設したこの駅は、近隣住民にとってうれしい「地元の足」となっただけではなく、節分の豆撒きなど豆の町をアピールするためのさまざまなイベントにも活用されたとのこと。今でも岡女堂駅の撮影を目的にたくさんの鉄道マニアが訪れます。1996年節分のイベント・豆撒き列車(写真提供:岡女堂本家)
本別町にある甘納豆の老舗「岡女堂本家」
神戸の異人館を模した売店
店内には十勝ならではの豆菓子が並ぶ
甘納豆誕生秘話から開発した「始まりのぜんざい」
岡女堂本家の創業は安政2(1855)年。その始まりは京都・本能寺の門前での出来事でした。初代店主が焦げ付いたぜんざいの小豆をつまみ食いし、「これはいける!」と感じたのをきっかけに工夫を重ね、甘納豆の原型を生み出したとのこと。この逸話は代々語り継がれ、現在では甘納豆誕生秘話として知られるようになりました。
焦げ付いたぜんざいから生まれたといわれる甘納豆
甘納豆のルーツを再現した「始まりのぜんざい」
このぜんざいは夏には「冷やしぜんざい」として爽やかに、また秋冬は「暖かいぜんざい」としてほっこりしたひとときを提供してくれ、そのお値段は税込450円。季節ごとに異なる味わいを楽しむことができます。
見どころもいっぱい! 岡女堂本家
岡女堂本家では、甘納豆やさまざまな豆菓子を味わえるだけでなく、敷地内には見どころも豊富。その1つが「おかめミュージアム」です。売店の地下には屋号の由来となった「おかめ」のお面や人形、掛け軸など、150点を超える貴重なコレクションが展示されており、皆さんを「おかめスマイル」でお迎えしてくれます。おかめミュージアムのコレクション
岡女堂内でもう1つチェックしておきたいスポットが「豆神社」。これは、神戸にあった甘納豆の生産拠点を当地に移設した際に、大国主命と共に国造りを行った少彦名命(すくなひこなのみこと)を「豆の守護神」として祭ったものです。
五穀豊穣と健康を守る豆神社(写真提供:岡女堂本家)
「豆の町」本別で育まれた深い豆文化と、その象徴ともいえる岡女堂本家。この地を訪れることで、ただおいしい豆菓子を味わうだけでなく、日本の伝統や歴史、そして人々の営みがいかに豆と深く結びついているかを肌で感じることができます。
甘納豆や「始まりのぜんざい」の甘さが口に広がる瞬間、そして「豆神社」で手を合わせるひとときは、日常の喧騒(けんそう)を忘れさせてくれるでしょう。
【岡女堂本家の基本情報】
場所:北海道中川郡本別町共栄18-8 岡女堂本家(道東自動車道の本別インターから車で約2分)
営業時間:4~9月 9:00~18:00、10~3月 9:00~17:30
定休日:無休
おかめミュージアム:観覧料無料。おかめコレクションの観覧時間などは同社に確認してください。
問合せ先:0156-22-5981
https://www.okamedou.com/