事例2. エレベーターで出会った外資系エリート38歳
エレベーターの不具合で、とあるビルに閉じ込められた経験のあるユカリさん(38歳)。ほんの10分程度のことだったが、その時、一緒に乗っていた男性がパニックになりそうだった彼女をリラックスさせてくれた。「無事にエレベーターが動き出して地上に出ると、その彼が『ちょっとお茶でもしませんか』って。私も疲れ果てていたので近くのカフェに一緒に行きました。そこで意気投合しちゃって、今度食事にでもということになって。すてきな人でした」
外資系の会社に勤めながら、自身でも友人と起業したと彼は語った。当時、彼女は33歳。彼は38歳だった。結婚しているだろうと思っていたら、「バツイチなんだ」と彼は言った。表情が少し曇ったので、「嫌なことを思い出させて悪かった」と感じたという。
「次のデートで食事に行って、その次は彼が『うちでパスタでも食べない?』と家に招待してくれたんです。2LDKの広くてすてきなマンションでした。女っ気はいっさい感じられなかった。だからバツイチ独身だと信じました」
当初から彼は仕事が忙しかったが、月に1、2回は彼の部屋に泊まって一緒に過ごしたり、時には1泊でドライブ旅行をしたりもした。ユカリがいない生活なんて考えられない、ユカリがいるから頑張れると彼が言うたび、彼女はずっと彼と一緒にいたいと強く思うようになった。
急展開! 彼が突然泣き出し判明した事実
「2年たったころ、彼の部屋で一緒にいる時に、年齢もあるので結婚を考えたいんだけどと言ってみたんです。そうしたら彼がいきなり泣き出した。わけが分かりませんでした。『ごめん、騙すつもりはなかったんだ』と、彼が結婚していて、6歳と3歳の子がいると白状したんです。こっちのほうが泣きたかった。とにかくショックでわけがわからなかった」本当のことを話したらきみが離れていくと思い、怖くて言えなかったと彼はしゃくりあげながら言った。いつまで騙すつもりだったのと言いながら彼女も泣いた。
「これまで通り付き合ってほしいと言う彼に、ふざけるなと叫んで部屋を走り出ました。彼が追ってきたけど私はタクシーを拾って帰った。タクシーの中で連絡先もSNSもすべて削除、ブロックしました。私の2年間は何だったのかと」
彼が会社に訪ねてきたこともあるが、彼女は会おうとはしなかった。ここでずるずると付き合うようなことはしたくなかったのだという。
「1年くらいたったころでしょうか、偶然、彼と知り合いだという人と話す機会があったんです。仕事については本当だった。お金回りもよかったようで、自宅のほかにマンションを持っているんだという話だったから、私が行っていたのは別宅だったんですね」
結婚している事実以外は、本当にすてきな人だったし好きだったんだけど。でも別れてよかった。スマホでしか連絡をとらない今の時代、相手が既婚かどうかなんて、見抜けないこともありますよと彼女は自嘲的に言った。