夫のことを嫌いというわけではない
夫との会話は嫌なわけではないとユイさんは言う。揚げ足をとったり言葉尻をとらえて嫌みを言うタイプではない。どちらかといえば「単純なので」、対話が深まらない傾向はあるが、ネチネチされるよりはずっといいそうだ。「自分で自分が分からなくなって、私は男嫌いになったのかと実家に行ってみたんです。実家は弟が離婚して出戻っていて、たまたま弟の友達も来ていた。でも身内と赤の他人と認識しただけで、快も不快もない」
親友に、こっそりその話をしてみると「なんとなくわかる気がする」と言われた。
「彼女が言うには、『夫は赤の他人と身内の中間くらいなんじゃないの? 夫は家族だけど身内じゃないって思ったこと、私もあるよ』と。そういうことなのかなあとその時は思いましたが、真相はわかりません」
やんわり拒絶を続けて完全レスの状態
ここ5、6年は夫とは完全にレスの状態が続いてもいる。それも彼女からやんわりと拒絶を続けたそうだ。夫は納得はしていないようだが、襲ってくることはないという。「触れられるのが嫌なんです。でも会社の若い男性と冗談でハグした時は、とても気持ちが癒やされました(笑)。やっぱり私がおかしいのかなと思う」
親友には、「どうしても夫と同じ部屋の空気が吸えなくなったら、その時考えればいいんじゃない?」と言われたそうだ。
ひょっとしたら、夫のことが嫌いではないと言いながら、心底では嫌っているのかもしれない。嫌ってはいけないと思い込んでいる可能性もある。いずれ、自分の気持ちの真相は見えてくると考えて、自分を追いつめないほうがいいと親友は言ってくれた。
「夫のこともわからないけど、それ以上に自分の気持ちがつかめない。別れたいほど嫌いなわけじゃないけどどこか不快。そんなことってあるんでしょうか」
人の気持ちは複雑で難解である。