亀山早苗の恋愛コラム

独身アラ還の恋バナはイタい?「LINEって嘘つきなのかな」と乙女みたいに泣く実母は61歳(2ページ目)

「アラ還」女性が恋愛事情を語るのは、イタいものだろうか。相手からのLINEに一喜一憂したり、マッチングアプリで出会いを求めたり……、実母の様子を娘たちはため息交じりに語るのだ。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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70歳の母に紹介された“彼氏”がおかしい

「半年ほど前、北関東に住む母が『ちょっと東京まで行くから会えない?』と言うんです。うちに来ればというと、どうしても外であなたにだけ会いたいと。何か切羽詰まった事情でもあるのかと夫に子どもたちを託して、土曜の夜、出かけました」

ミナさん(43歳)には10歳と6歳の子がいる。夫は「なんだか心配だな。何かあったらすぐ電話して」と送り出してくれた。

「指定されたレストランに行くと、70歳の母が、こっちこっちと手招きして。ふと見ると男性と一緒なんです。しかもどうやら相手はけっこう年下っぽい。母は彼にしなだれかかるように座っていました」

紹介された人は母より一回り年下。恋人なのと母は堂々と言った。だがその瞬間、彼の表情が微妙に変わっていたのをミナさんは見逃さなかった。

「あなたはそうは思ってないでしょと彼に言うと、彼が『いや』としどろもどろ。じゃあ、母と結婚を考えてますかと尋ねたら、また、それはその……ともごもご。それから食事をしながらいろいろ話したんですが、どうも男の様子がおかしいんですよ」

それというのも、彼が最初に差し出した名刺に原因があった。ある企業名が書かれていたのだが、その会社はたまたまミナさんの勤務先と取り引きがあった。その企業は1年ほど前に他社と合併、移転したのを彼女は知っていた。

70歳の出会いがマッチングアプリだった!?

「しばらく話してから、御社は移転されましたよね?と私が言うと、彼はまたもしどろもどろ。どういうつもりなんですかと言ったら、彼は何も言わずに逃げ出しました。お金を貸したりしてないでしょうねと母に確認すると、まだデートするようになったばかりなの、会うのは今日が3度目だって。

家も知られていないというから一安心したんですが、何が目的で母に近づいたのか。奥さんを亡くして寂しいっていうから、私も夫を亡くしたんですっていうところから話が合ったのって。なにそれ、マッチングアプリ?って聞いたらそうだって。70歳もマッチングアプリをする時代なんですね……」

男友達を作るのは悪いことじゃない、恋もいい、だけど素性が分からない人と会うのはやめてと、ミナさんは母に説教をした。

「でも母の言葉が心に残りました。『私はお父さんとはお見合いだったし、恋というのものをしたことがないの。このまま死にたくないって思ったのよ』と。だからマッチングアプリをやってみた、周りの女友達に教えてもらったって。

母は今もパートで仕事をしているし、友達もいるし趣味もある。しかも70歳。それでも恋をしたいんですね。娘であっても人の心は分からない。高齢になりつつある母の気持ちなんて、私にはまったく分からないものなんだなと痛感しました」

いくつになっても恋をしたい人はいる。だがこのご時世、確かに相手選びに気を付けてもらわないと、子ども側は心配でたまらない。
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