「独身だし、心身ともに余裕があるから恋愛できるのだろう」という引いた意見もあったが、独身アラ還の恋愛は人に言うと品がないと思われるのだろうか。
61歳、実母の恋が「本当にイタい」
「話題になっていた女性アナウンサーと同い年のうちの母が今まさに恋していて、娘の私から見ると、本当にイタいんですよ」アキコさん(33歳)はため息をついた。61歳の母は、5年前に夫を亡くして一人暮らしをしている。アキコさんは大学時代から実家を離れ、すでに15年、一人の生活だ。
「恋愛しても、私はあまり夢中にならないタイプなんですよね。相手にはまったところで、しょせん相手は私じゃないから、何を考えているかわからない。そんな対象に自分を没入させても虚しいだけというのが私の恋愛観」
ところがこの春、実家に戻ってみたら、母がやけにそわそわしていた。泊まっていくの、いかないよね、今日中に帰るよねと矢継ぎ早に聞いてくる。
「何か予定があるのか聞くと、『明日、朝からドライブに行くから』と妙に照れながら言うわけですよ。なに、相手はボーイフレンド?と聞くと、えへへって。嫌な予感がしたんですよね」
母だって独身だから好きなように生きればいいとは思っていたが、その母からたびたび連絡が来るようになった。「彼がとてもおいしいフレンチレストランに連れて行ってくれた」だの「カラオケで彼とオールしちゃった」だの。若者言葉を使うのはやめてほしいとは思ったが、母が幸せならそれでいいと、アキコさんは放置していた。
「LINEって嘘つきなのかな」と泣く母
「様子が変わったのは夏頃ですね。電話で話していたら『LINEって嘘つきなのかな』と言うんですよ。『既読がつくのに返事が来ないということは、既読じゃないのよね』って。あ、それは読んだけど返事はしてないってことだよと言うと、急に涙声になって……」半分うんざりしながらも、数日後、実家に行ってみると、母はベッドに潜り込んでいた。起きる気力もないと言って、げっそりしている。
「見てよ、既読にならなくなったというんです。もうね、この恋はやめた方がいいってことだねとはっきり言いました。ついでにやりとりを見たら、母が『私を捨てないで』『あなたの行きたがっていた温泉に行こうよ。旅費は私に任せて』なんて書いてある。もうやめなさい、彼は逃げたんだよと言うと、母は号泣。さすがにそういうみっともない姿を見たくなかったので、買い出しに行って冷蔵庫と冷凍庫に食べ物を詰めて帰ってきました」
その後、母が連絡してきて、相手は既婚者だと白状した。振ってもらってよかったじゃない、奥さんに訴えられても文句言えないんだよというと、母は「そうなんだ」と他人事のようにつぶやいた。
「元気なのはいいけど、乙女みたいな恋愛感情をまき散らさないでほしいです」
アキコさんは怒ったような困ったような表情でつぶやいた。
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