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実は逮捕例、1000万円の損害賠償例もある…ゲーム内容を改ざんする「チート行為」の意外な落とし穴(2ページ目)

オンラインゲームやスマホゲームなどのチート行為における実際の逮捕事例や逮捕されやすいチート行為の基準、逮捕された場合の処罰内容などについて、ゲーム分野の知的財産権や法務を専門とする弁理士が解説します。

藤枝 秀幸

執筆者:藤枝 秀幸

弁理士ガイド

チート行為で逮捕された場合の処罰内容

チート行為で逮捕・書類送検された場合、先述の逮捕・書類送検事例にあるものでは、以下のような処罰内容でした。

・『パズル&ドラゴンズ』の所持モンスターの能力値変更など(著作権法違反)の場合は、罰金50万円

・『モンスターハンターフロンティアG』のゲーム内アイテムの不正入手代行等(私電磁記録不正作出・供用罪)の場合は、大学3年生に懲役1年(執行猶予3年)

・『パズル&ドラゴンズ』のチートツールの販売等(偽計業務妨害幇助等)の場合は、チートツールの販売者に懲役1年6月(執行猶予3年)

・『人狼ジャッジメント』のチート方法をWeb上へ掲載するなど(偽計業務妨害等)の場合は、1000万円の損害賠償(民事裁判)

通常は刑事罰として罰金や懲役刑が科されますが、その他に、『人狼ジャッジメント』のケースのようにオンラインゲームの運営会社が個別に民事裁判を起こして損害賠償請求をするという場合もあります。この場合は、多額の損害賠償金となることも。
 

裁判などではどのような点が重視されるのか

チート行為などで逮捕・書類送検されて、実際に裁判になった場合に、どのような点が重視されるのか、2019年の『パズル&ドラゴンズ』のチートツール販売等における横浜地方裁判所の事例(2019年4月16日)をもとに解説します。

この事例は、『パズル&ドラゴンズ』のダンジョンに挑む際にスタミナが消費しないようにするツール『ゴーストルーター』を作成して販売したことが問題となり、販売者が逮捕・書類送検され裁判となったものです。この裁判においては、「運営会社の課金機会の減少」という点を重視して判断されていました。

具体的には、まずオンラインゲームが無料でダウンロードし、プレイできるものであるとしつつも、ゲームを有利に進めるためにはアイテム購入が必要になるという収益モデルであることを前提とします。その上で、チート行為やチートツールの販売は、そうしたアイテム購入の機会を減少させるものであり運営会社の業務を妨害するものである、という判断でした。

こうした裁判における判断を踏まえると、チートツールの作成、販売、利用やレアアイテムの不正入手や販売等は、いずれも運営会社の課金機会を減少させるものであるため、こうした行為はやはり厳しく処罰される可能性があります。

最近では、『荒野行動』や『人狼ジャッジメント』の運営会社などはチート行為の逮捕・書類送検事例や裁判事例等を自社のWebサイトで報告するなどして厳しく取り締まっており、今後、他のオンラインゲーム等の運営会社においても、より一層チート行為を厳しく取り締まっていくことが予想されます。

<参考>
時事ドットコム「若年化する『チート』、犯罪意識薄く『こんなことで事件に』憤る親も
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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