人間関係

31歳のダブルケアラー「仕事を辞めるしかないのか」。祖母の介護で「もう無理…」と感じた夜

タレントの松嶋尚美さん(52歳)が、3年前から家庭では子育てと介護の「ダブルケアラー」だと告白。家族内にふたり以上の要介護者がいる場合にも使われる言葉だ。31歳で祖母と母の介護に明け暮れる女性の話を聞いた。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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31歳にして、祖母と母を介護することに

31歳にして、祖母と母を介護することに

タレントの松嶋尚美さん(52歳)が、3年前から家庭では子育てと介護の「ダブルケアラー」として奮闘していることを告白した。もともと松嶋さんは都内で夫、12歳、11歳の子どもたちとの4人暮らしで、足の不自由な87歳の祖母は大阪で妹家族と暮らしていた。

その妹が心筋梗塞で倒れたことが発端となり、松嶋さんは夫の勧めで母を東京の自宅に迎え入れたのだという。

子育てと介護が重なる状況を「ダブルケア」という。また、家族内にふたり以上の要介護者がいる場合にも使われる言葉だ。実際、ダブルケアになって四苦八苦している人たちは大勢いるだろう。 

 大好きな祖母が倒れ、20代で介護生活に

「母が離婚したので、私は祖父母と母の4人で暮らしてきました。大学生のころに祖父が亡くなり、それからは祖母と母と女3人の生活。祖母も母も仕事をしていましたから、それぞれが自由に行動していて、とても楽しい生活でした」

過去形でそう話してくれたのは、アスカさん(31歳)だ。現在、母は60歳、祖母は88歳となった。

アスカさんが大学を出て就職し、5年がたったころ、祖母が脳出血で倒れた。今から4年前だ。入院した祖母を、母とアスカさんは交代で見舞った。少し麻痺が残る状態ではあったが、3カ月後には退院、自宅で生活するようになった。

「ほっとしたんですが、どうも祖母の様子がおかしい。認知症が始まっていたんです。もちろん病院にも連れていって投薬もしてもらったし、刺激を与えるために母と私で連れ出したりもしました。祖母はお芝居が好きだったので見せにも行ったのですが、全部見ていられる状態ではなかった。

地域の福祉ともつながり、ヘルパーさんを派遣してもらったりして1年ほどは頑張ったんですが、祖母が母に『どこかで会った?』と言ったのをきっかけに、母のモチベーションが下がってしまって。これ以上、介護はできないと言いだして」

祖母の横で寝ていたら「何かが」降ってきた

母は勤務先に話して、介護休暇や時短を組み合わせて働いていた。アスカさんも会社には事情を話し、残業はほとんどしなかった。

「母は、『あなたがもし仕事をずっと続けていきたいなら、ここでキャリアが閉ざされてしまうかもしれない』って。確かにそうなんですが、それでも私はなんとか家で介護したかった。祖母は家が大好きでしたから」

そう言って、さらに頑張ろうとしたアスカさんだが、ある夜、祖母のベッドの横に布団を敷いて寝ていた彼女の顔に何かが降りかかった。あわてて起きると、祖母が脱いだおむつを振り回していた。もう無理……。アスカさんも音を上げた。

祖母を施設に預けるしかなかった。
 
>仕事が目いっぱいできると思いきや今度は……
 
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