お金を減らさずに生きるには?
「人手不足なのに国が働くなという働き方改革をどう思われますか? 両替するにも手数料取ったり、サービス低下なのに郵便料金上げたり、駐輪場作って駐輪料取ったり、どこもかしこも取りやすいところから取ろうという露骨な値上げにうんざりしています。金を増やすより減らさずに済む方法を教えてほしい」(40代)
ご質問者さまは相当に不満を抱えているようです。本記事では、いただいたコメントに対し、筆者の考えを1つずつ回答していきます。
働き方改革、ここがおかしい
まずは「人手不足なのに国が働くなという働き方改革をどう思われますか?」という部分から回答します。この制度には違和感を覚えます。
そもそも、働き方改革も目的は「多様な働き方を選択できる社会の実現」です。しかし、規制強化はむしろ多様な働き方を「阻害」するものですから、あべこべに見えます。
労働者を搾取する企業があるのは言語道断である一方で、時間外労働の上限規制などで「働いてはいけない」という上限があるのも考えものです。
労働時間に上限を設ける目的は「無理に働かされている人を減らす」ことだとも思います。ブラックな労働環境で自殺する人が出てくるような会社はあり得ないですし、この点については対策が必要です。
筆者であれば、労働時間に上限を設ける代わりに、ブラック企業の罰則を厳しくするとか、虐げられている人々へのサポートなどを充実させたいです。
たとえば筆者の周りには「社内でパワハラがあったとき、上司の発言を録音して訴えたことで難を免れた」という友人がいます。この友人は、機転を利かせたことで、劣悪な労働環境でも自分を守ることができました。
こういった対策が有効なのであれば、「恫喝や暴力が行われそうな場合は、録音など訴えたときに有利になるように証拠を残しておこう」といった講習を、従業員に受けさせることを義務にするなどして、従業員をエンパワーするのがよいと思います。
筆者は政治に疎く、このアイデアが現実的かはわかりませんが、従業員が強くなれば会社も従業員を悪く扱うことはできなくなりますし、それこそが社会に求められているものだと思います。
一方、良い会社は社長も従業員もハードワーカーばかりですし、それを邪魔するのはおかしいとも思います。ご質問者さまの言うように、いまは人手不足なのですから、働きたい人には存分に働かせればよいと思います。
値上げはうんざり、でも仕方ない?
次に「サービス低下なのに郵便料金上げたり、駐輪場作って駐輪料取ったり、どこもかしこも取りやすいところから取ろうという露骨な値上げにうんざりしています」という部分に回答します。インフレに関しては社会情勢の変化(主にロシアによるウクライナ侵攻などの地政学によるもの)が大きいので、致し方ない部分が大きいでしょう。生きていくのにはお金がかかりますから、みなお金を稼ぐのに必死です。
また、足元の物価上昇はむしろ想定どおりであり「政策を支持した国民が望んだ結果」ですから、元をたどれば国民の責任です。
アベノミクス以降、日本は政策として「デフレ経済から脱却しよう」「インフレを呼び戻し、賃上げ・景気拡大の好循環を取り戻そう」としていました。物価高へ誘導するのが国民の総意でしたし、現に、物価は上がり賃上げも進んでいます。
一方、足元で物価が上がっていて景気もそう悪くないにもかかわらず、いまだに賃上げできていない企業は従業員を搾取しているか価値創造能力が低いと言わざるを得ません。
きちんと働いて自身を磨いてきた人であれば、そんな劣悪な会社に勤め続ける必要もありません。そんな会社は辞めて給料の良い会社へ転職したり、自分で会社を起こしたりして、効率の悪い会社には「さっさとつぶれてもらう」のが経済にとってもよいでしょう。
そのためにも、「搾取されない強い従業員」を増やすための政策は必要だと思います。
金を増やすより減らさずに済む方法
最後に「金を増やすより減らさずに済む方法を教えてほしい」という部分に回答します。インフレの性質上、お金の価値は「減って当然」です。減らさないためには何かしらに投資や融資をする必要があります。
インフレに負けないことを望むのであれば「インフレ率よりも高い金利を受け取れる無リスク資産を持つ」というのが無難だと思います。
通常であれば国債を買えばよいのですが、日本だと国債の金利がインフレ率よりも低いのでそれができません。いまできることとしては、国債の代わりに純金などの貴金属を買って、せめて資産評価額をインフレに連動させることでしょう。
筆者の場合は、資産の大部分を株式投資に充てて、最低でも物価上昇分は配当収入を得られるように資産を配分しています。
とはいえ、純金も株式も投資にはリスクが伴います。「投資は自己責任」が原則ですから、図書館で本を借りて読むなどして、しっかりと勉強したうえでどうするか考えるのがよいでしょう。
回答は以上です。ご質問者さまの疑問が解消できればうれしいです。