昭和26年から昭和33年まで発行された「ギザ十」
8月10日に入札が終了した銀座コインオークション『第119回 入札誌「銀座」』から、「ギザ十」の落札価格を取り上げます。
ギザ十は、昔集めたことがあるという人もいると思います。また、今でもたまにお釣りなどで手元に来ることもある貨幣です。しかしながら、ある条件がそろうと価格は高騰します。いったいどんな条件なのか、解説していきます。
本来の価値の4400倍に! 「ギザ十」は値段が高くなる?
4万4000円に化けた実際の10円玉(画像:第119回入札誌「銀座」Lot番号:470 10円青銅貨 昭和33年(銀座コインオークション)より)
8月10日に入札が終了した銀座コインオークション『第119回 入札誌「銀座」』では、未使用の10円玉が4万4000円(手数料込みで5万1260円)で落札されました。
実際に落札された10円玉を見ると、少し輝いているのが分かります。しかし、新品同様の銅の輝きとはまた異なっており、「未使用」とはいえ、ややくすんでいる10円玉といえそうです。では、なぜこの10円玉が4400倍もの価値を生んだのでしょうか?
今回の高騰した10円玉は、昭和33年発行のものです。聞いたことがある人も多いと思います。この10円玉はいわゆる「ギザ十」。10円玉の周囲の縁にギザギザがあるものです。
ギザ十は、昭和26年から昭和33年まで発行されました。昭和34年以降の10円玉には「ギザ」はありません。7年間限定発行であった点に希少性があるといえます。
とはいえ、発行枚数は多いのも事実です。1番多いのが昭和29年のギザ十。発行枚数はおよそ5.2億枚に上ります。そのため、ギザ十自体は決して見つけるのが難しいものではありません。
ですが、今回落札された昭和33年のギザ十は、実はギザ十の中で最も発行枚数が少ないものとして知られています。昭和33年は2500万枚の発行です。5.2億枚の昭和29年と比べるとかなり発行枚数が少ないのが分かります。
「未使用」のものはかなり少ない
しかし、2500万枚もあるものが、なぜ4万4000円に?と思う人も多いことでしょう。それは「未使用」であるためです。古いコインになればなるほど、また普段使いのコインになればなるほど、未使用で残っている可能性は低くなります。ましてや現代と異なり、当時はキャッシュレスなど浸透していた時代ではありませんので、お金は財布から出して使うのが当たり前。そのため、「未使用」と「美品」クラスの10円玉では価値がまったく異なるのです。
なお、未使用といっても銅の場合は酸化などにより色あせていきますので、なかなか素人では見分けがつきにくい点も希少価値を生んでいます。
未使用のギザ十があれば、その価値はどの年号でも今回のように数万円となる可能性は十分あります。特に発行最初の年である昭和26年と発行最後の年である昭和33年は価値が高いです。
未使用のギザ十がお釣りから出てくることはまずないことでしょう。しかしながら、「並品」や「美品」レベルであればギザ十は見つけられると思います。実は昭和33年のギザ十は使用品であっても100~300円ぐらいの価値があります。ギザ十をコレクションしている人もいて、10円玉なのに10円以上の価値が付きます。ぜひ探してみてはいかがでしょうか。
<参考>
第119回入札誌「銀座」Lot番号:470 10円青銅貨 昭和33年(銀座コインオークション)