子どもを育て上げたら、離婚ということなのか?
「同居期間20年以上の夫婦」の離婚に着目すると、その数は3万8991組。全離婚件数に占める割合は23.5%で、前回調査から0.8ポイント上昇。つまり、いわゆる「熟年離婚」は増えているということだ。
同居期間を5年単位で見ていくと、熟年離婚の中でも、もっとも離婚が多いのは同居20年から25年。これは、そのまま子どもの成人と重なるのではないだろうか。子どもが成人するのを“待って”離婚に踏み切ったと推測できる気がしてならない。
待ち望んだ離婚
「うちがまさにそうですね。私は子どもたちが22歳と20歳のときに離婚しました。下の子が20歳になるのを待っていました」マチコさん(52歳)はそう言った。短大卒業後、保育士として就職し、26歳のときに6歳年上の彼と結婚して退職。27歳で長男を、29歳で長女を産んだ。
「専業主婦として家庭を守るという、昔ながらの女の人生を歩んできました。20代のうちに子どもを産み終えたかったし、それ自体に後悔はないんです。でも30代に入ると、このままでいいのかという思いが強くなっていきました」
子どもたちの成長は予想以上に早かった。自分が保育士だったこともあって、マチコさんには理想の子育てがあった。
「もちろん躾は大事だけど、善悪を教えたら、あとは子どもの意志を尊重したかった。やりたいことはやらせてあげたいから、下の子が小学校に入ると私もパートで仕事をするようになった。子どもたちはどんどん好きなことを見つけていく。それを見守るのがおもしろかったんですが、世界が開けていく子どもに私は当然、追いつけない」
子育ては「子どもを手放す準備期間」
子育てというのは子どもを手放す準備期間に過ぎないのだと、ある日気づいた。動物の子育てと同じだと彼女は感じていたという。「ひとりで食べるものをとれるように、周りとうまくやれるように。ときには生き延びるために知恵を働かせることができるように。そういう準備ができたら、動物は親から離れていく。それとまったく同じ。だから子を社会に出せるようになったら、親は自分の人生をもう一度、考え直さないといけない」
40代になるころには、夫とは心の内を話し合うことができない、一緒にいても楽しくないと心の底から感じるようになった。
>自立したいと思ったら、夫が……