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宅配ドライバーに聞いた苦労と思い…日本人が好きな時間帯「土曜日午前着」に頭を悩ませている深いワケ(3ページ目)

頼んだ荷物を時間指定で家の前に届けてくれる「宅配ドライバー」。猛暑日でもゲリラ豪雨の中でも配送してくれる彼らはどんな苦労や思いを抱えているのでしょうか。今回は宅配ドライバー歴26年のAさんにお話を聞きました。

執筆者:All About 編集部

顔なじみになることのメリット

毎日のように同じルートや決まった時間帯で配送していると、街の人とも顔なじみになり、街の変化や違和感にも気付くようになると、Aさんは話します。

「あいさつをして世間話をしながら配送していると、不審者も街に近づきにくくなるのではないでしょうか。間接的に街の防犯にもつながっていると思います」

宅配用のトラックの後部に、歌舞伎の目のような鋭いまなざしのステッカーが貼ってあることがあります。これは日常の仕事をしながら子どもや高齢者を見守る「ながら見守り」という事業です。自治体と地域を車で巡回する事業者が連携することで、防犯や事故を未然に防ぐ取り組みです。

筆者は当初「こんなステッカーが役に立つのだろうか」と思っていたのですが、Aさんのお話を聞いて、トラック後部のステッカーが、決してはったりではないことを知りました。
 

「遅い、早く届けてよ!」から「この時間なら融通が利くよ」へ

Aさんは、お客さまから「大変でしょう」と言われることが、信頼関係のスタートだと話します。

「『大変でしょう』と言われても『いや、そんなことはありませんよ」と、答えますけどね(笑)。常々考えていることは、お客さまや取引先に迷惑をかけない、仲間を大切にすること。三方よしでなければ、万事うまくいかないと思っています」

信頼関係ができると、配送側の事情を理解してもらうことにもつながるのではないでしょうか。「遅い、早く届けてよ!」から「この時間なら融通が利くよ」となるのかもしれません。

少子高齢化で人口が減少していく日本。宅配ドライバーの担い手の減少が課題となっている物流の2024年問題ではさまざまな取り組みがなされています。一方で「お互いさま」の気持ちを持つことが解決策の1つになるのではないでしょうか。

【この記事の筆者:蜂巣稔】

この記事の筆者:蜂巣稔

物流ライター。外資系コンピューター会社で金融機関・シンクタンク向けの営業、輸出入、国内物流を担当。その後2002年から日本コカ・コーラにて供給計画、在庫適正化、物流オペレーションの最適化などSCM業務に18年以上従事。2021年に独立。実務経験を生かしライターとしてさまざまなメディアで活躍中。物流、ビジネス全般、DXやAIなどテクノロジー領域が中心。通関士試験合格、グリーンロジスティクス管理士。
 

 
>【前編はこちら】猛暑の中、奔走する「宅配ドライバー」のリアル!1日3回は着替える、歩行距離はゴルフ18ホールと同じ!?
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