「室温」と「湿度」に加えて「風速」が重要
対策を講じる前に、寒くも暑くもなく、快適な環境にするための基本を紹介しましょう。快適性を表す計算式はいくつかありますが、夏の蒸し暑さを数量的に表した「不快指数」(Temperature-Humidity Index)では、「室温」と「湿度」の2つの数値によって計算されます。
環境省が提唱する「COOL BIZ(クールビズ)」では、夏の室温は28℃を目安にし、薄着で過ごすことが推奨されています。しかし、不快指数の計算方法では28℃で湿度50%以上だと「半数以上が不快に感じる」と導き出されています。
一方で、「風速が毎秒1メートル上がると体感温度が1℃下がる」とよく言われることがあります。同じ室温、湿度でも、扇風機やサーキュレーターで風を生み出すと快適性が増すのは誰もが納得できるのではないでしょうか。
また、温暖な気温での体感温度を表す「ミスナール体感温度」では、室温、湿度、風速の3つの要素から体感温度を導き出しますが、これによると、室温が28℃でも湿度60%、風速0.3m/sだと、体感温度は約25℃になります。湿度を下げることと、ある程度の風を作り出すのが重要というわけです。
快適にするためには設定温度を高めにして、室内の空気を循環させましょう
エアコンの冷房で室内が冷えすぎると感じる場合、「設定温度よりも人がいる空間の温度が低い」、「冷風が体に直接当たって寒く感じる」といった原因が考えられます。冷えすぎを防ぎながら、暑さも感じにくい快適な室内環境を作り出すためには、設定温度を高めにして、扇風機やサーキュレーターを組み合わせるのがおすすめです。設定温度を1℃ほど上げ、その上で扇風機やサーキュレーターを組み合わせて風を生み出して室内の空気を循環させることで、冷えすぎを防ぎながら体感温度を下げることができます。また、暑さも感じにくい快適な環境を作るには、以下のポイントもチェックしましょう。
●送風やドライではなく、「自動」もしくは「冷房」にしましょう
エアコンの運転モードは「自動」もしくは「冷房」にしましょう。「湿度を下げることが重要」と紹介しましたが、「ドライ(除湿)」モードには「弱冷房除湿」と「再熱除湿」の2種類があり、このうち前者は通常の冷房運転に比べて弱い運転で室内の湿気を取るモードです。気温が35℃を超えるような猛暑日では室温も湿度もなかなか下がらない場合があるため、おすすめしません。
●風量は「弱」ではなく「自動」にして、風向きを調整しましょう
風が当たると寒いからといって、風量設定を「弱」にするのはおすすめしません。設定温度まで達しにくくなるため、快適性が損なわれる上に省エネ的にも逆効果なためです。風量は「自動」にして、体に直接風が当たらないように風向を調節するのがおすすめです。
●ジメジメする場合はいったん湿度を下げましょう
エアコンを運転して設定温度まで達してからしばらくたつと、部屋の湿度が上がる「湿度戻り」が生じてジメジメとした暑さを感じることがあります。その場合は設定温度を下げる、もしくはドライモードに変更して湿度を下げましょう。快適な室温と湿度を保ちたいのであれば「再熱除湿」モードを選ぶのも一つの手です。
体感温度の微調整はサーキュレーターや扇風機で
エアコンは温度設定が1℃単位にしかできない製品も多いですし、設定温度に達すると湿度戻りが生じる場合もあり、室内にいる人にバッチリと快適な環境にするのは決して簡単ではありません。ソファにじっと座ってテレビを見ている時と、掃除や料理などの作業を行っている時では体感温度も異なります。そのため、快適性を細かく調整するために、前述のようにサーキュレーターや扇風機で室内の空気を循環させて風を作り出すのがおすすめなのです。暑いと感じたら風を強く、寒いと感じたら弱くすることで微調整ができます。ジメジメした梅雨時期の室内干しなどにも役立ちますので、一家に1つはサーキュレーターがあると便利です。
自分にとって快適な温度設定や風量、風向を導き出すのは簡単ではないかもしれませんが、うまく調整できれば昼間も睡眠時にも快適に過ごせるようになるはずです。