多くの富裕層たちが大切にしている価値観とは?
みんな、お金持ちと逆のことをして苦しんでいる
――多くの資産を持つ富裕層が「お金を払う価値がある」と考えるのは、どのようなものでしょうか?立川さん:大前提として、富裕層は値段以上の価値が感じられないものには、びた一文払いません。その上で、彼らが「お金を払う価値があると考えるもの」を一言でいうなら、将来価値が高いものですね。例えば、人との付き合いにおいても、将来的に価値を生まないと思えばお金を使わないでしょう。
――将来価値が高いものとは、具体的にどのようなものをいうのでしょうか。
立川さん:分かりやすいところでいうと、今しか経験できないことです。例えば、自分の子どもと一緒に何かをするにしても、1年後にはもう同じ年齢の子どもとは会えないため、今は貴重なタイミングです。そのうえ、10年後、20年後には、子どもとのかけがえのない思い出となり、お金には代えられない価値を持ちます。そのため将来価値が高いお金の使い方となるのです。
一般の人は、その逆のことをして苦しんでいますね。私は、ファイナンシャルプランナーの仕事で40代から60代の人とよく話すのですが、「もっと若い時に、これをやっておけばよかった」という声を本当にたくさん聞きます。そのやっておけばよかったことは、富裕層の人たちが「今やったほうが将来価値が高い」と見極めていることなんですよね。
今、経験することが最もローリスクでハイリターン
――たしかに、新しいことを経験したり学んだりしたいと思っても、「無駄になるかもしれない」とか「お金がかかるから」といった理由で諦めることが多いかもしれません。立川さん:お金持ちの人は、今しかできないこと、今やったほうが将来価値が高いことをきちんと見極めて積極的に取り組んでいますし、「今、経験することが最もローリスクでハイリターンだ」という話をよく聞きます。
若ければ、失敗してもすぐにやり直すことができるため、ローリスクな状態です。逆に、成功や経験を得ることがあれば、その後のすべての人生に活かすことができるため、ハイリターンでもあります。一方、高齢になってからの失敗は、取り返しがつかないことが多くハイリスクとなり、またその経験を活かせる期間も短くなるため、ローリターンと言わざるを得ません。お金持ちの人は、年を取れば取るほどリスクが高まり、その経験で得られるリターンが減っていくことを強く意識して、積極的に悔いのないようお金を使っています。
立川 健悟さん
1980年生まれ。30歳のとき不動産テック企業に転職し、営業パーソンとしての実績が認められ主要株主の一人として執行役員に就任。その後、会社の株式上場に伴い、金融資産が3億円を超え、富裕層の仲間入りを果たす。多くの富裕層に接した経験をもとに「人生を豊かに生きる人を増やしたい」との想いから、ファイナンシャルプランナーに転身。著書に、『お金持ちは合理的』(すばる舎)、『お金が増えるのは、どっち?』(三笠書房)。
取材・文/七海 碧
不動産・金融に特化しているフリーライター。「本質を捉えて分かりやすく伝える」をモットーに、初心者でもすぐに理解できるシンプルな言葉で説明することが得意。ファイナンシャルプランナー、資産運用検定資格を保有。