きちんと家計簿をつけてはダメ?
家計簿をつけると「使えるお金」が見える?
アリゾナ大学の研究で、きっちり家計簿をつけるとかえって浪費が増えることが分かりました(1)。収入と支出を正確に知ることで、「ああ、まだこれくらいはお金を使っても大丈夫なのか」と感じやすいからだそうです。ジョージ・ワシントン大学の研究でも、予算管理アプリを使う人が逆に借金をしがちだと分かっています(2)。特にスマホで家計簿をつけている若い人たちほど、その傾向が強いようです。
筆者にも経験があるのですが、家計簿をつけると良くも悪くも「使えるお金」が見えてきます。
「今月は収入が30万円で、支出が25万円」と計算できると、「5万円すべて貯金しよう」とストイックに考える人は少数派でしょう。むしろ「浮いた5万円で何して遊ぼうかな?」と考えそうなものです。
つまり、「使えると分かるとつい使ってしまう人」にとっては、家計簿をつけることは、かえって逆効果になりかねません。
浮いたお金は、いざというときのために備える?
とはいえ、現実は「予定外」のことも起きます。支出もなく乗り切れるつもりだったのに、いきなり家電が壊れたりして予算オーバーになってしまう可能性もあります。だから、「浮いた予算はすべて使って良いもの」ではなく、むしろ「浮いた予算は、予定外のことが起きたときに備えて一部はとっておく」くらいの気持ちでいるのが大切です。なお、先述したアリゾナ大学の研究では「予算に幅を持たせてざっくり把握させる」「浮いた予算は来月にも繰り越せると思い出す」などの介入をすると、浪費を防ぐ効果があったそうです。
先ほどの例であれば、「今月は収入が30万円で、支出が25万円」と計算できたなら、「なにか予定外の支出が2万~3万円くらい出てくるかもしれないし、自由に使うお金は2万円までに抑えておこう。運良く予定外の支出がなければ、来月のやりくりが楽になる」のように、計算結果を「捉え直す」ことで、浪費を防げそうです。
まとめ
「家計簿をつけると貯金がはかどる」とよく言いますが、人によっては逆効果になることもあるので気をつけましょう。特に、「余裕があると分かると使いたくなっちゃう」人は、家計簿を使うにしてもあえて「ざっくり」とだけ把握したり、「予定外の支出もあるんだよ!」と思い出すなりして、お金を使いすぎないように気をつけたいですね。
参考
- レポート:Huang, L., 2020. DYNAMIC BUDGET MONITORING: WHEN ACCESS TO BUDGET FEEDBACK LEADS TO INCREASE IN SPENDING, Centre for Economic Policy Research
- 記事:Team, E. (2018, November 12). Want to manage your money better? ditch your banking apps. Finextra Research.