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熱中症対策に「夜間のエアコン」はどうする? 正しい使い方&選び方をパナソニックが伝授

観測史上最高の暑さとなった2023年ですが、2024年はそれを超える暑さになる可能性もあるといいます。今回は、パナソニックが実施した「熱中症対策セミナー」から、屋内での熱中症対策と、正しいエアコンの選び方を紹介します。

安蔵 靖志

執筆者:安蔵 靖志

デジタル・家電ガイド

観測史上最も暑くなった2023年の夏。2024年はそれを超える暑さになる恐れもあるといいます。この暑い夏をどのように過ごすか、悩ましいですよね。
エアコンの正しい使い方と選び方とは?

エアコンの正しい使い方と選び方とは?

今回は、気象の専門家である気象予報士と、パナソニックのエアコンの専門家である「エアーマイスター」が登壇した「~酷暑に負けない エアコン活用術~エオリア 熱中症対策セミナー」から、屋内での熱中症対策の方法と、エアコンの選び方を紹介します。

熱中症は「屋外」ではなく「屋内」で多く発生

ここ数年、毎年のように「今年の夏は暑い」と言われますが、数値にもそれは表れていると、気象予報士で防災士の増田雅昭氏は語ります。
気象予報士で防災士の増田雅昭氏

気象予報士で防災士の増田雅昭氏

「日本の平均気温は上がったり下がったりをずっと繰り返しながらどんどん上がっている状況です。平均的には1900年ぐらいから日本全国の平均気温は2度ほど高くなっています。100年前の東京は今の新潟ぐらいの気候で、毎年のように10センチ、20センチを超えるような雪が積もっていました。100年後、さらに2度上がると、東京はめったに雪が降らない今の宮崎ぐらいの気候になります」(増田氏)
東京の猛暑日の熱帯夜の年間日数

東京の「猛暑日」「熱帯夜」の年間日数

最近ではニュースで「真夏日」(最高気温30度以上)や「猛暑日」(同35度以上)という言葉をよく聞きますが、1990年代までの東京では、猛暑日を記録しない年がぽつぽつとありました。しかし、2010年以降は毎年のように35度を超える日を記録しており、その日数も増えています。また、東京の熱帯夜の日数も年を追うごとにどんどん増えている状況です(※気象庁「大都市における猛暑日日数の長期変化傾向」「大都市における熱帯夜日数の長期変化傾向」より)。
猛暑日の日数が多くの地域で過去最多を記録するなど、2023年の夏は記録的な暑さに見舞われました

猛暑日の日数が多くの地域で過去最多を記録するなど、2023年の夏は記録的な暑さに

こうした中で、2023年は統計開始以来最も暑さの厳しい夏になりました。また、2023年は2010年に次いで熱中症救急搬送数も2番目に多い年になったとのことです。

「北海道や北日本は、前年と比べて非常に多くなっています。北海道や北日本には冷房が付いていない家庭も多く、同じ35度でも熱中症で倒れて亡くなるリスクが大きくなっています」(増田氏)

熱中症というと部活動や運動会の最中だったり、車の中で小さな子どもを残して亡くなってしまうというニュースも多いですが、一番多いのは家の中だと増田氏は語ります。
室内の熱中症の要因

室内の熱中症の要因は3つに分けられる

室内の熱中症の要因は「環境」「からだ」「行動」の3つに分けられるとのこと。

「冷房がついていないと家の中はどんどん気温が上がります。冷房がついていない脱衣所や洗面所、トイレ、お風呂などは特に高温多湿になりやすい環境です。身体的なところでは小さいお子さんは体温調整機能が発達しきっていないため熱中症のリスクが高いです。高齢者は暑さの感度が落ちているため、気付かないうちに熱中症になっていることがあります。体調不良や寝不足のときはリスクが高くなります。

『行動』とありますが、気付かないうちに上がっているのが怖いんです。特に寝ているときに冷房が切れてしまい、いつの間にか気温が上がっている。寝ているので気づかず、水分補給もできない。それで寝ている間に亡くなってしまうという事例が今も後を絶ちません」(増田氏)

屋内での熱中症対策はどうすべき?

では、屋内での熱中症を防ぐには、どのような対策を行えばよいのでしょうか。

「厳しい暑さが来る前に体を暑さに慣れさせることがまず大事です。当然、こまめな水分補給や塩分補給も必要です。しっかり睡眠をとるためには快眠環境を作るのも大事。特に暑い夜には寝る時にエアコンを切らずにつけっぱなしにするのも大切になります」(増田氏)

特に高齢者の方には「エアコンを我慢せずに使っていただきたい」と増田氏は強調しました。

「エアコンは夏の生命維持装置といっても過言ではありません。高齢の方は暑さを感じにくくなっているので、気付かないうちにどんどん気温や湿度が上がってきます。そのため、温度計や湿度計を身近に置いて『目で管理する』のが大事になります」(増田氏)

また、2024年夏の暑さについて増田氏は「やはり猛暑になる可能性が高い」と語りました。世界各国の気象機関がこの夏の猛暑を予想しており、さらに「来年以降も暑い夏が訪れる可能性は高いと言わざるを得ません」と続けました。

「熱中症という気象災害を防ぐためにはエアコンを使わないと非常に危ない。省エネに配慮したエアコンを適切に使い、今後の暑い夏をぜひ乗り切っていただきたいと思います」(増田氏)

自身の環境に合ったエアコンを選ぶことが省エネのコツ!

パナソニックでエアコンの専門家である「エアーマイスター」を務める福田風子氏

「エアーマイスター」を務める福田風子氏

続いてパナソニックでエアコンの専門家「エアーマイスター」を務める福田風子氏が登壇し、エアコンの選び方について解説しました。
パナソニックが実施したアンケート調査の結果

パナソニックが実施したアンケート調査の結果

パナソニックが消費者にアンケートを実施したところ、「今使用しているエアコンに不満がある」という人が約17%いたそう。その中でも「省エネ性能が低い」「冷暖化の効きが悪い」「掃除に手間がかかる」「カビが生える」といった悩みが上位を占めました。

特にこのご時世、気になるのが「省エネ」。2024年4月に再生可能エネルギー発電促進賦課金がされ、6月には政府からの補助金である電気料金激変緩和措置が終了となるため、今後さらに電気代が上がる見込みになっており、不安を感じている人も多いですよね。
夏の電力消費量のうち34.2%と、エアコンがかなり多くを占めています

夏の電力消費量はエアコンが34.2%とかなり多くを占めています

実際に、資源エネルギー庁「平成30年度電力需給対策広報調査事業」の結果によれば、夏の電力消費量はエアコンが34.2%と最も多くを占めています。
家電の中でも最も市場規模が大きいのがエアコンで、その平均使用年数は約14.1年とのことです

家電の中でも最も市場規模が大きいのがエアコンで、その平均使用年数は約14.1年とのことです

内閣府の消費動向調査によるとエアコンの平均使用年数は約14.1年とのことで、その買い替え理由は「故障」が70.8%と多くを占めており、「壊れたから買い替え」というのが中心になっています。

多くの家庭では、14年前後使用して壊れたエアコンを最新の製品に買い替えるというサイクルになっているのですが、省エネを意識してエアコンを使いたい場合、そこに大きな注意点があると福田氏は語ります。

「省エネ性の高いものに買い替えたり、これからエアコンを使うときに節電を意識しながら上手に使うことも大切です。しかし、お客さんから『うちのエアコンはすごく古いから最新の機種に買い替えると省エネなんだよね』と聞かれるのですが、ここ10数年では大きな省エネ性の変化はありません。選ばれる機器によって大きく省エネ性が変わってくるのです」(福田氏)

実際のところ、「スマートライフ おすすめBOOK(2023年版)」(一般財団法人 家電製品協会)によれば、2022年に発売された省エネタイプのエアコン(壁掛け形・冷房能力2.8kWクラス)の期間消費電力量は約768kWhで、2012年に発売された同型エアコンの平均約901kWhに比べて約15%省エネ(1kWh=31円換算で約4120円お得)としています。15%というのは決してあなどれない数字ではあるのですが、「10年前のエアコン全タイプの平均」と「最新の省エネエアコンの平均」を比較した数値なので、年式による違いはほとんどないといって過言ではありません。つまり、ただ新しいモデルを選べばよいのではなく、「省エネタイプのエアコンを選ぶ」ということが重要なのです。

福田氏はパナソニック「Eolia(エオリア)」シリーズのハイスペックモデル「Xシリーズ」と、スタンダードモデル「Jシリーズ」の性能比較を紹介しました。
「2.8kW 100V」と同じ定格能力のエアコンでも、ハイスペックモデルの「Xシリーズ」とスタンダードモデルの「Jシリーズ」では最大能力に大きな差があります

同じ定格能力のエアコンでも最大能力に大きな差が

「2.8kW 100V」と同じ定格能力のエアコンでも、ハイスペックモデルの「Xシリーズ」とスタンダードモデルの「Jシリーズ」では最大能力に大きな差があります。

「同じ能力でも全然省エネの数値が変わりますし、冷暖房の能力では1.5倍や1.4倍など大きく能力が変わります」(福田氏)
冷房能力、暖房能力の解説

冷房能力、暖房能力の解説

冷暖房の「能力」というのは、エアコンが冷房で部屋を冷やす性能と、暖房で部屋を暖める性能を表す数値のことです。冷房能力2.2kWの場合、適用畳数は「6~9畳」と書かれているのですが、これは「木造平屋南向きは6畳」、「鉄筋マンション南向き中間階(洋室)は9畳」が目安と示したもの。省エネ性能と合わせて、自宅の部屋に合った能力かどうかよく見るのも、エアコン選びでは重要です。

だいたいの場合、適用畳数からエアコンを選ぶのですが、福田氏によれば、「適用畳数で見ると選定ミスが起きる場合があります」といいます。

「例えば高天井です。一般的な家屋は天井高が2400ミリで計算されていますが、天井高が2700ミリになると面積が1.13倍に増えてしまいます。なので広さが12畳くらいなら、高天井の場合は14畳くらいに1ランクアップしたものを選んでいただくのがいいです。同じように西向き窓は西から暑さが来ますし、最上階は天井や壁からかなりの熱量を受けますので、マンションの中層階よりも熱の負荷が高くなります。こういう場合には1ランクから2ランクアップさせた能力を選ぶのが大事になります」(福田氏)
高天井や西向き窓、ハイサッシ、最上階の場合は実際の畳数よりも大きな適用畳数のエアコンを選ぶ必要があります。そうしないと消費電力が大きく上がってしまう可能性があります

高天井や西向き窓、ハイサッシ、最上階の場合は実際の畳数よりも大きな適用畳数のエアコンを選ぶ必要があります。そうしないと消費電力が大きく上がってしまう可能性があります

では、もしも小さめの能力のエアコンを選ぶとどうなるのでしょうか。例えば2.2kWクラスの機種(冷房時主に6畳)が2.8kWのフルパワーで運転した場合と、2.8kWクラスの機種(同10畳)が普通のパワーで運転した場合、2.2kWがフルパワーで運転した方が電気代が高くなってしまうと福田氏は解説します。

「エアコンは能力が可変するようになっており、設定温度まで大きな能力を使って冷やしたら、徐々に能力を抑えて設定温度を小さな能力でキープする動きに切り替わります。ところが大きい部屋に小さい能力のエアコンを使うと、いくら冷やしても部屋が暑くなってしまうため、フルパワーで稼働し続けることでトータル消費電力が上がってしまいます。エアコンを選ぶ時には、きちんと環境に合った機種を選定するのがとても大事なことなのです」(福田氏)

パナソニック「Eolia Xシリーズ」の特徴は?

パナソニックのエアコン「エオリア Xシリーズ」

パナソニックのエアコン「エオリア Xシリーズ」

福田氏は最後に、パナソニックのエアコン「Eolia Xシリーズ」の特徴をアピールしました。
室外機に内蔵するパナソニック独自の「エネチャージシステム」

室外機に内蔵するパナソニック独自の「エネチャージシステム」

エオリア Xシリーズはパナソニック独自の「エネチャージシステム」を搭載しており、「エアコンの室外機が発する熱エネルギーをためて再利用し、冷暖房に有効活用します」とのこと。
リモコンの「AI快適おまかせ」ボタンを押すだけで、自動的に温度設定を行ってくれます

リモコンの「AI快適おまかせ」ボタンを押すだけで、自動的に温度設定を行ってくれます

また、各種センサーによって室内の状況を学習して最適な運転をする「エオリアAI」に加えて、ワンボタンで最適な運転モードと温度設定を自動選択する「AI快適おまかせ」機能を搭載しています。

「(スマホ向けの)『エオリア』アプリで遠隔操作されている方は、自動運転の後に『今日の運転、どうでしたか? 暑かったですか、寒かったですか?』みたいなアンケートを行います。それに基づいて次の自動運転をアップデートし、お客さまの好みの温度に調節する機能が付いています。このデータが3万件以上蓄積されており、そこから生み出された最新機能が『新・AI快適おまかせ』になっています」(福田氏)
市場調査を元に家庭内で付着するホコリを再現し、それを掃除しきれるかどうかの試験を行っています

市場調査を元に家庭内で付着するホコリを再現し、それを掃除しきれるかどうかの試験を行っています

エアコンの多くはフィルター自動掃除機能を搭載していますが、ホコリを自動的に排出する機能はパナソニック独自のものです。

「オープンキッチンなどでよくある、油分が多くて細かいホコリは自動掃除しづらかったのですが、このような厳しい状態の10年分のホコリを再現させてフィルター自動掃除をテストしています。その後に電球でフィルターに光を当て、どれくらい光が透過しているかを見るパナソニック独自の『光透過試験』を行っています。10年お掃除した後でも80%以上の光が透過しないと認められない厳しい基準となっています」(福田氏)

さまざまなメーカーがエアコンの省エネ性の進化に向けて取り組んでおり、多くの新機能を搭載しています。省エネのためにエアコンの買い替えを検討したいという人は参考にしてみてください。
         
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