気になるあの人にお金突撃インタビュー

「叩きたい人がネタにしてるだけ」専門家に聞いた!タワマンにまつわる噂の嘘と本当

ネット上にあふれるタワーマンションの噂は本当なのか、またタワマンの住み心地はどんなものなのか。実際にタワマンに住みながら、湾岸エリアのマンション仲介事業を行う藤田祥吾さんに聞いてみました。

執筆者:All About 編集部

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ネガティブな話題も多い一方で、人気の衰えないタワーマンション

ネガティブな話題も多い一方で、人気の衰えないタワーマンション


ネット上にあふれるタワーマンションの噂は本当なのだろうか。「タワマン節税が終了して暴落」「エレベーターは大渋滞」「震災がくれば相場は崩壊する」など、真偽不明な情報も多い。一方で、湾岸エリアをはじめとしたタワマンの価格は上昇傾向にあり、パワーカップルや海外投資家からの人気も高い。広く知られるタワマンの噂は本当なのか、またタワマンの住み心地はどんなものなのか。実際にタワマンに住みながら、湾岸エリアのマンション仲介事業を行う藤田祥吾さんに聞いてみた。

「タワマン節税が封じられた」は嘘?

――Q. 今年(2024年)の春に、相続税の法改正にともなって「タワマン節税(※1)が終わる」というニュースが話題になりました。タワーマンション(以下、タワマン)を節税目的で購入する人もいたと思いますが、市場価格に影響はあったのでしょうか。

藤田さん:法改正による影響は、全くなかったです。詳しい人からすると、もともと「タワマン節税」は、実際には難しいと分かっていましたからね。その仕組みだと節税効果が大きすぎるという話は、以前から挙がっていました。数年前に判例でも負けているんですよ(※2)。

――相続税対策として有効なのは変わらないですよね。

藤田さん:はい。(相続税)評価額の税率が少し圧縮されたかたちで、節税メリットが弱くなったというだけですね。相続時に現金で保有しておくよりは、不動産にしておいたほうがいいというのは変わりませんし、「相続税対策として買われなくなり、今度こそ(タワマン価格は)暴落だ!」なんて騒がれていましたけれど、タワマンを叩きたい人がネタにしているだけで、もともと分かっていたことが法律に反映されただけという認識です。

※1:相続税は財産の評価額に基づいて計算されるが、固定資産税の評価額が低く設定されることが多いタワーマンションの高層階を相続することで、これらの税金を軽減できる
※2:納税者と国税当局が争った裁判で、2022年4月19日納税者側が最高裁で敗訴した判例など

豪華な共用部、各階にあるゴミ捨て場など……とにかく利便性が高い

――Q. タワマンは、エレベーターで5分以上待つなんて話も聞いたことがあります。藤田さんはタワマンにお住まいとのことですが、実際のところ混むのでしょうか?

藤田さん:エレベーターが混むか混まないかでいえば、混みますよ。でも、さすがに5分は大げさじゃないですかね。朝の7~8時台のピーク時にはそれぐらい混むことも稀にあるのかもしれませんが、それがどうしても嫌であれば買わなければいいと思いますので……(笑)。タワマンには、それを補ってあまりある大きな利便性があります。マンションの共用部も多いし、豪華だし、ゴミ置き場は各階に設置されているし、とにかく暮らしていくうえでとても便利です。「階数カースト(※)」なんていうのも話題に挙がりますけど、実際のところほとんどないと思いますよ。個人的に気になったことはないです。

※居住フロアの階数(もしくは高層階か低層階か)が、住居者同士の上下関係に反映されるようなこと

タワマン周辺マンションのほうが底堅い?

――Q. タワマンの価格上昇は何かと話題になりますが、同じ湾岸エリアでもタワマン周辺にある、いわゆる普通のマンション価格の傾向について教えてもらえますか?

藤田さん:価格面では上がっていますが、これには時差があります。価格上昇の震源地はやはりタワマンです。そこから上昇をはじめ、「他が上がったから、こっちも」というように、徐々にタワマン周辺のマンションに波及していく傾向です。

――周辺マンション価格の、上がり幅という面ではどうですか?

藤田さん:タワマンよりは鈍いですね。ただ、周辺マンションのほうが万が一の時は底堅いと思います。もしも震災などがあったときに、海外の人はリスクを避けるためあっさり物件を売り払って逃げていく可能性があるわけです。そういったときに、投資家が多いタワマンではなく、実需の人(住んでいる人)が多いマンションのほうが底堅い気がします。この点が海外の方が多く買っているタワマンのひとつのリスクと言えるかもしれません。

――底堅いというのをもう少し詳しく教えてください。

藤田さん:つまり、災害が起きたら日本に住んでいない海外投資家はわりとすぐ売ってしまうわけで、売りが増えれば(タワマン)相場も下がりやすくなる。逆に実需で買っている場合は住み続ける限り売られないので、(周辺マンションは)価格が下がらないのではないかと思います。

今からタワマンを買うならどのエリア?

――Q. 高収入の人でも購入を躊躇するような価格に突入している湾岸タワマンで、まだ買いやすいエリアはありますか。

藤田さん価格面で考えるなら、東雲一択でしょう。今なら70平方メートル以上でもギリギリ1億円以下で買えます。湾岸エリアで相場付近の価格帯にある物件は、投資家含めライバルが多いので、相場より少し高いくらいで探さないといけません。湾岸エリアの中でも東雲のタワマンは実需が多く資産性もあって、中央区エリアよりも今は安価で手に入れられるのでおすすめですよ。

――東京でタワマンを買うとなったら、湾岸エリア以外にも人気のエリアがあると思いますが、湾岸タワマンの購入を検討している人で、例えば青山など、他のエリアのタワマンを比較している人もいるんでしょうか?

藤田さん:湾岸エリアと青山(などの港区)で比べている人はあまり見たことはないですね。湾岸エリアは、一応まだメインの購入層は会社員という感じですけれど、おそらく、青山、六本木、広尾あたりを検討する人は次元が違う人たちですね。全く別ものだと思います。

 
藤田祥吾さん

藤田祥吾さん

藤田祥吾(ふじた・しょうご) 
湾岸エリアのマンションに特化した仲介会社である株式会社FJリアルティの代表取締役。不動産会社にて、不動産賃貸/売買営業・賃貸管理に12年間従事したのち独立。豊かなマンションライフを送るために湾岸エリアの魅力をSNSやブログで発信している。メディア出演実績は、「日本経済新聞」「NHKクローズアップ現代」「ABEMA TV」ほか。 
 



取材・文/七海 碧 
不動産・金融に特化しているフリーライター。「本質を捉えて分かりやすく伝える」をモットーに、初心者でもすぐに理解できるシンプルな言葉で説明することが得意。ファイナンシャルプランナー、資産運用検定資格を保有。 
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