気になるあの人にお金突撃インタビュー

円安だけじゃなかった!海外投資家が湾岸エリアのタワマンを買い漁る理由とは

湾岸エリアのタワーマンションは、どんな人が購入しているのだろうか。最近では、中国人をはじめとする海外投資家がこぞって購入していることも話題になっている。彼らはなぜ日本のタワマンを購入するのだろうか。マンション仲介事業を行う株式会社FJリアルティの代表取締役であり、湾岸エリアのタワマン事情に精通している藤田祥吾さんに話を聞いた。

執筆者:All About 編集部

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中国人投資家が、東京の湾岸タワマンを購入する理由とは……?

中国人投資家が、東京の湾岸タワマンを購入する理由とは……?

湾岸エリアのタワーマンションは、どんな人が購入しているのだろうか。最近では、中国人をはじめとする海外投資家がこぞって購入していることも話題になっている。海外投資家に人気のある部屋は価格が上がりやすく、彼らの需要を背景に、同じタワマンで広さや階数が同条件でも、価格は大きく異なるということも起こっているようだ。彼らはなぜ日本のタワマンを購入するのだろうか。マンション仲介事業を行う株式会社FJリアルティの代表取締役であり、湾岸エリアのタワマン事情に精通している藤田祥吾さんに話を聞いた。

海外投資家は、なぜ日本のタワマンを買うのか

――湾岸エリアのタワーマンション(以下、タワマン)で大幅な価格上昇が続くといわれる中、海外投資家はどういった理由でタワマンを購入しているのでしょうか?

藤田さん:特に中国人は、資産保全で買っているイメージです。中には購入して住んでいないのに、賃貸にも出さない人もいますね。セカンドハウス的にとりあえず持っておくみたいなことでしょう。今ちょうど中国経済が落ち込んでいて、中国のお金持ちは手元の莫大(ばくだい)なお金をどこかに移したいと考えているわけです。その受け皿として、「ちょうど円安で、隣の国だから日本でいいか」みたいな感覚で買っていますね。

彼らとしては、本当は欧米諸国に家を持つことがステータスだから、日本が特別好きで買っているというわけではないみたいです。ニューヨークやパリに家を持っていて、ついでに日本も買っておくかぐらいの感覚じゃないでしょうか。チャイナマネーが積極的に日本に来たら、日本の(物件の)値上がりはこんなものではないらしいですよ。

――ニューヨークなど海外の主要都市の不動産と比べて、東京の湾岸エリアは安いのでしょうか。

藤田さん:割安でしょう。上海などは、わけの分からない1LDKの部屋でも3億円くらいしますからね(笑)。そもそも東京のような国際都市で、例え高収入でも会社員がタワマンを買えるということ自体がおかしいんじゃないかという意見もあるくらいです。

つまり、海外の富裕層が比べているのはその都市の周辺相場ではなく、「ニューヨークとかカナダがこのくらいだったから、東京はずいぶん安いじゃん」といった目線なので、1000万円、2000万円の差額はどうでもいいよという感覚です。海外で不動産価格が高い地域は、現地の実需の人(自分で住むために購入する人)がほとんど住めておらず、買っているのはほとんど海外投資家です。それがグローバルスタンダートかといわれると、確かにそうなので、日本もそれに近づいていくかもしれませんね。

――海外投資家が不動産価格を押し上げているということですが、現状、湾岸タワマンの購入者は日本と海外でどれくらいの比率なのでしょうか?

藤田さん:実際、海外の人はそこまで多くはないですよ。基本的には日本のパワーカップルが購入しているので、感覚値では7~8割が日本人、2~3割が海外の投資家もしくは不動産会社。ただ、海外の人たちが相場を無視して気に入った物件を買っていて、その実績に引っ張られて相場が上がっているという感じですね。日本人は相場で買いたいんですよ。相場で9000万円の物件が1億円だったら、日本人は買わないですよね。それを買っていくのが海外の人なんです。

海外投資家が好きなタワマンとは?

――海外の人が気に入る物件には、どんな特徴があるのでしょうか?

藤田さん:例えば、「高層階」「角部屋」「レインボーブリッジが見える」など、そういった何か魅力的な特徴のある部屋をポンと海外投資家の方は買いますね。こういった特徴のある部屋は、狙っている海外投資家も多いので価格も上がりやすい。逆にそうでない部屋を買うのは日本人で、相場の範囲内に収まるので価格は伸びてこない。どれくらい違うかというと、例えば同じ階数や広さであっても、レインボーブリッジが見える部屋とそうでない部屋だと、15~20パーセントくらいの差になります。つまり、1億円と1億2000万円の差です。

それから、彼らは目立つマンションが好きですね。分かりやすいランドマークのマンション。あとは周辺環境も気にしますね。例えば、「道が広い」「水辺が近い」「雑多な感じがしない」などです。だから、月島エリアでも、駅前のマンションよりも、少し駅から離れても、ザ・パークハウス晴海タワーズのクロノレジデンス、ティアロレジデンス、それからパークタワー晴海のような水辺が南側にあって、道が広くて、周辺が整備されているのが好みのようです。水辺が近いのは風水的にもいいらしいですしね。逆に日本人は(実際に住むことを考えて)基本的に立地重視なので、駅近のタワマンを好みます。

――湾岸タワマンの中でも、海外投資家が特に集まりやすいエリアはありますか。

藤田さん:やはり中央区(勝どき・晴海)は、海外投資家が好む特徴の部屋が多いので、人気ですね。一方で、東雲・有明は比較的まだ実需の人が多いです。有明はだいぶ投資家層も増えてきましたが、それでもまだ検討している大半は日本人。豊洲は(勝どき・月島・晴海と東雲・有明との)中間という感じでしょうか。中央区は、海外投資家が集中しているために、価格の上がり幅も大きくなっています。それぞれの湾岸エリアの値上がり幅は、海外投資家の数に比例しているという感じです。海外のお金持ちが好きな条件がそろっているほど、価格が上がりやすいです。

――中央区は、築地市場跡地をはじめとした再開発も控えていますね。

藤田さん:「築地市場跡の再開発」「都心部・臨海地域地下鉄の整備」「新築マンションの建設」など、中央区のエリアは今後も好材料ばかり。でも、まだ価格には“ちょっと盛り込まれている”程度です。過去の経験上、再開発は完全に完成してからさらに価格が上昇する傾向があります。できるまでの期待感で徐々に上がっていきますが、本当にできるのか?という疑いの目もあるわけです。以前の有明エリアもそうでしたが、当時の価格は「有明ガーデン」や「ららぽーと豊洲」ができるのを織り込んで価格がつけられているとみんな思っていました。でも、実際に完成したら周辺のマンション価格はさらに上がっていきましたからね。

築地も同じだと思います。今年(2024年)のゴールデンウイークぐらいですかね、築地市場跡地の再開発の計画が発表されたので、それを受けてまた少し価格が上がった感じがあります。極端な例だと、満額申込をしたにも関わらず、売主さん側から「まだ価格が上がりそうだから売らない」とキャンセルされたり、募集価格の値上げや売り止めも増えています。それぐらいまだまだ価格が上がる期待感があるということです。

勝どき・月島エリアは築地再開発の恩恵も受けるし、豊海タワー マリン&スカイ、グランドシティタワー月島は建つし、月島南地区再開発もある。海外投資家の後押しも受けて、まだまだ価格も伸び続けていくと思いますよ。

 
藤田祥吾さん

藤田祥吾さん

藤田祥吾(ふじた・しょうご) 
湾岸エリアのマンションに特化した仲介会社である株式会社FJリアルティの代表取締役。不動産会社にて、不動産賃貸/売買営業・賃貸管理に12年間従事したのち独立。豊かなマンションライフを送るために湾岸エリアの魅力をSNSやブログで発信している。メディア出演実績は、「日本経済新聞」「NHKクローズアップ現代」「ABEMA TV」ほか。 
 



取材・文/七海 碧 
不動産・金融に特化しているフリーライター。「本質を捉えて分かりやすく伝える」をモットーに、初心者でもすぐに理解できるシンプルな言葉で説明することが得意。ファイナンシャルプランナー、資産運用検定資格を保有。 
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