そもそもアクとは?
そもそもアクとは何なのでしょうか。実は「アク」という物質はありません。野菜でいえば、えぐ味や渋味、苦味など食べたときに不快と感じる物質の総称をアクと呼びます。無機質のものにはカリウム、マグネシウム、カルシウムなどがあり、有機物としてはシュウ酸、ポリフェノール、サポニンなどが挙げられます。
これらが含まれる食材をアク抜きをせずに食べると、えぐ味や苦味を感じるのです。ですが、味の問題だけでなく、健康を害する可能性もあるアクも存在します。そのため、アク抜きの判断をする際は注意が必要です。
酸化による「変色」を防ぐためのアク抜き
ごぼうや茄子、じゃがいもなどを使用するレシピで、「切ったらすぐに水につけてアク抜きをする」という文章を目にすることも多いでしょう。 ごぼうや茄子、じゃがいもに含まれるポリフェノールなどは、カットした食材が空気に触れることにより酸化して変色するので、変色を防ぐためにアク抜きをします。そのためアク抜きをしなかったとしても、大きく味が変わることはありません。見た目を重視する料理に使う場合は、アク抜きをしたほうがいいでしょう。色の濃い味付けで煮込む料理に使う場合は、アク抜きはしなくても問題ないですし、じゃがいもの皮をむかずにラップなどで包んで電子レンジで加熱するような調理法でしたら、皮があるため空気に触れず酸化しないため、アク抜きは不要です。
「シュウ酸」を取り除くためのアク抜き
ほうれん草や春菊、たけのこなどは茹でてアク抜きをする必要があります。これは苦みやえぐ味だけの問題ではなく、含まれているシュウ酸を取り除くために必要です。シュウ酸はカルシウムや鉄分の吸収を妨げる作用があり、尿路でカルシウムと結合して尿路結石となることもあります。 ▼たけのこのアク抜き
たけのこは、アク抜きが完全でないと舌をさすような刺激があるので分かりやすい食材です。「たけのこのアク抜きは焼くだけ」という情報をSNSで見かけることもありますが、シュウ酸は水溶性なので焼くことではなかなか取り除くことはできません。
たけのこのアクは、米ぬかや米の研ぎ汁で茹でることで、それらに含まれているでんぷん質がシュウ酸を吸着してくれて取り除くことができます。
▼ほうれん草のアク抜き
最近ではシュウ酸が少なく生で食べられるほうれん草もありますが、一般的なほうれん草であれば生で食べるのは避けなければなりません。また、最近はほうれん草を茹でずに電子レンジで加熱する人をSNSで見かけますが、シュウ酸は水溶性のため茹でることによってほうれん草から出ていきます。そのため、ほうれん草を加熱するときは茹でるようにしましょう。
今回ご紹介した食材以外にも、アク抜きが必要な食材はたくさんあります。「アク抜きは面倒」という理由でアク抜きを避けるのではなく、健康を害さないために食材ごとにアク抜きの必要性を確認してから調理するようにしましょう。