Q:夫婦で年金を月20万円もらえる年収とは?
「夫婦で年金を月20万円もらえる年収とはいくらでしょうか? 妻はずっと扶養でパートです」(会社員・男性・32歳)将来、夫婦で年金を月20万円受給したい場合、現役時代の世帯年収がいくらであれば可能?
A:妻は扶養内で年収106万円未満(月収8万8000円未満)、夫は年収333万円(月額約27万7344円)の世帯年収であれば、夫婦の年金額は月20万円になります
今回は、将来、夫婦で年金を月20万円もらえる世帯年収について計算してみましょう。相談者の妻は扶養範囲内で、厚生年金に加入せずパートで働いているとのことですので、国民年金保険料の未納金や免除期間がないという前提で、65歳から老齢基礎年金の満額の月額6万8000円(令和6年度)を受け取れるとします。
妻が毎月約6万8000円受け取れますので、夫婦で毎月20万円の年金を受け取るには、夫は月額13万2000円受け取る必要があります。
相談者(夫)は30代会社員なので厚生年金の加入者です。夫が13万2000円の年金を受け取れる会社員の年収について計算してみましょう。
ここでは夫が平成15年4月以後に、20歳から60歳になるまで40年間、厚生年金に加入したという前提で考えてみます。
この場合、夫の老齢基礎年金も令和6年度で満額の月額6万8000円を受給できますので、毎月13万2000円の年金を受け取るために、老齢厚生年金は月額6万4000円(13万2000円-6万8000円)を受け取る必要があります。
老齢厚生年金の受給額は、現役世代の収入金額(給与など)と勤続年数によって、次の計算式で計算されます。
(1)平成15年3月までは、平均標準報酬月額×7.5/1000×平成15年3月までの加入期間
(2)平成15年4月以降は、平均標準報酬額×5.769/1000×平成15年4月以後の加入期間(※)
※スライド率等については省略。乗率は昭和21年4月2日生まれ以降の人の新乗率を使用
夫は平成15年4月以後に厚生年金に入っていたので(2)の計算式を使います。なお、ボーナス込みで、40年間の年収の変更は考慮しません。
老齢厚生年金を月6万4000円(年額76万8000円)受け取るための年収を下記の計算式で計算すると、年収の目安は年収333万円(月額約27万7344円)です。
●計算式
平均標準報酬額×5.769/1000×480カ月(加入期間)=76万8000円(年間の厚生年金受給額)
平均標準報酬額=76万8000円/(5.769/1000×480)≒27万7344円
平均標準報酬月額を年収に換算します。
27万7344円×12カ月≒333万円(年収)
まとめると、夫の生涯平均年収333万円であれば、夫は65歳から年金を月額約13万2000円受給でき、妻が今後も年収106万円未満(夫の扶養内)で働くのであれば、妻は65歳から年金を約6万8000円受給できます。これで65歳から夫婦で月額20万円(13万2000円+6万8000円)の年金を受け取れることになります。
※現在の制度をもとにした計算で、将来の年金額を保証するものではありません。
※経過的加算は考慮していません。
※年収と年金は額面で計算しています。
※年金プチ相談コーナーに取り上げてほしい質問がある人はこちらから応募するか、コメント欄への書き込みをお願いします。
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)